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実家の査定を取ると、「仲介なら1,500万円、買取なら1,000万円」のように、同じ家に2つの数字が並びます。500万円の差を前に「早く終わらせたい」と「損はしたくない」の間で止まってしまう。売買の仲介の現場で何度も見てきた場面です。
仕事では、買取業者に物件をつないだことも、提示額を見て「受けないほうがいい」とお客様を止めたこともあります。自分の実家は昭和初期築の木造で、敷地は約250㎡。僕自身は売却派です。
この記事では、仲介と買取の構造の違い、買取価格が6〜8割になる業者側の計算、買取保証付き仲介、向く家の判定表、買取業者の見分け方を、僕の実家の想定と一緒に並べます。
仲介手数料の上限は国土交通省の報酬告示(2024年7月1日改正)、宅建業免許・手付・担保責任の規定は宅地建物取引業法によります。「買取は市場価格の6〜8割」など業界慣行の数字は、僕が現場で見てきた経験値で、公的統計ではありません。譲渡所得税や特例の適用は税理士等に、契約書の特約や共有持分の売却は弁護士・司法書士等に、ご自身の事情で個別にご確認ください。数字は2026年9月時点です。
先に結論
- 仲介と買取の違いは「買主が誰か」に尽きる。仲介は一般の買主が市場価格で買い、買取は業者が再販前提で買う。だから買取は市場価格の6〜8割(現場の経験値)になり、代わりに期間・内見・契約不適合責任・残置物の負担が消える。
- 買取価格は「安く買い叩かれた額」ではなく、「再販価格から解体・片付け・保有コスト・利益を引いた額」。この式が分かれば、提示額が妥当かどうかを自分で検算できる。
- 立地が普通以上で、査定から引き渡しまで4〜6か月待てるなら仲介。遠方・残置物・共有・再建築不可・期限つきなら買取か買取保証付き仲介。判定表で当てはめてほしい。
- どちらを選ぶにしても、買取の提示額が妥当かを判断するには、仲介の査定額(市場価格)が先に要る。一括査定で相場を持ってから、買取の話を聞く。
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仲介と買取は「買主が誰か」で全部が変わる。構造の比較表
仲介は、不動産会社が売主と買主の間に立ち、一般の個人や法人に売る方法です。買取は、不動産会社そのものが買主になる方法です。この一点から、価格も期間も責任も全部が派生します。
| 項目 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 買主 | 一般の個人・法人(自分で住む、または投資する人) | 不動産会社(リフォームか解体をして再販する) |
| 価格 | 市場価格。売出価格から交渉で数%下がるのが普通 | 市場価格の6〜8割(現場の経験値。物件と会社で上下) |
| 仲介手数料 | 400万円超は「売買価格×3%+6万円」(税別)が上限。800万円以下(税抜き価格)の物件は、媒介契約前に説明・合意すれば売主・買主それぞれから最大30万円(税込33万円)まで請求できる特例あり(国交省告示、2024年7月1日改正) | 業者に直接売るなら不要。仲介会社を通して買取業者に売る場合は上限内で発生する |
| 査定から引き渡しまで(合計) | 4〜6か月が目安。地方・築古はさらに延びる | 最短2週間〜1か月。片付けや名義の確認を含めて1〜2か月 |
| うち売り出しから契約まで | 3〜4か月が目安。反響次第 | 現地確認から提示まで数日〜2週間 |
| うち契約から決済まで | 1〜2か月(買主のローン審査を待つ) | 1〜4週間(業者は現金か事業融資の枠で買う) |
| 内見・広告 | ポータル掲載、内見対応が必要。近所に知られる | 業者の現地確認1〜2回。広告は出ない |
| 契約不適合責任(雨漏り・シロアリ等) | 個人買主相手だと「免責」を交渉する。告知書に全部書くのが条件 | 免責特約が一般的。業者は自分で調べて値段に織り込む |
