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田舎の実家や相続した土地に行ってみたら、境界杭がどこにもない。隣は山か畑か藪で、自分の土地がどこからどこまでなのか、現地に立っても分からない。売るにしても貸すにしても、壊すにしても草を刈るにしても、範囲が分からないと何も始められません。
私も2026年10月、広島県内で購入を検討している古民家で同じ壁に当たりました。敷地は隣の山林の草木に飲み込まれ、杭は打たれていない。そこで不動産会社の担当者から教わったのが、「確定させなくても、登記所の図面の座標から”おおよその位置”は分かる」という頼み方でした。
この記事では、杭がないときにまず見る3つの図面、「おおよそを知る」と「確定する」の違いと費用、山林で境界が消える理由、私がこれからやる手順、出口ごとに必要な作業がどこまで変わるかをまとめます。
制度・手数料は2026年10月時点で各官庁の公表資料を確認したものです。境界は隣地の権利に関わるので、個別の判断は土地家屋調査士や弁護士に確認してください。測量費用は地域・筆数・現地の状況で大きく変わります。
先に結論
- 杭がなくても、登記所に備わる図面(14条地図・公図・地積測量図)から「おおよその位置」は分かることが多い。まず図面の種類を確認する。
- 「確定する」と「おおよそを知る」は別の仕事。隣地と立ち会って境界を確定する測量は数十万円、図面の座標から現地に仮の印を落とす作業はそれより軽い。ただし仮の印は、確定した境界ではない。
- 精度は図面の種類で決まる。14条地図(地籍調査の成果など)なら現地復元性がある。公図(地図に準ずる図面)は明治の図面由来で、形も位置もずれることがある。
- 売る・分筆する・隣と揉めているなら確定が要る。草刈りや解体の範囲を知るだけなら、確定まではいらない。
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境界杭がないとき、まず調べる3つの図面
現地に杭がなくても、登記所(法務局)には土地ごとの図面が備わっています。どの図面があるかで、「おおよそ」の精度も、頼む作業の重さも変わります。
| 図面 | 何が分かるか | 座標値 | 取り方・手数料 | 精度の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 登記所備付地図(14条1項地図) | 各土地の区画と地番。現地を復元できる精度で作られた地図。地籍調査の成果(地籍図)や法務局の地図作成作業が元 | あり(公共座標) | 法務局窓口で写し500円(オンライン請求・送付470円、窓口受取440円)。登記情報提供サービスで360円 | 高い。座標から現地に点を落とせる |
| 地図に準ずる図面(公図) | 土地の位置関係・形・地番。明治の地租改正時の図面を引き継いだものが多い | なし(図形のみ) | 同上 | 低い。形や位置がずれることがある。隣との並び順を見るもの |
| 地積測量図 | その土地の筆界点の座標、辺の長さ、面積、境界標の有無。分筆や地積更正の登記のときに提出された図面 | 2005年施行の現行規則以降は原則あり(基本三角点等に基づく座標値) | 同上 | 新しいものほど高い。古いものは座標がなく、辺長だけのこともある。そもそも無い土地も多い |
図面の名前は 不動産登記法 14条から来ています。1項が「登記所には地図を備え付ける」、4項が「地図が備え付けられるまでの間、これに代えて地図に準ずる図面を備え付けることができる」。つまり公図は、本来の地図ができるまでの”つなぎ”の図面です。法務省の説明では、公図は「明治期の地租改正の際に作成されたものが多く、現地を復元するほどの精度と正確性は有していない」とされています(法務省「法務局地図作成事業の推進」)。
