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親は実家に住み続けたい。でも介護費用や施設の入居一時金、日々の生活費が心配。あるいは、相続の前に実家を現金にして、兄弟で分けておきたい。そんなときに検索で出てくるのが「リースバック」です。
リースバックの相談は売買の仲介の現場で何度も受け、うまく使えた家もあれば「その条件なら普通に売ったほうがいい」と止めた家もあります。僕自身も昭和初期に建った築50〜60年超の実家で検討し、結論として選びませんでした。
この記事では、リースバックの仕組みと相場感、正直なメリット・デメリット、向く家と向かない家の見分け方、契約前に確認する10項目を、国交省の資料と国民生活センターの相談事例をもとにまとめます。
数字は2026年9月時点の公開データと、僕の現場経験にもとづく想定値です。契約の無効・取消し、売却代金の分配、譲渡所得の扱いは家庭ごとに違うので、契約前に弁護士・税理士等にご確認ください。本文の試算例はすべて「想定」で、実在の物件の数字ではありません。
先に結論
- リースバックは「実家を事業者に売る」+「同じ家を借りる」の2つの契約を同時に結ぶ仕組み。買取価格は周辺相場の6〜7割が最多(国交省の事業者調査)、家賃は買取価格×年6〜13%の利回り÷12で決まる。安く売って、高めの家賃で借りるのが構造です。
- 向くのは「都市部で流動性がある家」「住み続ける期間が2〜5年と読める家」。地方の築古、僕の実家のような昭和初期築は事業者の対象外になりやすく、対象になっても土地値の6〜7割が出発点です。
- 最大の落とし穴は「ずっと住める」と思い込むこと。定期借家なら期間満了で終わり、普通借家でも家賃が払えなければ退去です。国民生活センターは2025年、2026年と続けて注意を呼びかけています。
- 判断の前に、通常売却ならいくらかを匿名で先に知る。買取価格が妥当かどうかは、比べる数字がなければ判断できません。
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リースバックの仕組み:売却と賃貸借を同時に結ぶ
国交省は2022年6月に「住宅のリースバックに関するガイドブック」を公表し、リースバックを「住宅を売却して現金を得て、売却後は毎月賃料を支払うことで、住んでいた住宅に引き続き住むサービス」と説明しています。流れは4段階です。
| 段階 | 誰が何をするか | 実家の場合の注意 |
|---|---|---|
| 1. 売買契約 | 親(所有者)が事業者に実家を売る | 売るかどうかを決めるのは名義人の親本人。子が決めることはできない |
| 2. 代金の受け取り | 事業者から一括で入金 | 代金は親の財産。兄弟で分けると贈与になり得る |
| 3. 賃貸借契約 | 親が事業者から同じ家を借りる | 定期借家か普通借家かで「住める期間」が変わる |
| 4. 毎月の家賃 | 親が事業者に家賃を払う | 払えなくなれば退去。「ずっと住める保証はない」(国民生活センター) |
事業者は、親が退去した後に家を再販して利益を出します。「この家を将来いくらで売れるか」から逆算して安く買い、貸している間は家賃で回収する。この構造を知っておくと、後で出てくる「向かない家」の理由が腑に落ちます。
買取価格と家賃の相場感
| 項目 | 目安 | 出典・根拠 |
|---|---|---|
| 買取価格 | 周辺相場の6〜7割が最多(52%)。8〜9割は22%、4〜5割は7% | 国交省「リースバックに関する実態調査」(2025年2月公表、買取を行う事業者27社の回答) |
| 家賃の算式 | 買取価格 × 期待利回り(年6〜13%)÷ 12か月 | 事業者各社の解説(三井のリハウス、あなぶき等)。公的統計ではない |
| 買戻し | 特約または再売買予約。価格は買取価格の1.1〜1.3倍程度が多い | 僕の現場感による想定 |
数字を入れて試算します。通常売却なら2,000万円で売れる実家(想定)の場合です。
| 想定 | 利回り8% | 利回り10% | 利回り12% |
|---|---|---|---|