| 残置物 | 原則、売主が片付けてから引き渡す | 「そのまま」で引き取る会社が多い(処分費は価格から引かれている) |
| 手付金 | 売買価格の5〜10%が慣行(現場の目安) | 数十万円の少額にする会社が多い。契約書で確認 |
表の右列だけ見ると買取は楽に見えます。ただし右列の「楽」は、全部が価格に換算されて左列との差になっています。残置物の処分費も、内見対応の手間も、雨漏りのリスクも、業者は「無料で引き受けている」のではなく、提示額から引いている。この構造を知らないまま「手間がないから買取」と決めるのは、金額の書いていない請求書にサインするのと同じです。
📖 用語メモ|買取再販と宅建業法40条
業者が買った家を直して売り直すのが「買取再販」。再販で業者が売主になると、宅建業法40条により、通知期間を引き渡しから2年以上とする特約を除き、買主に不利な担保責任の特約は無効になる。業者はこの将来の修繕リスクも仕入れ値から引く。
買取価格が市場価格の6〜8割になる理由。業者側の原価計算表
「6〜8割」を「買い叩き」と受け取る方が多いのですが、仲介の側から買取業者の見積の裏側を何度も見てきた経験では、大半の会社は次のような引き算をしています。市場価格(仲介で売れる価格)1,500万円の築古戸建を、業者が解体して更地で再販する前提の例です。
| 業者の計算項目 | 金額の目安 | 根拠・出典 |
|---|---|---|
| 再販想定価格(更地) | 1,500万円 | 仲介の査定額=市場価格を業者も見ている |
| 解体費(木造30坪) | ▲90万〜150万円 | HOME4Uほか。坪4万〜6万円 |
| 残置物処分 | ▲10万〜20万円 | 2LDKの遺品整理相場(各社相場)。量が多ければそれ以上 |
| 測量・境界確定 | ▲35万〜80万円 | HOME4U・土地家屋調査士事務所の公表相場。官民査定があると高い |
| 保有コスト(固定資産税・金利・管理を再販まで6か月) | ▲20万〜30万円 | 現場の目安。金利上昇局面で増えている |
| 再販時の仲介手数料・広告費 | ▲50万〜60万円 | 1,500万円×3%+6万円+税=約56万円 |
| 登記・不動産取得税・印紙など | ▲20万〜40万円 | 現場の目安 |
| 業者の粗利 | ▲150万〜300万円 | 再販価格の10〜20%が現場の目安。売れ残りリスクの保険を含む |
| 買取提示額 | 約820万〜1,120万円(各項目の中間値で約970万円=市場価格の約6.5割) | 上から順に引いた残り |
この例は解体と測量が要る築古なので6割台になりました。リフォームだけで再販できる家や、測量が済んでいる家は引かれる項目が減り、7〜8割に近づきます。
引かれている項目のうち、解体・残置物・測量は「仲介で売るときも、誰かが払う費用」です。仲介なら売主が払うか、買主が「解体費分を引いてくれ」と交渉してくる。つまり仲介と買取の本当の差は、表の全額ではなく、業者の粗利+保有コスト+再販手数料の部分で、この例では220万〜390万円です。
この差を「早さと確実さの代金」として払えるかどうかが判断の軸になります。逆に言うと、買取の提示額が市場価格の5割を切っているなら、この表のどこかで業者が多めに引いている。「解体費はいくらで見ていますか」「粗利は何%ですか」と聞いて、答えられない会社の提示額は根拠がないと思ってください。
🔢 数字メモ|業者が見る「在庫期間」
首都圏の中古戸建は、レインズ登録から成約まで平均100.9日(東日本レインズ「首都圏不動産流通市場の動向 2025年」)。買取業者はこの日数に解体・リフォーム期間を足した分の金利・固定資産税・管理費を原価に乗せる。地方の築古は在庫期間が延びる分、引かれる額も増える。
中間の選択肢「買取保証付き仲介」。仕組みと落とし穴
仲介と買取の間に、「一定期間は仲介で市場に出し、期限までに売れなければ、あらかじめ決めた価格で仲介会社(またはその提携業者)が買い取る」という方法があります。会社によって「買取保証」「売却保証」「安心買取」など名前は違いますが、仕組みは同じです。
