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実家を売って、決済も終わって、ほっとした半年後。買主から「2階の天井から雨漏りした。修理代を払ってほしい」と連絡が来る。仲介で売主側に立っていた10年間、この種の連絡を何度も受けました。雨漏り、シロアリ、給排水の詰まり、傾き。築古の家では、引き渡し後に何かが出るのは珍しくありません。
僕自身、昭和初期に建った実家を売るか残すかで家族と話し合っている最中です。もし売るなら、建物は「責任を負わない」条件で売ります。ただし、それには手順があります。契約書に免責と書けば終わり、ではありません。
この記事では、売主が引き渡し後に請求されないために、契約前に何を決め、何を書き、何を調べるかを、売主側の目線で書きます。
法律の説明は民法(法務省)と宅地建物取引業法(国土交通省)の2026年9月時点の内容、費用は同時点の公開料金と僕の現場経験による目安です。個別の契約書の文言や、すでに起きたトラブルへの対応は、弁護士または担当の宅建士に必ず確認してください。本文の事例はすべて、現場で見た複数の案件をもとに個人が特定されないよう組み替えた合成例です。
先に結論
- 2020年4月の民法改正で、売主の責任は「瑕疵担保責任」から契約不適合責任に変わった。買主は修補・代金減額・損害賠償・解除を求められ、期間は「不適合を知った時から1年以内の通知」が原則。個人売主なら特約で短縮も免責もできる。
- ただし知っていて告げなかった不具合は、免責特約があっても責任を免れない(民法572条)。築古の実家を守るのは免責の一文ではなく、告知書(物件状況報告書)に全部書くこと。
- インスペクションは戸建てで5万〜10万円程度。建物に値段がついて売るなら価値がある。建物価値ゼロの古家付き土地なら、お金は測量と告知書に回したほうが効く。
- 買取業者に売れば免責が通りやすいが、価格は相場の6〜8割が現場の目安。免責の安心を何百万円で買うかは、相場を知ってから決める。
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契約不適合責任とは。2020年4月に何が変わり、売主は何を負うのか
2020年4月1日に改正民法が施行され、売買の売主が負う責任は「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」になりました。旧法では「隠れた瑕疵」があったかが争点でしたが、新法では「引き渡した物が、種類・品質・数量について契約の内容に適合しているか」が争点です。契約書と告知書に何が書いてあるかが、そのまま責任の範囲になります。
売主側から見ると、これは「契約書に書いた家を渡す責任」です。「雨漏りなし」と書いて渡した家が雨漏りすれば不適合。「雨漏りの履歴あり、修理済み、再発の可能性あり」と書いて渡した家が雨漏りしても、契約の内容どおりです。
| 用語 | 意味 | 売主側の実務での読み方 |
|---|---|---|
| 契約不適合 | 種類・品質・数量が契約の内容と違うこと(民法562条〜) | 「不具合があるか」ではなく「書いた内容と違うか」 |
| 追完請求 | 修補や代替物の引渡しを求める権利(562条) | 築古なら「直せ」と言われる。修理代の実費が争点 |
| 代金減額請求 | 追完されないときに代金を下げる権利(563条) | 修理見積相当額の返金要求になりやすい |
| 損害賠償・解除 | 賠償は売主に帰責事由がある場合、解除は催告しても直らない場合など。軽微な不適合では解除できない(564条。415条・541条・542条による) | 解除まで行くのは、シロアリで構造が使えない等の重大な場合 |
| 通知期間 | 種類・品質の不適合は「買主が知った時から1年以内」に売主へ通知(566条) | 引渡しからではなく「気づいてから」1年。売主が引渡し時に知っていた不適合(重過失で知らなかった場合も同じ)には、この1年の制限もかからない |
| 免責特約 | 上の責任を負わないとする合意 | 売主が個人(宅建業者でない)なら原則有効。ただし次の行が例外 |
| 知りながら告げなかった事実 | 免責特約があっても責任を免れない(572条) | 告知書に書かなかった「知っていたこと」がすべてここに落ちる |