地積測量図の座標は 不動産登記規則 77条で決まっていて、1項8号が「基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値」。近くに基本三角点等がなければ「近傍の恒久的な地物に基づく測量の成果による筆界点の座標値」で代える(2項)とあります。2005年より前の地積測量図は辺の長さだけで座標がないものが多く、現地復元には使いにくい。これが「新しい地積測量図があるかどうか」を最初に見る理由です。
手数料は 法務省「登記手数料について」 と 法務省「登記情報提供サービスの利用料金等一覧」 の値です。登記情報提供サービスはインターネットで図面をPDFで見られるので、まず自宅で地番を入れて、何が出てくるかを確かめるのが早い。全部事項(登記簿)が330円、所有者事項が140円、地図・図面が360円です。
見分け方のコツは、取り寄せた図面の欄外です。14条地図なら「地図」の分類と座標系の番号が入り、公図なら「地図に準ずる図面」と書かれています。精度区分や「座標値あり」の記載があれば、調査士が現地に落とすときの精度の目安になります。
📖 用語メモ|筆界と所有権界
筆界(ひっかい)は、土地が登記されたときに区画として定められた公法上の線で、当事者の合意では動かせない。所有権界は「ここまでが自分のもの」という私法上の線。ふつう一致するが、長年の占有や口約束でずれていることがある。登記所の図面が示すのは筆界のほう。
「おおよそを知る」と「確定する」は別の仕事
ここが、私自身が今回まで知らなかった点です。不動産の売買で「測量」と言えば、隣地と立ち会い、境界確認書を交わし、杭を入れ、地積測量図を作って登記まで持っていく「境界確定測量」でした。でも目的が「草を刈る範囲を知りたい」「解体のとき隣の木を傷めたくない」なら、確定までは要りません。登記所の図面の座標を現地に落とし、仮の印を立ててもらう作業で足ります。
| 目的 | 必要な作業 | 頼む先 | 費用の目安 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 草刈り・解体の範囲・隣への配慮 | 境界点の復元・現況の把握(図面の座標を現地に落とし、仮杭・ピンで印をつける) | 土地家屋調査士 | 公的な相場表はない。筆数・点数・現地までの距離で変わる。立ち会い・登記がない分、確定測量より軽い。目的を伝えて見積を取る(地域差あり) | 数日〜数週間(目安) |
| 売却・分筆・地積更正 | 境界確定測量(隣地所有者・道路管理者と立ち会い、境界確認書、杭の設置、地積測量図) | 土地家屋調査士 | 登記まで含めた全国平均:地積更正登記で約39万円、分筆登記で約42万円(いずれも税抜・市街地の宅地180〜264㎡の設例)。山林・筆数が多い・隣地所有者が遠方だと上振れ | 1〜3か月。隣地の都合で延びる |
| 隣と筆界の位置で争っている | 筆界特定制度(法務局の筆界特定登記官が特定)、または調査士会のADR | 法務局(申請は調査士に代理を頼める) | 申請手数料は土地価格の合計で計算(例:合計4,000万円で8,000円)。測量が必要なら申請人負担で、おおむね50万〜80万円 | 標準処理期間は9か月。事案により超える |
費用の全国平均は 日本土地家屋調査士会連合会「土地家屋調査士 報酬ガイド」(2022年度アンケート) の設例です。地積更正登記は「道路及び隣接民有地と筆界確認を行う」条件で平均390,316円、分筆登記は同じく筆界確認を含んで平均422,909円。どちらも市街地の宅地で、隣接地5〜6筆、事務所から現場まで約4kmの条件なので、山林で隣が何筆もある実家ではこの数字をそのまま使えません。幅を持って見てください。
一方、復元・現況だけの作業には、この報酬ガイドにも設例がありません。私が担当者から聞いたのは「確定ではなく”だいたいこの辺”を教えてもらう作業なので、そこまで費用はかからない」という説明までです。実際に頼むときは、「登記に使う図面は要らない。14条地図(または地積測量図)の座標を現地に落として仮の印を立ててほしい」と目的を先に言い、見積を取ってください。
