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引っ越して最初の年末。もらってきた来年のカレンダーを冷蔵庫の横の壁に留めようとする。画鋲は2〜3mm入ったところで止まり、親指が痛いだけ。鉄筋コンクリートのマンションや団地では、珍しくないことです。まず壁の表面を指で確かめ、カレンダー・ポスター・掛け時計を、退去のときに跡が残りにくい道具で掛けます。
選び方メモ
この記事の道具は、私は使っていません。3Mのカタログで通常のコマンドフックが壁紙に貼れないとされているのを見て、道具を「壁の表面」で分けることにしました。見たのは12点。針で留める壁美人とスリーピンフックはコンクリートに入らず、3Mの壁紙用フックは販売店で販売終了の表示があり、Amazonでも在庫切れか残りわずか。耐荷重や型番を確かめられなかったものも含めて8点を外し、壁紙用のフックとテープ、突っ張りポールとフックの組の4点を残しました。
画鋲が止まるのは、クロスのすぐ裏がコンクリートだから
木造や鉄骨のアパートの壁は、たいてい石膏ボードにクロスを貼ったものです。石膏ボードは柔らかいので、画鋲はすっと入ります。
鉄筋コンクリートの建物は、壁によって作りが違います。コンクリートの前に石膏ボードを立ててある壁なら画鋲は入りますが、コンクリートに直接クロスを貼った壁や、コンクリートに塗装しただけの壁では、針を受け止める層がありません。同じ部屋の中でも、隣の住戸との境の壁だけ刺さらない、ということが起きます。
たとえばブライズ東日本橋(中央区東日本橋・1K・25.7㎡)の記事には、部屋と部屋の間の壁が厚さ180mmのコンクリート壁だと書かれています。仕上げまでは記事から分かりませんが、こういう戸境の壁に何かを掛けたくなったら、まず画鋲が入るかを試すところからです。同じ記事には洋室にピクチャーレールがあるとも書かれています。レールのある部屋なら、それを使うのがいちばん。何kgまで掛けられるかは、管理会社に聞いておくと安心です。
試し方は、目立たない所で画鋲を20cmほどずらしながら3か所。どこも入らなければコンクリートの壁です。1か所だけ入らないなら、その裏に柱や下地の木があるだけかもしれません。
数mmだけ刺さる壁も、同じ扱いにします。刺さりが浅いと、カレンダーをめくった拍子に抜けやすいからです。石膏ボードの壁で、もう少し重い物を掛けたいなら壁美人・コマンドフック・細ピンの使い分けの記事が合います。

指でなでて、表面が「塩ビのクロス」「塗装」「打ちっぱなし」のどれかを見る
画鋲が入らないと分かったら、次は表面です。ここで使える道具が分かれます。
- 塩ビのクロス:細かい凹凸の柄があり、縦にまっすぐな継ぎ目が入っている。賃貸の壁紙はほとんどこれ
- 塗装:継ぎ目がなく、指でなでるとペンキの膜の感触。古い団地に多い
- 打ちっぱなし:灰色のコンクリートがそのまま見えている。小さな穴や型枠の跡がある
- 紙や布のクロス:数は少ないが、布目が見える・光沢がない壁紙はこちらの可能性がある
ここで知っておいてほしいのは、「コマンドフックなら壁を傷めない」とは限らないことです。3Mのカタログでは、通常のコマンドフック・コマンドタブの「取りつけられないところ」に、壁紙(塩ビ製・布製・紙製)、土壁、砂壁、凸凹面、ざらざら面が挙がっています(3M コマンド製品カタログ)。クロスの壁に貼るなら、パッケージに「壁紙用」と書かれたものを選ぶ。私はここをいちばん大事な分かれ目だと考えています。
表面ごとに、私なら次のように選びます。
| 壁の表面 | カレンダー | ポスター | 掛け時計 |
|---|---|---|---|
| 塩ビのクロス | 壁紙用のフック | 水ではがせる壁紙用テープ | 突っ張りポール+フック |
| 塗装(つるっとしている) | 通常の粘着フックを目立たない所で試す | 同じく試してから | 突っ張りポール+フック |
| 塗装(ざらつく・粉が付く)、打ちっぱなし | 突っ張りポールに掛ける | 額に入れて棚や床に立てかける | 突っ張りポール+フック |
| 紙や布のクロス | 突っ張りポールに掛ける | 額に入れて立てかける | 突っ張りポール+フック |
塗装の壁で試すときは、はがすときに塗膜ごと取れることがあります。塗装の団地の壁に粘着フックを使う話は、団地のコンクリートの壁・天井で使えるフックと棚の記事に書いています。ここから先は、いちばん多い「塩ビのクロス」の部屋を中心に進めます。
カレンダーは、ビニルの壁紙に付けられる「小久保工業所 ぴたッコ 壁紙用フック M」で
壁掛けのカレンダーは、紙と吊り下げ用の穴だけの軽いものです。塩ビのクロスに掛けるなら、私はまずこのフックを選びます。両面テープではなく、付属の接着剤(変成シリコン)で壁紙に付けるタイプ。メーカーは、はがすときも壁を傷つけにくいと説明しています。
- 耐荷重:1kg(品番 KM-435)
- 入っているもの:フック2個と、特殊接着剤(2.5g)1本
- 使える面:ビニル製の壁紙、平らなタイル・ステンレス・ガラスなど
- 使えない面:ビニル製以外の壁紙、撥水加工の壁紙、凹凸の激しい面・ざらざらした面・曲面
貼る前に、壁紙の継ぎ目や端、浮いている所を避け、汚れと水気を拭き取ります。貼ったら30秒ほど押さえて、24時間以上おいて接着剤が固まってから掛ける。年末にカレンダーを替えるなら、前の日に貼っておくと間に合います。
気をつけたいのは、メーカー自身が「はがした後に接着剤のシミが残る恐れがある」と書いていることです。白いクロスの真ん中より、カレンダーの紙で隠れる位置や、家具の陰になる高さを選ぶ。私ならそうします。

