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「実家をどうにかしないといけないのは分かっている。でも、何から考えればいいのか分からない」。売買の仲介の現場で、何度も聞いてきた言葉です。
僕自身も同じです。昭和初期に建った築50〜60年超の実家を、建て替えるか、アパートと併用するか、売るかで検討し、併用は見積3〜5億円・利回り3%で断念。僕は売却派ですが、親戚が集まる家を残したい家族と話し合いが続いています。
この記事は、そういう状態の人のための入口です。10の質問に答えると「売る・貸す・壊す・残す」のどれかに落ちるチャートと、4択それぞれの費用・期間・向く家、結果別の最初の90日、判断が割れたときの決め方をまとめました。
数字は2026年9月時点の公開データと、シリーズ内の既存記事の試算をもとにしています。税務・法務の個別判断は税理士・司法書士にご確認ください。
先に結論
- 4択は「どれが正解か」ではなく、消去法で決まる。住む人がいなければ「残す」が消え、旧耐震で未診断なら「貸す」が消え、買主が決まっていなければ「壊す」が消える。残ったものが答え。
- 費用の桁が違う。売るは約100万〜150万円+仲介手数料、貸すは150万〜300万円、壊すは140万〜200万円、残すは年16万〜40万円の持ち出しが続く。
- 期限が決め手になる。相続空き家の3,000万円控除は相続から3年目の年末まで(制度は2027年12月31日まで)。ここを過ぎると、同じ「売る」でも税額が数百万円変わる。
- 判断が割れたら、意見ではなく相場と維持費の数字を先に並べる。僕の家族会議もそこから動いた。
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10の質問と、答えがどの選択肢に効くか
チャートの使い方は単純です。10問に「はい/いいえ」で答え、各選択肢についた○の数を数える。×がついた選択肢は、その条件を解消しない限り候補から外す。○が最も多く残ったものが、あなたの実家の第一候補です。
質問は、相談を受けるときに「この人はどこに落ちるか」を判断する順番に並べました。上の質問ほど、答えが選択肢を大きく絞ります。
| # | 質問 | 「はい」なら | 「いいえ」なら | 自分で確かめる方法 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 3年以内に、家族の誰かがこの家(または建て替えた家)に住む具体的な予定があるか | 残す○(建て替え含む) | 売る○ 貸す○ | 「いつか誰か」は「いいえ」。名前と時期が言えるかで判定 |
| 2 | 建築確認が1981年5月31日以前(旧耐震)か | 売る○(3,000万円控除の対象) 壊す○ 貸す×(診断・改修なしで貸すのは勧めない) | 貸す○ 残す○ | 登記事項証明書の「新築年月日」か、固定資産税の納税通知書。築年不詳なら旧耐震と見なす |
| 3 | 駅徒歩15分以内か小中学校が近く、幅4m以上の道路に2m以上接しているか | 貸す○ 売る○ | 壊す×(再建築不可なら更地にすると価値が落ちる) 売る△(買取ルート) | 接道は市区町村の建築指導課で道路種別を確認 |
| 4 | 相続人(または名義人になる人)が1人、または全員の意見が一致しているか | どの選択肢も進められる | 売る○(現金にすると分けやすい) 残す×(共有のまま残すと次の代で揉める) | 兄弟全員に「売る・貸す・壊す・残す」の4択で聞く。「任せる」は一致に数えない。登記事項証明書の名義が祖父母のままなら相続人が想定より増え、その相続登記も過去分として2027年3月31日が期限(法務省) |