もう一つ、復元で立てた印は「図面上の筆界をここと読んだ」という位置であって、隣地と確認した境界ではありません。隣が「そこは違う」と言えば、復元の結果で押し通すのではなく、確定測量か筆界特定の話に移ります。
筆界特定制度は 法務省「筆界特定制度」 と 東京法務局「筆界特定制度に関する”よくある質問”」 に手数料の計算方法、測量費用の負担、標準処理期間が載っています。筆界を新たに決めるのではなく、「もともとの筆界はここ」と法務局が判断して示す制度で、不服なら裁判(筆界確定訴訟)に進めます。
📖 用語メモ|土地家屋調査士と測量士
登記に関わる土地の調査・測量と、表示に関する登記の申請代理は土地家屋調査士の業務(土地家屋調査士法3条)。調査士でない者がこれを業とすることは同法68条で禁じられている。測量士は測量法の資格で、公共測量や工事測量が主戦場。「境界」が絡む仕事は調査士に頼む。
山林・田舎の土地で境界が消える理由と、地籍調査の進み具合
なぜ田舎の実家ほど杭がないのか。理由は単純で、杭を入れる機会がなかったからです。都市部の宅地は、売買や分筆、建て替えのたびに測量が入り、杭が打たれ、新しい地積測量図が登記所に残ります。山林や田畑は何十年も動かず、相続で名義が変わるだけ。杭があったとしても、木の根や土砂で埋まり、草に飲まれます。
そこで国が進めているのが地籍調査です。国土調査法 2条5項で「毎筆の土地について、その所有者、地番及び地目の調査並びに境界及び地積に関する測量を行い、その結果を地図及び簿冊に作成すること」と定義され、市町村が主体で進めます。成果は同法20条で登記所に送られ、登記所備付地図(14条1項地図)として備え付けられます。地籍調査が済んだ地域は、14条地図が備わっていることが多いのはこの仕組みのためです。
ただ、進み方には大きな差があります。
| 地帯 | 対象面積 | 進捗率(2025年度末) |
|---|---|---|
| 全国(地籍調査対象地域) | 287,966km² | 53% |
| うち優先実施地域 | — | 81% |
| DID(人口集中地区) | 12,673km² | 27%(法務局の地図作成作業を合算すると30%) |
| 宅地(DID以外) | 19,453km² | 52% |
| 農用地 | 77,690km² | 71% |
| 林地 | 178,150km² | 47% |
出典は 国土交通省 地籍調査Webサイト「全国の地籍調査実施状況」(2025年度末時点、2026年6月調べ)。都市部と林地が遅れており、都道府県別でも関東・中部・近畿には20%に届かない府県が並ぶ一方、佐賀99%・沖縄98%と差が極端です。広島県は64%でした。自分の実家は、同サイトの市区町村別進捗率か、市町村の地籍調査担当課で確認できます。
国交省の同サイトでは、登記所に備わる図面のうち「正確な測量に基づき作成された地図は、全体の半数程度」で、残りの大部分が明治時代に作られた公図だと説明しています(「登記所備付地図の整備状況」)。つまり、日本の土地の半分は、まだ”つなぎの図面”しかない。実家が公図しかない地域なら、「おおよそ」も精度が落ちることを前提に、隣地との立ち会いの重みが増します。
🔢 数字メモ|法務局の地図作成は10年で230km²
法務省の2025年度からの新計画は、防災・まちづくり型200km²+大都市特化型30km²を10年で作る(法務省「法務局地図作成事業の推進」)。対象は都市部の地図混乱地域で、山林は入らない。山林の14条地図は市町村の地籍調査を待つしかない。
実体験メモ:杭のない古民家で、私がこれからやる手順
いつ・どこで:2026年10月、広島県内の山林に隣接した古民家(売り物件)。購入を検討していて、2回現地を見ました。
やったこと・分かったこと:敷地の奥は隣の山林の草木に飲み込まれていて、自分の敷地がどこまでかは現地では判断できませんでした。境界杭は見当たりません。案内してくれた不動産会社の担当者に聞くと、「この地域は登記所の地図(不動産登記法14条1項の地図)が備わっているので、座標から測量の専門家に頼めばおおよその位置が分かる。境界を確定させる作業ではなく『だいたいこの辺』を教えてもらう作業なので、そこまで費用はかからない」という説明でした。