| 項目 | 通常の仲介 | 買取保証付き仲介 | 最初から買取 |
|---|---|---|---|
| 最初の価格 | 市場価格で売り出す | 市場価格で売り出す | 業者の提示額 |
| 期限 | なし(売れるまで) | 3〜6か月が多い(現場の目安) | 契約日で確定 |
| 期限後 | 値下げして継続 | 保証価格で会社が買う | ― |
| 保証価格の水準 | ― | 市場価格の6〜8割(買取と同じ水準) | 市場価格の6〜8割 |
| 媒介契約 | 一般・専任・専属専任から選べる | 専任または専属専任が条件のことが多い | 不要 |
| 向く人 | 時間があり、少しでも高く | 期限はあるが、まず市場で試したい | 期限が近い、手間をゼロにしたい |
僕はこの方法を「期限がある人の保険」として勧めます。相続税の納付や3,000万円控除の期限が見えている人にとって、「3か月は市場で試し、ダメでも○月には現金になる」と見通しが立つのは大きい。
ただし条件が2つあります。1つ目は、保証価格と保証期間を媒介契約の時点で書面にすること。「売れなかったらその時に相談」では保険になりません。2つ目は、保証期間中の売り方を確認すること。会社が最初から「保証価格で買い取る」つもりなら、仲介期間中に本気で市場に出さない動機が生まれます。レインズの登録証明書と反響報告を書面でもらう確認は、通常の専任媒介と同じです(手順は売却の流れの記事に書きました)。
⚠️ 失敗メモ|保証額を見ずに専任にした例
「売れなくても当社が買います」の一言で専任にした売主が、3か月後に保証価格が市場価格の5割だと知り、他に手がなくその額で引き取られた例を見た。専任を結ぶ前に、保証価格を他社の買取査定1〜2社と並べる。比べる材料がないと、保証が安いかどうかも分からない。
仲介が向く家・買取が向く家。6項目の判定表
自分の実家がどちらに向くかは、次の6項目でほぼ決まります。○が多い列が向いている方法です。
| 判定項目 | 仲介が向く | 買取が向く | 見方 |
|---|---|---|---|
| 立地 | 駅・スーパーまで徒歩圏、または同じ町で1年以内の成約事例がある | 車で20分超、同エリアの売出物件が1年以上並んでいる | ポータルで同エリアの「掲載期間」を見る |
| 築年・建物 | 新耐震(1981年6月以降)か、旧耐震でも雨漏り・傾きがない | 旧耐震で不具合あり。解体費が土地価格の3割を超える | 解体見積を1本取ると分かる |
| 残置物 | 自分たちで片付けられる、または処分費(2LDKで10万〜20万円、量が多ければそれ以上)を払える | 遠方で片付けに行けない。物量が多い | 処分費は仲介でも買取でも誰かが払う。差は手間 |
| 名義(共有) | 共有者全員が売却に同意し、連絡が取れる | 共有者の1人が不通、または売却に消極的 | 業者は共有持分だけでも買うが、持分相当額の半分以下が多い(現場の目安) |
| 再建築不可・接道 | 接道条件を満たす。建て替えができる | 再建築不可、または43条許可が要る | まず隣地所有者への売却を試し、次に専門買取 |
| 急ぎ度 | 査定から引き渡しまで4〜6か月待てる | 動かせない期限が3か月以内に来る | 期限が「なんとなく早く」なら仲介で3か月試す余地がある |
○が4つ以上「仲介」に付くなら、まず仲介で3か月出す。「買取」に4つ以上なら、買取業者を複数社並べる。2つずつで割れる場合や、期限が3〜6か月先にある場合は、買取保証付き仲介が向いています。
この表で僕が一番見てほしいのは最後の「急ぎ度」です。「早く終わらせたい」の中身が本当の期限なのか、気持ちの疲れなのかで、払う代金(市場価格との差)が数百万円変わります。
そして、仲介か買取かは「売る」と決めた後の話です。急ぐ理由が期限でないなら、売らずに持つ場合の費用も並べてください。管理サービスは月5,000〜15,000円。固定資産税は住宅用地の特例(200㎡以下の部分は課税標準1/6)が効いているうちは抑えられますが、管理不全空家として勧告を受けると翌年度から特例が外れます。持つ費用と、買取で手放す数百万円を同じ表に置いてから決めるのが順番です。