| 5 | 年16万〜40万円の維持費を、誰が何年払うか決まっているか | 残す○ | 残す× 売る○ | 固定資産税の納税通知書+火災保険+交通費で年額を出す。税額は同封の課税明細書の「課税標準額」×1.4%(標準税率、総務省)で自分で計算できる |
| 6 | 相続済みで、相続から3年目の年末(かつ2027年12月31日)まで1年以上あるか | 売る○(期限内に急ぐ) | 期限は効かない。親が存命なら住まなくなって3年目の年末が別の期限 | 相続開始日(親の死亡日)から数える。国税庁 No.3306・No.3302。親が施設に入っているなら、要介護認定の有無と入所前に一人で住んでいたかを控える(老人ホーム入所の特例に関わる) |
| 7 | 駐車場2台が取れ、水回りが使え、家賃7万円前後で借り手がつく地域か | 貸す○ | 貸す× | 賃貸ポータルで同じ町の戸建て賃貸の家賃と件数を見る |
| 8 | 自治体に解体補助金があり、更地の需要(建売・注文住宅の土地)があるか | 壊す○ | 壊す×(現況渡しで売る) | 「市名 空き家 解体 補助金」で検索。更地需要は査定で「建物付き」「更地」の両方を聞く |
| 9 | 家族が年に何度も集まる、仏壇や思い出で「手放せない」気持ちが強いか | 残す○(期限つき) | 売る○ 壊す○ | 去年1年で家を使った回数を数える |
| 10 | 決めなければならない期限(親の施設費用、相続税の納付10か月、管理できない事情)があるか | 売る○(現金化が最短) | 残す○(ただし見直し日を決める) | 相続税の申告・納付は相続開始から10か月以内(国税庁 No.4205) |
数え方は、答えた側の列(「はい」か「いいえ」)に書かれた○を、選択肢ごとに足すだけです。×は○から引かずに「その条件を解消するまで保留」の印として別に控え、△や○の書かれていない答えは数えません。集計すると、たいてい次のどれかになります。
| ○の出方 | 落ちる先 | 典型的な実家 |
|---|---|---|
| 売る○が4つ以上、残す× | 売る | 旧耐震、住む人なし、相続人複数、遠方 |
| 貸す○が3つ以上、貸す×なし | 貸す | 新耐震、駅か学区の近く、駐車場2台、水回りが生きている |
| 壊す○が2つ以上、かつ売る○も多い | 壊して売る(更地渡し) | 老朽危険の判定が出る家で、更地の買主がつく地域 |
| 残す○が3つ以上、残す×なし | 残す(当面) | 3年以内に住む人がいる、近距離、年に何度も使う |
| 売る○と残す○の差が1つ以内で、残す×もある | 判断が割れている | 僕の実家。後半の章で扱う |
🔢 数字メモ|旧耐震木造の倒壊率28.2%
2016年の熊本地震で、旧耐震(1981年5月以前)の木造は28.2%が倒壊・崩壊し、2000年基準以降の木造は2.2%だった(益城町の悉皆調査。国土交通省・建築研究所「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書)。質問2で「はい」の家は、診断していなくてもこの区分にいる。
質問3の接道は、読者が一番飛ばしやすい項目です。前面道路が4m未満でも、建築基準法42条2項道路ならセットバックすれば建て替えできますが、道路と認められていない通路だと再建築不可になり、売値も貸し方も変わります。ここだけは自分の目で判断せず、市区町村の建築指導課に地番を伝えて確認してください。仲介会社が「再建築できます」と口頭で言っても、僕はこの確認をしてから契約に進みます。
4択それぞれの費用・期間・向く家・向かない家
チャートで候補が絞れたら、その選択肢に何がかかるかを見ます。数字はシリーズ内の記事(実家じまいの費用・賃貸の収支・解体と補助金・空き家管理)の試算をそのまま使い、モデルは木造30坪・土地1,500万円で売れる実家で揃えています。
| 項目 | 売る | 貸す | 壊す(解体して売る/活用) | 残す(当面維持) |
|---|---|---|---|---|