| 買取価格(相場の7割) | 1,400万円 | 1,400万円 | 1,400万円 |
| 年間家賃 | 約112万円 | 約140万円 | 約168万円 |
| 月額家賃 | 約9.3万円 | 約11.7万円 | 約14万円 |
| 10年間の家賃合計 | 約1,120万円 | 約1,400万円 | 約1,680万円 |
利回り10%なら、10年住むと家賃合計が買取価格に並びます。国交省のリースバックに関するガイドラインも、契約後に「支払賃料の合計額が短期間で売却価格を超えること」に気付いた例を挙げています。
リバースモーゲージとの違い
「住み続けながら現金化」という点で並べて検討されるのがリバースモーゲージです。似ているようで、所有権が移るかどうかが根本的に違います。
| 項目 | リースバック | リバースモーゲージ |
|---|---|---|
| 仕組み | 売却して借りる | 自宅を担保に借りる |
| 所有権 | 事業者に移る | 親のまま |
| 受け取る額 | 相場の6〜7割を一括 | 担保評価額の5〜6割程度が上限。枠から都度または一括 |
| 毎月の負担 | 家賃 | 利息のみ(元本は死亡後に自宅売却で一括返済) |
| 固定資産税・修繕 | 固定資産税は事業者。修繕は契約次第 | 親負担のまま |
| 相続 | 家は残らない。現金が残れば相続 | 家は残るが売却して返済。残債は相続人へ(ノンリコース型は不要) |
| 使える家 | 事業者が再販できる家 | 金融機関の担保評価が出る家。土地評価が中心で、地方・マンションは対象外の商品もある |
| 年齢・使途 | 制限は少ない | 概ね60歳以上。使途を限定する商品が多い |
出典:国交省ガイドブック、金融経済教育推進機構(J-FLEC、旧・知るぽると)、住宅金融支援機構(リ・バース60)。
「家を残したい」ならリバースモーゲージ、「いずれ手放すので、いま一括で現金がほしい」ならリースバック、が大まかな線引きです。どちらも土地の評価が頼りで、立地の良い家ほど条件が良い点は同じです。
🔢 数字メモ|当事者の7割超が70歳以上
住宅のリースバックに関する相談は2019年度24件から2024年度239件へ増加。2024年度の契約当事者は70歳代26.8%、80歳代41.4%、90歳以上5.9%で、7割超が70歳以上(国民生活センター 2025年5月21日公表)。親世代がそのまま当事者になる仕組みです。
メリット・デメリットの正直な比較
良い点と悪い点を、同じ重さで並べます。
| 項目 | メリット | デメリット・注意 |
|---|---|---|
| 現金化の速さ | 買取なので1〜2か月で入金。通常売却の3〜6か月より速い | 速さの対価が「相場の6〜7割」 |
| 住環境 | 引っ越し不要。親の生活と近所づきあいが変わらない | 「ずっと住める」わけではない |
| 期間 | 短期の利用(施設の空き待ち、建て替え中)には合理的 | 定期借家は期間満了で終了。再契約は事業者の判断 |
| 家賃 | 交渉で下げられる余地はある | 更新時に値上げされ払えなくなった事例が複数(国民生活センター) |
| 買戻し | 資金ができれば買い戻せる条件を付けられる | 価格は買取価格より高い。こちらから求めないと付かないことが多い(国交省調査で買取事業者の約8割が積極的には設定していない) |
| 固定資産税・修繕 | 所有者でなくなるので固定資産税は不要 | 設備の修繕を借主負担とする事業者が約4割(同調査) |
| 事業者の倒産 | 賃貸借契約は新所有者に引き継がれるのが原則 | 買戻しの権利は登記がないと新所有者に主張しにくい |
| 解約 | 契約前なら断れる | 売買契約にクーリング・オフはない。手付倍返しや違約金が発生 |
| 周囲 | 近所に売ったことを知られにくい | 親が一人で契約し、家族が後から知るケースが多い |
国民生活センターが2025年5月と2026年8月に公表した相談事例には、次のようなものがあります。
- 1,600万円で売却し家賃約6万円と説明されたが、3年後に約11万円へ値上げされ、払えないなら退去と言われた(70歳代女性)