小久保工業所 ぴたッコ 壁紙用フック M
向かない人:壁が塗装や打ちっぱなしの人、紙や布・撥水加工の壁紙の人、1kgを超える物を掛けたい人、シミの心配を少しでも残したくない人。大判の写真パネルや時計は、下の突っ張りポールへ。
ポスターは四隅を、水ではがせる両面テープで
ポスターには吊り下げる穴がないので、フックより両面テープが向いています。ただ、ふつうの両面テープをクロスに貼ると、はがすときに壁紙の表面ごと持っていかれることがある。そこで選んだのが、ニトムズの「はがせる両面テープ 壁紙用」です。
ニトムズの説明では、塩ビの壁紙に貼れて、水ではがせるテープです。基材はポリウレタンフォーム、粘着剤はアクリル系。カレンダーや配線モールのような長い物を貼る用途がうたわれています。幅は15mm(T3971)と20mm(T3972)があり、どちらも長さ1.5mです。
使い方は、2〜3cmに切って、ポスターの四隅と上の辺の真ん中に貼る。メーカーの説明は「水ではがせる」までで、水の含ませ方などの手順はパッケージに合わせてください。

ニトムズ はがせる両面テープ 壁紙用 T3971
このリンク先は幅15mmの T3971 で、4巻セットの出品です。ポスター1〜2枚なら1巻で足ります。
向かない人:紙や布の壁紙の人(水がしみ込む)、額に入れた重いポスターを貼りたい人。気に入っているポスターほど、私なら額に入れて棚の上や床に立てかけます。壁に何も付けないのが、退去のときにはいちばん楽です。
掛け時計は壁に貼らず、天井と床で突っ張るポールに掛ける
時計は、壁に付けるフックに掛けるのを勧めません。
理由は重さと、落ちたときです。上のフックは1kgまで。掛け時計の重さは商品によってまちまちで、1kgに近いものもあります。前面がガラスなら落ちたときに割れて床も傷めます。手持ちの時計をキッチンスケールで量って、1kgに余裕がなければ壁から離します。
そこで、天井と床のあいだにポールを突っ張って、そこに時計を掛けます。選んだのは平安伸銅工業の「DRAW A LINE テンションロッドC」と、同じシリーズの「フックA」です。
- テンションロッドC:縦専用。取り付けられる高さは200〜275cm、最大耐荷重10kg(メーカーは実験値で保証値ではないとしている)。本体は幅7×奥行7cm、重さ1.1kg
- 取り付け面:コンクリートや横桟のある、しっかりした下地。傾いた天井、畳・じゅうたんの上、和室の天井には付けられない
- フックA:縦方向専用で、真鍮のねじでポールに固定する。最大耐荷重2kg
メーカーが求める「しっかりした下地」に、鉄筋コンクリートの天井はよく合います。画鋲が刺さらない部屋ほど、このやり方が向いている、と私は考えています。
買う前に、床から天井までを測ってください。先のブライズ東日本橋の洋室は天井高が約2.4mと書かれていて、200〜275cmに収まります。取り付けて2〜3日たったら突っ張りが弱くなっていないかを見て、その後も月2回ほど締め直すよう、メーカーは書いています。

DRAW A LINE テンションロッドC ブラック D-C-BK

DRAW A LINE フックA ブラック D-HOA-BK
フックを2つ付ければ、時計の下にカレンダーも掛けられます。壁を使わないので、塗装や打ちっぱなしの部屋でも同じです。
向かない人:天井が斜めの部屋、和室、床がじゅうたんや畳の人、天井高が200cmに届かない・275cmを超える部屋。足元に7cm角の場所も要ります。
退去のとき、壁に残ってよい跡と、困る跡
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は、ポスターやカレンダーの掲示を「通常の生活において行われる範疇」としています。画鋲・ピンの穴(下地ボードの張替えが要らない程度)や、壁に貼ったポスターの跡(主に日焼けによるクロスの変色)は、通常の損耗として貸主の負担です。
一方で、重い物を掛けるために開けたくぎ穴・ネジ穴は、通常の使用を超えると判断されることが多い、とされています。画鋲が入らないからといって、コンクリート用の釘やドリルを持ち出すのはやめておきましょう。コンクリートに開けた穴は、石膏ボードの穴より直すのに手間がかかりがちです。
見落としやすいのはテープです。粘着がクロスの表面ごとはがしてしまった傷は、ふつうに暮らしていて付いた跡とは言いにくく、借主の負担になることがあります。壁紙用を選ぶこと、はがし方の説明を守ること。この2つでかなり減らせます。接着剤で付けるフックはシミが残ることもあるので、位置は目立たない所に。
貼る前と、はがした後の壁を写真に残しておくと、退去のときに説明しやすくなります。契約書に「壁に物を貼らない」といった特約がある部屋もあるので、気になる場合は管理会社か貸主に確認してください。退去費用の考え方は退去費用の相場と、原状回復はどこまで借主負担かにまとめています。