| 初期費用 | 約100万〜150万円(片付け・測量・印紙)+仲介手数料(価格×3%+6万円+消費税) | 150万〜300万円(水回り・内装・残置物処分)。旧耐震なら耐震改修100万〜150万円が上乗せ | 木造30坪の本体90万〜150万円、残置物・塀・アスベスト調査など付帯込みで140万〜200万円。補助金は補助率1/3〜1/2・上限50万〜150万円(着工前申請) | 0〜数万円(火災保険の見直し、鍵の交換) |
| 毎年の収支 | 0円(売却後は維持費なし) | 家賃7万円なら手残り約54万円/年。初期費用200万円で回収に約4年 | 更地にすると土地の固定資産税・都市計画税が約5万円→約17.9万円/年(評価額1,500万円の例) | 年16万〜40万円の持ち出し(固定資産税・保険・光熱基本料・管理費・交通費) |
| 期間 | 査定から引き渡しまで4〜6か月。地方・築古は1年超も | 工事1〜3か月+募集。将来売るなら定期借家で出口を確保 | 補助金の申請から工事完了まで3〜6か月。年度予算が上半期で埋まる自治体もある | 見直し日を決める。目安は相続から3年目の年末 |
| 向く家 | 住む人がいない/旧耐震で控除が使える/相続人が複数 | 新耐震/駅徒歩15分か学区内/駐車場2台/水回りが生きている | 老朽危険の判定が出る/更地の需要がある/買主が決まっている | 3年以内に住む人がいる/車で1時間圏/年に何度も使う |
| 向かない家 | 3年以内に住む人がいる/再建築不可(買取ルートを検討) | 旧耐震で未診断/遠方で管理できない/相続空き家の控除を使う予定 | 買主未定で年を越す/再建築不可/前面道路4m未満で重機が入らない | 遠方で誰も使わない/旧耐震のまま人が集まる/費用の負担者が未定 |
| 出典 | 実家じまいの費用記事(各社相場・宅建業法)、売却期間は東日本レインズ2025 | 賃貸記事(一建設ほか各社相場、HOME4U) | 解体記事(HOME4U、ペガサス解体、CIC日本建設情報センター、各自治体) | 管理記事(空き家パス比較、日本郵便公式ほか) |
表を見て気づいてほしいのは、費用の桁ではなくお金の流れる向きです。売るは一度払って終わり、貸すは先に払って後から戻る、壊すは払った後に税金が増える、残すは毎年出ていく。同じ200万円でも、意味が全部違います。
「残す」の中には「建て替える」も含みます。木造30坪なら本体2,200万〜2,700万円、解体・外構・諸費用込みで3,000万円前後(2025年の木造坪単価74.6万円、archi-book)。質問1で名前と時期が言えるなら合理的ですが、言えないまま建てると数千万円かけて次の空き家を作ることになります。
「貸す」は、僕が一番慎重に見る選択肢です。年54万円の手残りは、給湯器や雨漏りの修繕が1回来れば消えます。それでも駅・学区・駐車場・水回りの4つが揃う家は貸す価値があり、逆に4つのうち2つ欠けると家賃を下げても決まりません。
⚠️ 失敗メモ|「とりあえず貸す」で控除を失う
相続した旧耐震の家を「売れるまで貸そう」と2年貸し、売却時に相続空き家の3,000万円控除が使えなかった例を見た。要件に「相続から売却まで事業・貸付・居住の用に供していないこと」がある(国税庁 No.3306)。旧耐震で相続済みなら、貸す前に控除の額を計算する。
「壊す」は単独では成立しません。壊した先に「売る」か「活用する」がある。解体費を払った上に、翌年1月1日に更地のままだと住宅用地の特例が外れて土地の固定資産税が上がる。だから壊すのは、買主が決まってからの更地渡し特約か、1月2日以降に壊して年内に引き渡すのが原則です。
📖 用語メモ|住宅用地の特例
住宅が建っている土地は、200㎡までの部分の固定資産税の課税標準が1/6(都市計画税は1/3)、200㎡を超える部分が1/3(同2/3)に減額される制度(総務省)。建物を壊すか、管理不全空家・特定空家の勧告を受けると、翌年度からこの減額が外れる。