- 認知症の父が相場とかけ離れた400万円で戸建てを売却し、家賃4万円のリースバック契約をしていた(80歳代男性の家族から相談)
- 200万円で自宅を売却し家賃2万円で住んでいたが、買い戻しを申し出たら1,000万円を提示された(70歳代男性)
- 朝10時から夜10時過ぎまで勧誘され契約。解約を申し出ると手付金返還に加え違約金50万円を求められた(80歳代男性)
共通するのは、契約したのが親本人で、家族が気づいたのが契約後だという点です。実家のリースバックを検討するなら、子が先に仕組みを理解して、親と一緒に事業者と会う。これが最初の防波堤になります。
⚠️ 失敗メモ|リフォームとセットの勧誘
床の工事代が払えない母親が不動産業者を紹介され1,100万円で自宅を売却、同じ日に450万円の工事契約も結んでいた例がある(国民生活センター 2026年8月公表)。売却額では3年程しか住めない。家賃×想定居住年数を代金から先に取り分け、残りで足りない話はその場で決めない。
向く家・向かない家:事業者は「再販できるか」で見ている
事業者は退去後の再販で回収するので、「再販しやすい家」ほど買取価格が上がり、家賃の利回りも下がります。国交省の調査でも、買取の可否基準は「物件の所在や一般取引価格など市場流通性」が59%で最多でした。仲介で見てきた経験から、判断表にしました。
| 判断項目 | 向く(条件が出やすい) | 向かない(断られる・条件が悪い) |
|---|---|---|
| 立地 | 都市部・駅徒歩圏・生活利便性が高い | 地方・郊外・車がないと暮らせない |
| 建物 | 築30年以内、または土地値で再販できる | 築古で建物評価ゼロ、かつ土地値も低い |
| 種別 | マンション、区画整理された戸建て | 再建築不可、接道が悪い、共有名義で全員の同意がない |
| 住む期間 | 2〜5年と読める(施設の空き待ち、住み替え準備) | 「死ぬまで住みたい」で期間が読めない |
| 家賃の原資 | 年金や貯蓄で払い続けられる | 売却代金を家賃に充てる前提 |
| 住宅ローン | 完済済み、または売却代金で完済できる | 残債が買取価格を上回る(そもそも売れない) |
| 目的 | 施設の入居一時金、建て替え・住み替え資金 | 生活費や借金返済の穴埋め |
一番下の行が重要です。国交省ガイドブックが挙げる利用例は「高齢者施設への住み替えまでの2年間の定期借家」と「実家の建て替え資金の捻出、完成までの1年」。どちらも終わりが決まっている短期利用です。逆に「生活費に困って」「借金返済のため」の契約は、売却代金を使い切ったあとに家賃が払えず退去に至る、というのが国民生活センターの指摘です。
僕の実家の場合
昭和初期に建った木造で築50〜60年超、敷地は約250㎡です。この家をリースバック事業者に持ち込んだらどうなるか、これまで見てきた相場感から想定すると、次のようになります。
| 観点 | 想定される事業者の見方 |
|---|---|
| 建物 | 評価ゼロ。再販時は解体前提 |
| 買取価格 | 土地値から解体費(木造30坪で90万〜150万円)を引いた額の6〜7割 |
| 家賃 | 土地値ベースの買取価格に利回りをかけるので、築古でも家賃は安くならない |
| 期間 | 親が高齢で退去時期が読めないため、短い定期借家を提示される可能性が高い |
| 結論 | 通常売却との差額が大きすぎる。僕なら選ばない |
「建物が古いから家賃も安いだろう」と思われがちですが、家賃は買取価格×利回りなので、土地値が高い場所ほど家賃も上がります。古い家に高い家賃を払う形になる。これが僕が選ばなかった理由です。
📝 現場メモ|断られたら「土地値」で聞く
築古で事業者に断られたとき、「うちは売れない家だ」と思い込む人が多い。事業者は再販の手間で断っているだけで、土地として通常売却すれば買い手がつく家は多い。断られた理由が建物なのか立地なのか、その場で聞いておくと次の手が変わる。
契約前に確認する10項目チェック表
2026年10月1日に国交省の「リースバックに関するガイドライン」が施行されます。家賃、契約期間と更新、修繕費の負担、買戻し特約、違約金などを事業者が故意に告げなければ宅建業法違反(事実不告知)になり、長時間の勧誘も禁止です。ただ、説明を受けても理解できなければ意味がありません。まず契約の種類から見ます。