驚いたこと:不動産業界に10年いて、売買の仲介で「測量」と言えば確定測量のことだったので、確定させずに「おおよその位置だけ知る」という頼み方があることを、私は知りませんでした。売買では買主が登記面積と現地の一致を求めるので確定が前提になる。でも「自分で使うために範囲を知りたい」だけなら、別の軽い頼み方がある。これは1つの例で、図面が14条地図だったからこそ成り立つ話でもあります。公図しかない地域なら、同じ頼み方でも精度は落ちます。
これからやること:隣の山林の所有者は「勝手に伐採してもらって構わない」と言ってくれています。それでも、どこまでが自分の土地かを把握しないまま手を入れるつもりはありません。範囲を知ってから、隣地にはみ出さないように草木を払う予定です。
| 手順 | やること | 私の場合 |
|---|---|---|
| ① 図面の種類を確認 | 登記情報提供サービスか法務局で、地図(14条地図か公図か)と地積測量図の有無を取り寄せる | 担当者の説明どおり14条地図が備わっているかを、自分でも登記情報で確認する |
| ② 土地家屋調査士に目的を伝える | 「確定ではなく、座標を現地に落として仮の印を立ててほしい」と先に言う。見積は点数・筆数で変わる | 隣接する山林側の数点だけで見積を取る |
| ③ 隣地所有者に一声 | 立ち会いは不要でも、「図面の位置を現地で確認する」「はみ出さないように手を入れる」と伝える | 「伐採してよい」と言われているが、作業の前に改めて範囲と日程を伝える |
| ④ 仮杭・ピンで印 | 調査士が現地に仮の印を打つ。これは筆界を確定させたものではないと理解しておく | 印から内側だけを作業範囲にする |
| ⑤ 手を入れる範囲を決める | 印の内側で草刈り・伐採。境界近くの大木は触らない | 隣地側に越えている枝・根は民法233条の手順で |
隣が「切っていい」と言ってくれても、境界を越えて他人の山の木を切れば、相手の財産を傷めたことになります。範囲を知ってから手を入れるのは、隣への礼儀であると同時に、自分を守るためでもあります。
隣地から越えてくる枝・根の扱いは 民法 233条に定めがあり、2023年4月1日施行の改正で変わりました。根は従来どおり自分で切り取れますが(4項)、枝は原則として竹木の所有者に切らせる。ただし、①催告したのに相当の期間内に切らない、②所有者が分からない・所在が分からない、③急迫の事情がある、のいずれかなら自分で切り取れるようになりました(3項)。概要は 法務省「民法の改正(所有者不明土地等関係)の主な改正項目について」 にあります。逆に言えば、境界線を越えていない隣の木を切る権利は、民法には書かれていません。「切っていい」という隣の了承は、書面に残しておくのが安全です。
⚠️ 失敗メモ|「切っていい」の口約束だけで伐採
隣地の了承を口頭で得て境界付近を伐採したあと、相手が代替わりして「そんな約束は聞いていない」となる形は起こりうる。売却で所有者が変わっても同じ。回避策は、①範囲を図面で示して書面に残す、②境界近くの大木は残す、③作業の日程を事前に伝える。了承は「切る許可」であって「境界の合意」ではない。
売る・貸す・壊す・残す、どれを選ぶかで境界の作業はどこまで要るか
境界の作業は、出口によって必要な深さが違います。「全部確定しないと何もできない」わけではありません。
| 出口 | 必要な境界の作業 | 理由 | 費用の重さ |
|---|---|---|---|
| 売る | 境界確定測量(民民・官民)が原則 | 買主と仲介は、登記面積と現地の一致、隣地との境界確認書を求める。確定なしで売る場合は「公簿売買・境界非明示」として価格が下がるか、買い手が限られる | 重い(数十万円〜。山林で隣が多いほど上振れ) |
| 貸す | 復元・現況の把握で足りることが多い | 借主に貸す範囲を示せればよい。ただし建物を建てる定期借地などは確定が要る | 軽い〜中 |