結果別・最初の90日でやること
候補が決まったら、最初の90日で「決めた選択肢が本当に成立するか」を確かめます。ここで大事なのは、どの選択肢でも相場を先に取ること。売らない人も、残すコストと比べる基準がないと判断が空論になります。
| 選択肢 | 1〜30日 | 31〜60日 | 61〜90日 |
|---|---|---|---|
| 売る | 名義を確認し、親名義なら相続登記に着手(2024年4月から3年以内が義務、法務省)。匿名査定を「建物付き」と「更地」の両方で取る | 訪問査定を2〜3社。境界確定測量の要否と、自治体の解体補助金の有無を確認。家族で権利証・通帳・写真を抜く | 媒介契約(遠方の実家は専任媒介が基本)。片付け業者に複数見積。売り出し開始 |
| 貸す | 自治体の耐震診断制度に申込(無料〜数万円、報告書まで3週間前後)。賃貸仲介2社に想定家賃と成約件数を聞く | 診断結果を受けて、耐震改修+水回り・内装の見積を2社以上。年間手残りの表を作る | 手残りで初期費用を5年以内に回収できるなら定期借家で募集。できなければ「売る」に戻る |
| 壊す | 自治体の補助金要件(着工前申請・老朽危険判定・年度予算)を確認。更地の相場を匿名で取る | 解体3社に「付帯込み」で相見積。アスベスト事前調査(2006年以前の建物はほぼ分析対象)。建物付きで売る場合との手残り差を出す | 補助金の交付決定→契約の順を守る。買主が未定なら契約書を「更地渡し特約」にして解体は決済前に回す |
| 残す | 火災保険の加入状況を確認(空き家は断られる会社もある)。管理の担当者と費用分担を家族で決める | 月1回の換気・通水の体制を作る。遠方なら管理サービス(月5,000〜15,000円。外観確認だけなら郵便局の空き家みまもり月4,280円)の見積 | 家族で「見直し日」を決めて書き残す。目安は相続から3年目の年末、または管理費累計100万円 |
「売る」の1〜30日に相続登記を入れたのは、ここが一番時間を食うからです。名義が亡くなった親のままだと売買契約ができません。相続人が複数いると遺産分割協議書に全員の実印が要り、兄弟の1人が海外にいるだけで1か月延びます。
「貸す」の90日目に「売るに戻る」と書いたのは、撤退ラインを最初に決めておかないと、リフォーム見積を見た段階で「ここまで調べたから」と進んでしまう人が多いからです。僕が見る撤退ラインは、初期費用を家賃の手残りで5年以内に回収できないことです。
「残す」の見直し日は、決めた日に「もう1年」と延ばしても構いません。ただし、延ばすときも家族全員で費用の累計を見て決める。それをしないと、10年後に管理費300万円と傷んだ家が残ります。
⚠️ 失敗メモ|「合意したつもり」の査定
長男が「兄弟は反対していない」と査定を取り、媒介契約まで進んでから妹が「聞いていない」と止めた例を見た。相続人が複数なら、査定書をそのまま全員に渡し、「売るか」ではなく「この金額なら売るか」で返事をもらう。合意は、数字を見た後の返事で確認する。
判断が割れたときの決め方
チャートを使っても、○が同数で並ぶことがあります。割れ方は大きく3つです。
| 割れ方 | 起きていること | 決め方 |
|---|---|---|
| 家族の意見が違う(自分は売る、親や兄弟は残す) | 「売る/残す」の二択で話しているので、感情のぶつけ合いになる | 「残すために年いくら、何年払うか、誰が管理するか」に言い換える。相場と維持費の数字を先に出す |
| 数字では売却だが、気持ちは残す(自分の中で割れる) | 質問5・10(お金・期限)は売る、質問9(思い入れ)は残す | 「残す」に期限と条件をつける。期限が来たら、そのとき改めて4択で決める |
