間接排水とは?直接排水との違いと良いところ・悪いところを宅建士が解説

間接排水のイメージ(実際に内見取材した洗濯機置き場の防水パン写真)

内見動画の撮影で、「洗濯機置場は間接排水です」という物件に出会うことがあります。動画の中でもそのまま「間接排水ですね」と紹介してきたのですが、正直なところ、この一言では何のことか伝わっていないだろうな……とずっと感じていました。そこでこの記事では、賃貸物件を経営する現役大家であり宅建士でもあるアパートメントラボが、間接排水と直接排水の違い、そして間接排水のいいところ・悪いところを、取材の実感を交えてきちんと解説します。

間接排水とは?直接排水とは?

賃貸の募集図面や内見の現場で「間接排水」と言うとき、指しているのはほぼこれです。洗濯機の排水ホースを専用の排水口に直結せず、浴室の洗い場などまで延ばして水を流す方式。洗濯機置場の床に排水口がないので、ホースがお風呂場まで「旅」をします。

対して直接排水は、洗濯機置場に防水パン(洗濯機用の受け皿)と専用排水口があり、排水ホースをエルボという部品で排水口に直結する方式。今の賃貸物件ではこちらが標準です。

ちなみに設備の専門用語としての「間接排水」は、機器の排水管を排水系統に直結せず、いったん空間(排水口空間)を設けて縁を切る配管方法を指します。意味としては同じ発想ですが、この記事では部屋探しで出会う「洗濯機の排水をお風呂場へ流す方式」の話として進めます。

間接排水という方式が生まれた背景

理由はシンプルで、設計された時代に「家庭に洗濯機がある暮らし」が標準ではなかったからです。昭和30〜50年代に建てられた集合住宅では、洗濯機置場そのものが間取りに想定されておらず、後から洗面所の一角やバルコニー、浴室の入口付近に置場が設けられました。コンクリート造の建物は躯体がしっかりしているぶん、床下に新しい排水管を通す工事が簡単ではありません。そこで「排水は既にトラップ(防臭の仕組み)があるお風呂場へ流す」という現実的な解が、間接排水というわけです。

間接排水のいいところ

「間接排水=古くて不便」と敬遠されがちですが、貸す側・使う側の両方を経験している立場から言うと、良さもちゃんとあります。

  • 排水の様子が見えるので、詰まりにすぐ気付ける——直接排水の排水口は洗濯機の下に隠れていて、詰まって水があふれるまで異変に気付けないことがあります。間接排水は流れがまる見えなので、異常の発見も掃除も簡単です。
  • 下水のにおい・逆流トラブルと縁が薄い——排水はお風呂場のトラップを通るため、封水の管理は普段の浴室掃除と一体。洗濯機置場側に専用トラップがないぶん、「洗濯パンの排水口が臭う」という定番トラブルがそもそも起きません。
  • 防水パンのサイズ制約がない——古い物件の防水パンは64cm角など小さいものが多く、今の大型洗濯機が載らないことがあります。間接排水の置場はパンがないぶん、スペースとホースが届く範囲で置き方の自由度があります。
  • 「間接排水だから」と候補を外す人が多いぶん、狙い目になる——同じ立地・広さでも家賃や条件の良い物件が残っていることがあります。仕組みを理解して対策すれば普通に暮らせるので、知っている人だけが得をするポイントです。

間接排水の悪いところ

一方で、デメリットは生活のリアルな部分に出ます。ここを知らずに入居すると「聞いてないよ」となるので、正直に書きます。

  • ホースの先端が外れると床が水浸しになる——これが最大のリスクです。脱水時は水圧でホースが暴れるため、先端が浴室から抜けたりズレたりすると、廊下や洗面所に一気に水が広がります。防水パンという「受け皿」もありません。
  • 洗濯中はお風呂場が使いにくい——洗い場に排水が流れるので、洗濯機を回している間の入浴やシャワーはタイミングを選びます。洗剤の泡や糸くずが床に残れば、その都度流す手間もあります。
  • ホースが通路や扉をまたぐ——配置によっては脱衣所の扉がきちんと閉まらない、ホースにつまずく、見た目が雑然とする、といった日常の小さなストレスがあります。
  • 洗濯機の設置に条件がつく——水は高いところから低いところにしか流れないため、洗濯機をかさ上げ台で持ち上げて排水の勾配を確保する必要が出ることがあります。真下排水前提のドラム式など、機種によっては設置が難しいケースもあります。
  • 万一の水漏れは階下トラブルに直結しやすい——受け皿がない状態での水漏れは床から階下へ、が最悪のコースです。賃貸なら家財保険の「個人賠償責任特約」が付いているか、契約時に必ず確認してください。

内見時のチェックポイントと、住むときの対策

間接排水の物件を検討するときは、内見で次の3点を見てください。私自身、内見動画ではなるべく洗濯機置場と排水の経路が分かるように撮るようにしています。

  1. 洗濯機置場から浴室までの距離と経路——ホースが扉をまたぐか、延長ホースが必要な距離か。
  2. 置場のスペースと蛇口の高さ——手持ちの洗濯機が入るか採寸。かさ上げ台を使う前提なら高さも忘れずに。
  3. 浴室側の排水口の位置——ホースの先端を固定しやすい形状かどうか。

住み始めてからの対策は、①ホースの先端を重りや吸盤フックで必ず固定する、②かさ上げ台で排水の勾配を確保する、③糸くずフィルターをこまめに掃除して浴室側の詰まりを防ぐ、の3つでほとんどのトラブルは防げます。引越し当日の水抜きや設置の段取りは引越しチェックリスト【時期別・保存版】にまとめています。

よくある質問

間接排水の物件は避けたほうがいいですか?

仕組みを理解して対策すれば、日常の困りごとはほぼ固定と掃除の話に集約されます。そのぶん家賃や広さの条件が良いことが多いので、「知った上で選ぶ」なら十分アリです。逆に、ホースの管理をどうしても面倒に感じる方は直接排水の物件を選んだ方がストレスがありません。

ドラム式洗濯機は置けますか?

機種と置場の条件次第です。ドラム式は重くて背が高く、かさ上げすると蛇口や吊り戸棚に干渉することがあります。真下排水しかできない設置条件だと間接排水には向きません。検討中の型番の「設置に必要な寸法」と排水ホースの取り回しを、内見の採寸と突き合わせてから判断してください。

自分で直接排水に変える工事はできますか?

賃貸では貸主の承諾なしに排水設備を変える工事はできません(退去時は原状回復が原則です)。どの賃貸物件でも、勝手な改造は契約違反になります。どうしても直接排水がよい場合は、工事ではなく物件選びの段階で条件に入れるのが正解です。

まとめ|「間接排水」の一言で候補から外すのはもったいない

間接排水は、洗濯機の排水をホースで浴室へ流す方式です。ホースの固定と勾配の確保さえ押さえれば怖いものではなく、むしろ排水の状態が見える・においのトラブルが少ない・家賃条件が良い、といった実利もあります。当サイトでは実際の内見動画で洗濯機置場や水回りをそのままお見せしています。全国の取材物件マップ初めての賃貸で損しない完全ガイドもあわせてどうぞ。

畠山 晴允(はたけやま はるみつ)/アパートメントラボ合同会社 代表・宅地建物取引士

登録者14万人のYouTubeチャンネル「アパートメントラボ」を運営し、賃貸・分譲・戸建ての内見動画を制作。自身も広島で一棟アパートを経営する現役の不動産オーナー。UR都市機構などの物件PR動画も手がけ、賃貸を「借りる側」と「貸す側」の両方の視点から発信しています。運営者について >

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