📝 現場メモ|「急ぎ」の正体を3つに分ける
本当の期限は、相続税の納付(相続開始を知った翌日から10か月以内、国税庁)、相続空き家の3,000万円控除(相続から3年目の年末、制度は2027年末まで)、兄弟への分配の約束の3つ。この3つのどれにも当たらないなら、買取に払う数百万円は「疲れの代金」になる。
買取業者の見分け方。宅建業免許番号から「他社より高く」の裏まで
買取は業者が買主なので、会社の力量と誠実さがそのまま提示額と決済の確実さに出ます。仲介の側から見て、良い買取業者と危ない業者を分ける確認項目はこれです。
| 確認項目 | 良いサイン | 注意サイン | 確認方法 |
|---|---|---|---|
| 宅建業免許番号 | (2)以上。免許は5年ごとに更新し、そのたびに括弧内の数字が1つ増える(初回が(1)) | (1)は開業から5年未満の目安。悪ではないが、決済資金と実績を確認する。知事免許から大臣免許への切替でも(1)に戻る | 国交省「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で免許の有無と処分歴を検索 |
| 買取実績 | 同じ市区町村・同じ種別(築古戸建)の実績を住所レベルで言える | 「全国対応」「実績多数」だけで具体が出ない | 「この町で去年何件買いましたか」と聞く |
| 契約不適合責任の免責 | 契約書に「売主は契約不適合責任を負わない」と明記 | 口頭で「免責です」、契約書には書かない | 契約書案を事前にもらう |
| 手付金の額 | 売買価格の5〜10%、または違約金条項と決済日が明記 | 手付10万円で決済日が「協議のうえ」 | 契約書案で手付額・違約金・決済日を見る |
| 決済までの日数 | 契約から2〜4週間で決済日を確定できる | 「再販先が決まってから」「融資が下りたら」 | 決済日を契約書に書かせる |
| 「他社より高く」 | 根拠(再販価格・解体費・粗利)を説明できる | 他社の提示額を聞いてから「それより10万円高く」と言う | 原価表の項目を聞く |
| 提示額の期限 | 1〜2週間の検討期間がある | 「今日中なら」「今週中なら」 | 買取こそ2〜3社に並べる |
手付金の欄は、少し補足します。宅建業法39条は「業者が売主のとき、手付は代金の2割まで」という規定で、買取のように業者が買主のときは関係ありません。だから買取業者は手付を少額にできる。手付が少ないと、業者は再販先が消えたときに手付を放棄して簡単に抜けられます。売主側の自衛は、手付の額よりも「決済日の確定」と「違約金条項」です。
「他社より高く」の裏も書いておきます。買取業者は、売主が持っている他社の提示額を聞き出し、それを少しだけ上回る額を出すことがあります。この額は原価計算から出たものではないので、契約後に「現地を詳しく調べたら不具合があった」と減額交渉が来る確率が上がります。最初の提示額の根拠を聞き、答えられる会社だけを残してください。
⚠️ 失敗メモ|手付10万円で解除された例
手付10万円・決済日「協議のうえ」で買取業者と契約した売主が、2か月後に手付放棄で解除され、その間に来ていた仲介の買主を逃した例がある。手付で抜けられる期限(手付解除期日)を契約から1〜2週間に切っておけば、業者は早い段階で買うかどうかを決めるしかなくなる。
「買取業者に流す」場面と、僕の実家で並べた想定
仲介会社が買取を勧めるときの本音
仲介会社の担当者が「この物件は買取のほうがいいですよ」と言う場面には、売主のためのものと、会社のためのものが混ざっています。僕自身、両方の立場を経験してきました。
| 仲介会社が買取を勧める場面 | 売主のためか会社のためか | 売主が確認すること |
|---|---|---|
| 3か月以上反響がなく、値下げしても内見が入らない | 売主のため | 反響報告(閲覧数・問い合わせ数)を書面で見る |