| 壊す | 復元・現況の把握 | 解体業者が重機を入れる範囲、隣地の塀・木・擁壁との距離が分かればよい。隣地に近い部分は立ち会いを頼むと安心 | 軽い |
| 残す(管理・草刈り) | 復元・現況の把握、または隣との口頭確認+写真 | 管理不全の原因になる雑草・越境を防ぐのに、範囲が分かれば足りる | 軽い。ただし越境の枝は民法233条の手順 |
| 分筆して一部を手放す | 境界確定測量+分筆登記 | 分筆には筆界の確認と地積測量図の提出が要る | 重い(分筆登記で全国平均約42万円、税抜) |
売買の仲介の現場では、「測量していない土地」は値付けの時点で不利でした。買主側は面積が合わなかったときの責任を気にし、金融機関も境界が曖昧な土地の評価を渋る。だから売るなら確定測量を売主負担で入れるのが普通です。逆に、貸す・壊す・残すなら、まず「おおよそ」を知るだけで次の一手が打てます。全部を確定してから考えるのではなく、出口に合わせて境界の作業を選ぶのが、お金を無駄にしない順番です。
📝 現場メモ|「測量費は売主負担」が前提の理由
測量費を売主が持つのは、確定測量が「売れる状態にする」準備だから。値段を上げる投資ではなく、値引き交渉を防ぐ守りの費用と考える。隣地が遠方や相続未了で立ち会いに時間がかかる土地は、査定を取る前に調査士に相談しておくと、売出しから引き渡しまでの期間が読める。
一括査定で、境界が曖昧でも相場は先に知れる
境界の話を先に書いたのは、売る・貸す・壊す・残すのどれを選ぶかによって、必要な作業と費用が変わるからです。その判断に欠かせないのが「いくらで売れる土地なのか」という相場です。測量に40万円かけるかどうかは、土地が400万円なのか4,000万円なのかで答えが違います。
相場を知る手段として、一括査定のイエウールを紹介します。私は利用者として使ったことはないので、ここに書くのは査定依頼を受ける不動産会社の側から見たしくみと、イエウールの特徴です。
一括査定は、1回の入力で複数の不動産会社に同じ物件の査定を頼むしくみです。依頼を受ける会社は他社と比べられる前提で査定額と根拠を出すので、土地が400万円なのか4,000万円なのか、測量費を考えるのに足りる見当はつきます。
イエウールの特徴(イエウール公式・ieul.jp、2026年10月確認)
- 提携不動産会社は2,500社以上。最大6社に同時に依頼できる
- マンション・一戸建て・土地のほか、一棟アパートや農地なども依頼できる
- 運営は株式会社Speee(東証スタンダード上場)。クレームの多い会社は、イエウールが契約を解除できる仕組みがある
気をつける点と、営業電話を減らす頼み方
- 匿名では使えない。名前・電話番号などの連絡先を入れるので、申し込むと複数社から電話が来ることがある
- 机上査定・訪問査定を選ぶ欄はない。備考欄に「連絡はメール希望」「まずは机上査定(訪問なし)で」と書き、電話が来たら同じことを伝える
- 断るときは「他社に決めた」の一言でよい
- 境界が曖昧でも査定は頼めるが、机上査定の額に境界の条件は反映されない。 机上査定は登記面積と周辺相場で出す。確定測量をしていない、公図しかない、隣と揉めている、といった事情は、訪問査定で現地を見てもらう段階で初めて価格に乗る。机上査定の数字は「上限の目安」と考える
- 会社によって対応の速さにばらつきがある。連絡が来ない会社は候補から外せばよい
- 査定額が高い会社が良い会社とは限らない。「測量はどう進めるか」「隣地が多いがどう立ち会うか」に具体的に答えられる会社を選ぶ
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よくある質問
Q. 境界杭がなくても売れますか?
A. 売れます。ただし境界確定測量なしの「境界非明示・公簿売買」は買主が限られ、価格も下がりやすい。隣地所有者が多い・遠方という土地ほど確定に時間がかかるので、査定の段階で「測量にどれくらいかかりそうか」を会社に聞き、売出し時期を逆算してください。買取業者は境界非明示でも買うことがありますが、その分は価格に織り込まれます。