定期借家か普通借家か。「ずっと住める」は契約書で決まる
| 項目 | 普通借家契約 | 定期借家契約 |
|---|---|---|
| 期間満了時 | 更新が原則。貸主は正当事由がなければ更新を拒めない | 契約は終了。再契約するかは貸主が決める |
| 家賃の値上げ | 借主が合意しなければ、貸主は調停・裁判で増額を求めることになる | 再契約時に新しい家賃を提示される。改定特約があればその通りに上がる |
| 契約時の手続き | 通常の賃貸借契約 | 「更新がない」ことを書面を渡して事前に説明する必要がある。説明がなければ更新がない旨の定めは無効 |
| 借主の安心度 | 高い | 低い。数年ごとに住み続けられるか分からない |
| リースバックでの採用 | 71%(複数回答) | 48%(複数回答) |
出典:借地借家法(28条・32条・38条)、国交省「リースバックに関する実態調査」(2025年2月公表、賃貸・管理を行う事業者21社の回答)。
同じ調査で、最も多い契約期間は2年(67%)。2026年8月の国民生活センターの事例には、家賃7万円を約10万円に上げる、応じないなら退去を、と迫られた例があります。普通借家なら値上げを断っただけで退去にはなりませんが、定期借家は期間満了で終わりです。契約書の表題が「定期建物賃貸借」でないか、最初に見てください。
10項目チェック表
親と一緒に、契約書を見ながら埋めてください。「聞き方」の欄は、面談でそのまま使える言い方です。
| # | 確認項目 | 聞き方 | 確認する内容 | 見るべき書類 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 買取価格の根拠 | 「市場価格をいくらと見て、何割で提示していますか」 | 通常売却の査定と比べて何割か。複数の事業者に聞いたか | 査定書、売買契約書 |
| 2 | 家賃と算式 | 「買取価格の年何%で家賃を決めていますか。家賃以外に毎月かかるお金は」 | 利回り。管理費・保証料など家賃以外の費用 | 賃貸借契約書、重要事項説明書 |
| 3 | 契約の種類 | 「定期借家ですか、普通借家ですか」 | 定期なら期間満了後の再契約条件 | 賃貸借契約書、定期借家の事前説明書面 |
| 4 | 期間と更新 | 「期間が終わったら、どんな条件で再契約(更新)できますか」 | 何年か。再契約を約束する条項があるか | 同上 |
| 5 | 家賃の改定 | 「更新や再契約のとき家賃はどう決まりますか。上限を書面に入れられますか」 | 値上げの条項。「協議の上」だけの曖昧な条項でないか | 同上 |
| 6 | 買戻し | 「買戻し価格の計算式と期限は。登記しますか」 | できるか、いくらで、いつまでか | 買戻し特約または再売買予約契約 |
| 7 | 修繕と原状回復 | 「給湯器の故障や雨漏りはどちらの負担ですか」 | 設備故障の負担。退去時の原状回復の範囲 | 賃貸借契約書、特約 |
| 8 | 中途解約 | 「施設に移るとき、何か月前の予告で解約できますか。違約金は」 | 借主から解約できるか。違約金・予告期間 | 同上 |
| 9 | 事業者の倒産・転売 | 「この家を他社に売ったとき、賃貸借と買戻しは引き継がれますか」 | 所有者が変わったときの扱い | 契約書、登記の有無 |
| 10 | 事業者の実績 | 「宅建業の免許番号を教えてください」 | 免許番号で行政処分歴を検索。強引な勧誘がなかったか | 免許証、会社概要 |
全部埋まらない事業者とは契約しないでください。ガイドラインも、価格と家賃の算定根拠や、売却代金が家賃の何か月分かを説明するのが望ましいとしています。
📖 用語メモ|買戻し特約と再売買予約
民法の「買戻し特約」は売買と同時に登記し、期間は最長10年。2020年の改正で返す金額を合意で決められるようになったが、実務では「再売買の予約」が多い。どちらも登記(仮登記)がないと、家が転売されたとき新しい所有者に主張しにくい。契約書がどちらの言葉か確認する。