| 再建築不可・共有・残置物で、一般の買主が付きにくい | 売主のため | 隣地への声かけ、共有者との調整を先に試したか |
| 会社が提携する買取業者に紹介すると、会社が手数料や紹介料を得られる | 会社のため | 「買取業者から紹介料を受け取りますか」と直接聞く |
| 売主から仲介手数料を取り、買取業者からも手数料を取る「両手仲介」が成立する | 会社のため | 買取業者からも手数料を取るなら、提示額の根拠を第三者的に説明できるか |
| 売り出して1か月で「買取のほうが早い」と言う | 会社のため(早く手数料を確定したい) | 市場で試した期間が短すぎる。3か月は出す |
両手仲介そのものは違法ではありません。問題は、両手にしたいために他社からの問い合わせを止める「囲い込み」で、2025年1月1日からはレインズへの取引状況の登録が義務になりました(見抜き方は売却の流れの記事に書きました)。買取業者に流す場面も同じで、売主が「他社の買主も、他の買取業者も見たうえで、この提示額が一番だった」と確認できるかどうかが線引きです。
📝 現場メモ|紹介先の提示額を検算する
買取への切替を勧められたら、同じ物件を自分で別の買取業者1〜2社にも出す。提示額が紹介先と同じ水準なら提案は妥当。紹介先だけ低いなら、仲介会社と紹介先の関係を疑っていい。比べる材料を持っているだけで、担当者の説明の質も変わる。
僕の実家で仲介と買取を並べると
僕の実家は昭和初期に建った木造で、建物の価値はゼロかマイナス、価値は土地だけです。敷地約250㎡(約75坪)。この条件で仲介と買取を並べると、想定はこうなります。坪単価は仮の数字です。周辺の坪単価は国交省の不動産情報ライブラリで成約価格を調べられ、実数は査定で取ります。
| 項目 | 仲介(更地渡しか、解体費相当を引いた現況渡し) | 買取(現況のまま業者へ) |
|---|---|---|
| 想定価格 | 土地値:仮に坪20万円なら×75坪=1,500万円 | 上の6〜7割:900万〜1,050万円 |
| 引かれる費用 | 解体(延床で決まる。木造30坪で90万〜150万円が目安)、測量・境界確定、仲介手数料(3%+6万円+税。1,500万円なら約56万円) | なし(業者が価格から引いている) |
| 手取りの差 | 価格差450万〜600万円から、解体・測量・仲介手数料を引いた額 | ― |
| 期間 | 査定から引き渡しまで4〜6か月(築古なので延びる前提) | 1〜2か月 |
| 家族への説明 | 「集まる場所」の議論に時間がかかる分、期間の長い仲介と相性は悪くない | 決まってから話すと反発が大きい |
僕の実家の場合、広島市内の駅に近い住宅地で、共有はなく、再建築は可能、期限は今のところありません。前面道路はセットバックが必要と聞いているので、その分は使える面積から引いて見ます。残置物の量は、家の中を見て確かめる項目です。判定表に当てはめると、仲介に○が付く項目が多い。買取を選ぶ理由があるとすれば「家族が決断した後に、早く区切りをつけたい」という気持ちの部分だけで、それに数百万円を払うかどうかは、家族に数字を見せて決めることになります。
僕が仲介の側から言えるのは、この表の「想定価格」を先に埋めない限り、買取の提示額が高いのか低いのか誰にも判断できない、ということです。
一括査定サービス(イエウール)。良い点と気をつける点
買取の提示額を検算するには、市場価格=仲介の査定額が先に要ります。ただ、不動産会社に直接行くと営業がかかる。まだ「仲介か買取か」を決めていない段階では負担です。
そこで、窓口に行く前に一括査定で相場の幅をつかんでおく方法を紹介します。使うのはイエウールです。一括査定でも営業の連絡は来ますが、頼み方で減らせます(下の「気をつける点」)。なお僕は利用者として使ったことはないので、ここに書くのは査定依頼を受ける不動産会社の側から見たしくみと、イエウールの特徴です。