| 相続人が「任せる」と言って決めない | 決めない人は、後で結果に文句を言う | 4択を紙に書き、全員に○をつけてもらう。書いた記録が、後からの蒸し返しを防ぐ |
📖 用語メモ|換価分割と代償分割
換価分割は、相続した家を売って現金を相続人で分ける方法。代償分割は、1人が家を取得し、他の相続人に代償金を払う方法。「残したい人」が代償金を払えるかで、残す案が現実か分かる。分け方は相続税にも影響するので、税理士に確認する。
自分の実家を、このチャートに当てはめてみます。
| # | 僕の実家 | 効く選択肢 |
|---|---|---|
| 1 住む人 | いまは親のひとりが住んでいる。その後に家族の誰かが住むかは決まっていない。「いつか誰か」の段階 | 売る○ 貸す○ |
| 2 築年 | 築年不詳で昭和初期と聞いている。旧耐震 | 売る○ 壊す○ 貸す× |
| 3 立地 | 広島市内の駅に近い住宅地。前面道路はセットバックが必要と聞いている(接道の種別は市の道路台帳で確かめる) | 売る○ 貸す○ |
| 4 相続人の意見 | 僕は売却派、家族は残したい | 売る○ 残す× |
| 5 維持費 | 現時点では払えている。誰が何年払うかは決めていない | 残す×寄り |
| 6 控除の期限 | 相続は未発生で、名義はいま住んでいる親。売るなら居住用財産の控除が対象 | 期限は効かない |
| 7 賃貸需要 | 敷地約250㎡で駐車場は取れるが、築50〜60年超で水回りは交換前提と想定 | 貸す× |
| 8 解体費 | 延床は未確認(固定資産税の課税明細書や登記簿で分かる)。想定で200万〜300万円 | 壊す△ |
| 9 思い入れ | 親戚が集まる家。家族の気持ちは強い | 残す○ |
| 10 期限 | 期限はない | 残す○ |
売る○が4つ、残す○が2つに残す×が2つ。数字だけ見れば売却寄りです。それでも僕は、家族の「残したい」を数字で論破することはしていません。
僕がやったのは、残す案を具体化することでした。実家とアパートを一体にすれば、収益で建築費を返しながら場所も残る。そう考えて複数社に見積を取ったところ、RC造7〜8階・1LDK16〜18戸で総事業費3億〜5億円、表面利回り3%、頭金6,000万円超。人に勧められない数字だったので、併用案は消えました。
この経過を家族に見せたことで、話し合いは「売る/残す」から「残すなら、誰がいくら払って何年維持するか」に変わりました。いまは「場所」ではなく「集まれること」を残す案、つまり売却資金で親戚が集まれる広さの住まいを近くに用意する案を僕から出しています。結論はまだです。ただ、感情で止まっていたころより、数字を並べてからのほうが確実に前に進んでいます。
📝 現場メモ|チャートは毎年たどり直す
このチャートは「今の答え」しか出さない。親の入院、兄弟の転勤、相続の発生で、質問1・4・6の答えは一晩で変わる。年に一度、固定資産税の納税通知書が届いたら10問をたどり直す。答えが変わった年が、動く年。
僕が使っている相場の調べ方
チャートの質問6・8、90日プランの全部に「相場」が出てきます。売るつもりがなくても、相場が分からないと「残すコスト」も「建て替えの予算」も比べられません。
ただ、いきなり不動産会社に来店すると営業がかかります。迷っている段階ではそれが負担で、動けなくなる人が多い。
そこで僕が使っているのが、LIFULL HOME’Sの不動産売却査定です。仕事でLIFULLさんと一緒になることが多く、仕組みも分かっているので、正直な特徴を書きます。
良い点
- 匿名で査定依頼ができる。名前や電話番号を出さずに、まず相場感だけ取れる
- 提携約1,700社、最大6社まで同時依頼。地方は大手より地元会社が強いことが多く、地元会社の登録が充実している
- 連絡方法を電話・メール・郵送から選べる。「メール希望」にすれば電話攻勢は避けられる
気をつける点