通常売却・賃貸・住み続ける・リースバックの費用比較
「住み続けたい」と「現金がほしい」を両立させる手段は、リースバックだけではありません。同じ想定(通常売却なら2,000万円、固定資産税等の維持費が年20万円、10年間)で5つを並べます。すべて想定値で、譲渡所得税は計算に入れていません。
| 選択肢 | 手元に入る現金 | 10年間の支出(想定) | 10年後に家は | 向く状況 |
|---|---|---|---|---|
| そのまま住み続ける | 0円 | 維持費200万円+修繕 | 親の名義で残る | 現金の必要が差し迫っていない |
| リースバック | 約1,400万円(相場の7割) | 家賃1,120万〜1,400万円(利回り8〜10%) | 事業者のもの。退去リスクあり | 2〜5年の短期利用、施設入居までのつなぎ |
| リバースモーゲージ | 借入枠1,000万〜1,200万円(評価額の5〜6割) | 利息300万円前後(年3%想定)+維持費200万円 | 親の名義で残る。死亡後に売却して返済 | 家を残しつつ生活費を補いたい |
| 通常売却+近くの賃貸へ住み替え | 約1,900万円(仲介手数料等を差引後) | 家賃840万円(月7万円想定)+引越し費用 | 残らない | 親が引っ越しを受け入れられる |
| 賃貸に出して親は別居 | 0円(家賃収入 年60万〜100万円) | 修繕・空室・管理費で収入の2〜3割 | 親の名義で残る | 親がすでに施設や子の家に移っている |
リースバックと通常売却+住み替えを比べると、手元の現金で約500万円、10年の家賃で約280万〜560万円の差が出ます。合計で約780万〜1,060万円。これが「引っ越さなくてよい」ことの値段です。高いと見るか安いと見るかは家族次第ですが、この差を知らずに契約するのと、知って選ぶのでは全く違います。
なお、親が住んでいる家を事業者に売るなら、リースバックでも通常売却でも居住用財産の3,000万円特別控除(国税庁 No.3302)の対象になり得ます。取得費が分からない築古の実家ほど控除の有無で手取りが大きく変わるので、要件は税理士に確認してください。
📝 現場メモ|家賃は比べて決める
家賃は「買取価格×利回り」なので、買取1,400万円なら利回りが1%違うだけで月1万円以上変わる。利回りは事業者によって6〜13%と幅があり、同じ家でも家賃が倍近く違うことがある。買取価格の高さだけで選ばず、家賃と期間まで含めて2〜3社を横に並べる。
僕が使っている、通常売却の相場を先に知る方法
リースバックの買取価格が妥当かどうかは、「通常売却ならいくらか」が分からなければ判断できません。国民生活センターも、国交省のガイドブックを使い、複数の事業者から情報を集めて比べるよう勧めています。
ただ、リースバック事業者に「普通に売ったらいくらですか」と聞いても、答えは事業者に都合のよい数字になりがちです。通常売却の査定は、通常売却をする会社に取る必要があります。
そこで僕が使っているのが、LIFULL HOME’Sの不動産売却査定です。仕事でLIFULLさんと一緒になることが多く、仕組みも分かっているので、正直な特徴を書きます。
良い点
- 匿名で査定依頼ができる。 親の名前や電話番号を出さずに、まず相場感だけ取れる。「売るか決めていない段階」で使えるのが実家向き
- 提携約1,700社、最大6社まで同時依頼。地方は地元会社の登録が充実している
- 連絡方法を電話・メール・郵送から選べる。「メール希望」にすれば親に電話がかかることはない
気をつける点
- 大手不動産会社の登録は少なめ。大手の査定も欲しい場合は別途依頼する
- 会社によって対応の速さにばらつきがある。連絡が来ない会社は候補から外せばよい
- 査定額が高い会社が良い会社とは限らない。根拠を説明できる会社を選ぶ。リースバックの買取価格と比べるときも、複数の査定価格のうち低いほうから2番目くらいを基準にすると現実的です
査定が出たら、その6〜7割がリースバックで最も多い買取水準です。買取業者に普通に売るとき(僕の経験では相場の6〜8割)より低めに出やすいのは、住んでいる間は転売できないからです。5割を切る提示なら、他社と必ず比べてください。