一括査定は、1回の入力で複数の不動産会社に同じ物件の査定を頼むしくみです。依頼を受ける会社は他社と比べられる前提で査定額と根拠を出すので、買取の提示額を測る物差しになる市場価格の幅が見えます。
イエウールの特徴(イエウール公式・ieul.jp、2026年10月確認)
- 提携不動産会社は2,500社以上。最大6社に同時に依頼できる
- マンション・一戸建て・土地のほか、一棟アパートや農地なども依頼できる
- 運営は株式会社Speee(東証スタンダード上場)。クレームの多い会社は、イエウールが契約を解除できる仕組みがある
気をつける点と、営業電話を減らす頼み方
- 匿名では使えない。名前・電話番号などの連絡先を入れるので、申し込むと複数社から電話が来ることがある
- 机上査定・訪問査定を選ぶ欄はない。備考欄に「連絡はメール希望」「まずは机上査定(訪問なし)で」と書き、電話が来たら同じことを伝える
- 断るときは「他社に決めた」の一言でよい
- 会社によって対応の速さにばらつきがある。連絡が来ない会社は候補から外せばよい
- 査定額が一番高い会社が良い会社ではない。仲介でも買取でも、根拠を説明できる会社を残す。買取の提示額は、この査定額と原価表で検算する
連絡が来た会社に買取もしているかを聞き、している会社には買取の目安も出してもらうと、仲介の査定額(上限)と買取の目安(下限)が同時に取れます。
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よくある質問
Q. 買取で売っても、相続空き家の3,000万円控除は使えますか?
A. 買主が業者でも使えます。要件は1981年5月31日以前築、相続から3年目の年末までの売却、制度は2027年12月31日まで、譲渡価格1億円以下など。家屋は耐震改修か取り壊しが必要ですが、売却の翌年2月15日までに買主が耐震改修または取り壊しをした場合も対象です(国税庁 No.3306)。買取業者が解体して再販するなら、この期限までに取り壊すことを売買契約書に入れてもらうのが確実です。相続人が3人以上なら控除は1人2,000万円。適用は税理士に確認してください。
Q. 買取業者に「仲介手数料は不要」と言われました。本当に不要ですか?
A. 業者に直接売るなら、間に仲介会社がいないので手数料は発生しません。ただし仲介会社を通して買取業者に売る場合は、仲介会社に手数料を払います。「不要」と言われたら、契約書の当事者が誰かを確認してください。買主欄が業者で、仲介欄が空欄なら本当に不要です。
Q. 買取の提示額は交渉できますか?
A. できます。原価表の項目(解体費・粗利)を聞き、他社の提示額と根拠を並べれば、1〜2割動くことがあります(現場の目安)。逆に、根拠のない「他社より高く」で釣り上げた額は、契約後の減額交渉で戻ってきます。
Q. 仲介で売り出して、買取に切り替えるタイミングは?
A. 3か月出して、価格を成約事例の水準まで下げても内見が入らないなら、切り替えを考える時期です。1か月で「買取のほうが早い」と言われたら、市場で試した期間が短すぎます。
まとめ
- 仲介と買取の差は「買主が誰か」から派生する。買取は市場価格の6〜8割(現場の経験値)で、その代わりに期間・内見・契約不適合責任・残置物の負担が消える。
- 買取価格は「再販価格-解体・片付け・測量・保有コスト・再販手数料-業者の粗利」。本当の差は粗利+保有コスト+再販手数料の部分で、提示額が5割を切るなら根拠を聞く。
- 期限が3〜6か月先にあるなら「買取保証付き仲介」。保証価格と期間を媒介契約の時点で書面にする。
- 判定は立地・築年・残置物・共有・再建築・急ぎ度の6項目。「急ぎ」の正体が本当の期限かどうかで、払う代金が数百万円変わる。期限がないなら、売らずに持つ費用とも比べる。
- 買取業者は免許番号、地域の実績、免責の明記、手付と決済日、提示の根拠で見分ける。
- 買取の提示額が妥当かは、仲介の査定額がないと判断できない。一括査定で先に相場を持つ。
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