- 大手不動産会社の登録は少なめ。大手の査定も欲しい場合は別途依頼する
- 会社によって対応の速さにばらつきがある。連絡が来ない会社は候補から外せばよい
- 査定額が高い会社が良い会社とは限らない。根拠を説明できる会社を選ぶ
僕の使い方
- 備考欄に「建物付きと更地の両方」「築年不詳」と書く。これで壊す・売るの判断材料が一度に揃う
- 家族に見せるのは、複数社の査定価格のうち低いほうから2番目。査定書の「査定価格」(成約が見込める額)と「売出提案価格」(最初に出す値付け)は別物なので、比べるのは査定価格のほう。高い数字で計画を組むと、後で値下げになったときに信頼を失う
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▼ 質問1で「住む人がいる」なら、建て替えの相場も(複数社のカタログ・プランを無料一括請求)
▼ 田舎の実家で「売る」に落ちたら、掲載無料の自治体の空き家バンクも並行して
よくある質問
Q. 10問のうち半分は「分からない」です。
A. 「分からない」は「いいえ」で仮に進めず、表の「自分で確かめる方法」の列で30日以内に埋めてください。築年は登記事項証明書か納税通知書、接道は役所、相場は匿名査定、賃貸需要はポータルの件数。この4つは、それぞれ1日あれば分かります。
Q. 親が存命です(実家に住んでいる、または施設に入っていて意思確認が難しい)。今やることはありますか。
A. 親が住んでいるなら、今すぐ4択を決める必要はありません。ただし質問1・5・9(住む人・維持費・思い入れ)は、親が元気なうちに家族で答えを出しておくと、施設入所や相続のときの負担がまったく違います。親が住まなくなった後に売る場合は、居住用財産の3,000万円控除(住まなくなった日から3年目の年末まで、国税庁 No.3302)が別にあります。
施設に入っていて戻る見込みが薄いなら、質問1は「いいえ」で進め、質問6の欄のとおり要介護認定と入所前の暮らしを控えてください。相続後に売るときの控除(老人ホーム入所の特例、国税庁 No.3306)に関わります。認知症などで本人の判断が難しいと、売却に成年後見の手続きが要ることがあるので、早めに司法書士に確認してください。
Q. 「売る」と「貸す」の両方に○が多くつきました。
A. 旧耐震で相続済みなら、控除の有無で「売る」が優先です。相続後に一度でも貸すと控除が消え、賃貸記事の試算では10年貸しても手元に残る総額は今売るのとほぼ同じでした。新耐震ならもともと控除の対象外なので、土地値が横ばいなら10年貸したほうが賃貸の手残り分(約240万〜340万円)だけ上回ります。その場合は、10年間の借り手対応と修繕判断を引き受けられるかで決めてください。
Q. 家族が「壊すのはかわいそう」と言って進みません。
A. 壊すかどうかは売主が決めなくていい場合があります。建物付きで売って買主が解体する「現況渡し」なら、解体費も判断も買主側です。相続空き家の控除も、買主が翌年2月15日までに取り壊せば使えます。「壊す」を家族の議題から外すだけで、話が進むことがあります。
まとめ
- 4択は消去法。住む人・耐震・接道・相続人の意見・維持費の5問で、たいてい2択まで絞れる。
- 費用は、売る約100万〜150万円+仲介手数料、貸す150万〜300万円、壊す140万〜200万円、残す年16万〜40万円。お金の流れる向きが全部違う。
- 期限は相続から3年目の年末(制度は2027年12月31日まで)。相続済みで旧耐震なら、この期限が最優先の判断材料になる。
- どの選択肢でも、最初の30日で相場を取る。売らない人ほど、比べる基準が要る。
- 判断が割れたら「残すために、誰が、いくら、何年」に言い換える。僕の家族会議もそこから動いた。
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