よくある質問
Q. 親が認知症気味です。子の私が代わりに契約できますか? 契約してしまった後なら取り消せますか?
A. 売るかどうかを決めるのは名義人の親本人です。判断能力が十分でなければ成年後見制度が必要で、後見人等が自宅を売るには家庭裁判所の許可も要ります。すでに契約していた場合、使える手段は場面で違います。
- 契約の意味が分からない状態だった:意思能力がなく、契約は無効(民法3条の2)
- 「帰って」と言っても居座られた。または、加齢で判断力が著しく落ちた親が「売らないと今の生活を続けられない」と不安をあおられた:消費者契約法で取消し。困惑を脱した時から1年、契約から5年以内
- 相場とかけ離れた安値で、弱みにつけ込まれた:公序良俗違反による無効(民法90条)を主張する余地がある
どれに当たるかは状況と証拠次第です。気づいたらすぐ消費生活センター(188)と弁護士に相談してください。
Q. 売却代金を兄弟で分けておけば、相続対策になりますか?
A. 代金は親の財産なので、生前に兄弟へ渡すと贈与税の対象になります(年110万円の基礎控除を超える分)。相続時精算課税などを組み合わせる方法もありますが、家庭ごとに損得が違うので税理士に確認してください。「現金にしておけば相続でもめない」は半分正しく、半分は分け方の設計次第です。
Q. 子どもが実家を買い取って親に貸す「親族間リースバック」はどうですか?
A. 仕組みとしては可能ですが、注意点が3つあります。親子間の売買は住宅ローンを扱わない金融機関が多く、現金で買える人向けです。価格が時価より著しく低いと、差額が子への贈与とみなされます。そして親子など「特別の関係がある人」への売却は、居住用財産の3,000万円控除の対象外です(国税庁 No.3302)。税理士・司法書士に相談してから進めてください。
Q. 施設の空き待ちで1〜2年だけ実家に住みたい場合は?
A. 国交省ガイドブックが挙げる典型的な利用例で、リースバックが向く場面です。期間を区切った定期借家に、借主からの中途解約条項を入れてもらってください。ただし、その1〜2年のために相場の3割を手放すのが妥当かは、通常売却して仮住まいに移る案と並べて比べてください。
まとめ
- リースバックは「相場の6〜7割で売って、買取価格×年6〜13%の家賃で借りる」仕組み。10年住むと家賃合計が売却額に並ぶことがある。
- 向くのは都市部で再販しやすい家、住む期間が2〜5年と読める家。地方の築古や、僕の実家のような昭和初期築は対象外か、土地値の6〜7割が出発点。
- 「ずっと住める」保証はない。定期借家か普通借家か、家賃の改定条項、買戻しの価格、転売時の扱いを契約前に10項目で確認する。
- 契約するのは親本人。子が先に仕組みを理解し、一緒に事業者と会う。売買にクーリング・オフはない。
- 判断の材料は「通常売却ならいくらか」。匿名で相場を先に取ってから、リースバックの提示額と並べる。
僕は自分の実家では選びませんでしたが、施設の空き待ちや建て替え中のつなぎとして条件を詰めて使えば、合理的な家もあります。数字を並べて、家族で決めてください。
▼ 実家の相場を匿名で知る(無料・最大6社・連絡方法を選べる)
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