Q. 公図と14条地図の見分け方は?
A. 取り寄せた図面の欄外の分類です。「地図(法第14条第1項)」なら14条地図、「地図に準ずる図面」なら公図。登記情報提供サービス(1件360円)で地番から取り寄せられ、読み方が分からなければ法務局の窓口で確認できます。地籍調査が終わっている地域かどうかは、国交省の地籍調査Webサイトの市区町村別進捗率でも見当がつきます。
Q. 隣が立ち会いに応じてくれない・連絡がつかない場合は?
A. 「おおよそ」を知るだけなら、隣の立ち会いなしで図面の座標を現地に落とせます(ただし確定ではない)。売却や分筆で確定が必要なのに隣が応じない・所在不明なら、法務局の筆界特定制度があります。隣の同意がなくても申請でき、筆界特定登記官が筆界を特定します。標準処理期間は9か月、測量費は申請人負担で50万〜80万円程度が多いとされています(東京法務局)。
Q. 境界確定の費用は誰が払うのですか?
A. 法律で決まっているわけではなく、依頼した人が払います。売却のための確定測量は、売主が負担するのが取引の慣行です。隣地所有者は立ち会って確認書に署名するだけで、費用は負担しません。だからこそ、隣に協力をお願いするときは「費用はこちらで持つ」と最初に伝えると話が早い。相続人が複数いる土地なら、測量費も相続人で分担するか、売却代金から引くかを先に決めておきます。
出典
- 不動産登記法(e-Gov法令検索)14条 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123
- 不動産登記規則(e-Gov法令検索)77条 https://laws.e-gov.go.jp/law/417M60000010018
- 民法(e-Gov法令検索)233条 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
- 国土調査法(e-Gov法令検索)2条・20条 https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000180
- 土地家屋調査士法(e-Gov法令検索)3条・68条 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000228
- 法務省「法務局地図作成事業の推進」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00231.html
- 法務省「筆界特定制度」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji104.html
- 東京法務局「筆界特定制度に関する”よくある質問”」 https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/static/hikkai-qanda.html
- 法務省「登記手数料について」 https://www.moj.go.jp/MINJI/TESURYO/
- 法務省「登記情報提供サービスの利用料金等一覧」(2026年4月1日改定) https://www.moj.go.jp/MINJI/minji25-1.html
- 法務省「民法の改正(所有者不明土地等関係)の主な改正項目について」 https://www.moj.go.jp/content/001444020.pdf
- 国土交通省 地籍調査Webサイト「全国の地籍調査実施状況」(2025年度末時点・2026年6月調べ) https://www.chiseki.go.jp/situation/status/index.html
- 国土交通省 地籍調査Webサイト「登記所備付地図の整備状況」 https://www.chiseki.go.jp/about/touki_chizu/index.html
- 日本土地家屋調査士会連合会「土地家屋調査士 報酬ガイド」(2022年度アンケート) https://www.chosashi.or.jp/media/hoshuguide_single_r04.pdf
まとめ
- 杭がなくても、登記所の図面(14条地図・公図・地積測量図)を取れば「おおよその位置」は分かることが多い。最初の1件360円で、図面の種類を確かめる。
- 「確定する」と「おおよそを知る」は別の仕事。目的を先に言えば、土地家屋調査士は軽いほうの作業で見積を出してくれる。
- 精度は図面で決まる。14条地図なら座標から現地に落とせる。公図しかない地域は、隣との立ち会いの重みが増す。
- 売る・分筆・争いなら確定、貸す・壊す・残すなら復元で足りる。出口に合わせて境界の作業を選ぶ。
- 隣の「切っていい」は境界の合意ではない。範囲を知ってから手を入れ、了承は書面に残す。
私の古民家の件は、まだ図面の確認と見積の段階です。調査士に頼んだ結果と費用が分かったら、この続きを書きます。
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