通知期間の「知った時から1年」は、売主にとって長い期間です。買主が3年目に雨漏りに気づけば、そこから1年は請求できる理屈になります。だから僕が仲介で見てきた範囲では、個人間の契約はこの期間を特約で「引渡しから3か月」程度に区切るか、築古の建物なら免責にすることがほとんどでした。3か月は法律で決まった数字ではなく、契約ごとに決めるものです。
売主が不動産会社(宅建業者)の場合は、事情が違います。宅建業法40条で、通知期間を「引渡しから2年以上」とする特約を除き、民法より買主に不利な特約は無効です。個人が実家を売るときにこの縛りはありませんが、「業者が売主なら2年」を個人売主にも求める買主がいます。そのときは仲介会社から「個人売主は別」と説明してもらいます。
🔢 数字メモ|請求の上限は引渡しから10年
1年以内に通知しても、権利そのものは消滅時効にかかる。「行使できると知った時から5年」「引渡しから10年」の早いほうで消える(民法166条・法務省「民法(債権関係)改正」)。免責も期間短縮もない契約だと、築古でも最長10年は請求の可能性が残る。
築古の実家で実際に使われる特約。「現状有姿」は免責ではない
個人が個人に実家を売る契約書には、契約不適合責任について次のような特約が入ります。仲介会社の書式によって文言は違いますが、種類は5つです。
| 特約の種類 | 契約書での書き方(例) | 効く範囲 | 売主側の注意 |
|---|---|---|---|
| 全部免責 | 「売主は本物件の契約不適合責任を負わない」 | 建物・土地の隠れた不具合すべて | 572条の例外あり。告知書に書いた事実が前提 |
| 期間の限定 | 「通知期間は引渡し日から3か月以内とする」 | 期間を過ぎた通知は不可 | 3か月は僕が見てきた個人間取引で多かった期間で、法定の数字ではない。買主が2年を求めたら仲介に交渉させる |
| 設備の免責 | 「給湯器・エアコン・給排水設備等の設備については責任を負わない」 | 設備の故障。建物本体は別 | 付帯設備表で「故障あり/撤去」を先に書く |
| 建物のみ免責・土地は限定 | 「建物は免責。土地の埋設物・土壌汚染は3か月」 | 古家付き土地でよく使う | 埋設物(旧基礎・浄化槽・井戸)を告知書に |
| 現状有姿 | 「現状有姿にて引き渡す」 | 免責ではない。「今の状態で渡す」という引渡し条件にすぎない | この一文だけで安心しない。免責は別に書く |
一番多い誤解が「現状有姿」です。「現状のまま渡す=あとは知らない」と読む売主が多いのですが、現状有姿は「修理や片付けをせずに、この状態のまま引き渡す」という意味で、契約不適合責任を免除する文言ではありません。免責にしたいなら、免責の条項を別に入れる必要があります。
そしてどの特約を使うにしても、土台になるのは告知書(物件状況報告書・物件状況等報告書)と付帯設備表です。仲介会社が売主に書いてもらう、家の状態を申告する書類です。ここに書いたことは「契約の内容」になり、書かなかった「知っていたこと」は572条で売主に跳ね返ります。
⚠️ 失敗メモ|「現状有姿」だけで売った雨漏り
契約書に「現状有姿」とだけあり、免責条項も告知書もない個人間契約で、引渡し4か月後に雨漏りした例を見た。売主は「現状渡しだから」と主張したが、通知は民法の1年以内で、修補費用を請求された。署名前に、特約欄で「契約不適合責任を負わない」の一文を指で探す。
インスペクション(建物状況調査)。5万〜10万円で何が分かり、何が分からないか
インスペクションは、宅建業法では「建物状況調査」と呼びます。国の登録講習を修了した建築士(既存住宅状況調査技術者)が、国交省の調査方法基準に沿って、建物の構造耐力上主要な部分(基礎・柱・梁・壁など)と雨水の浸入を防止する部分(屋根・外壁・開口部など)を、目視と計測で調べるものです。壁を壊さず、床下と小屋裏は点検口から見える範囲。所要は2〜3時間です。
2018年4月1日施行の改正宅建業法で、仲介会社の手続きに3つが加わりました。媒介契約の書面に、調査をする者を「あっせんするかどうか」を書くこと(宅建業法34条の2)。重要事項説明で、戸建てなら実施から1年以内の調査の有無と結果の概要を説明すること(35条)。売買契約の書面に、建物の状況について売主・買主の双方が確認した事項を書くこと(37条)。2024年4月からは国交省の標準媒介契約約款で、あっせん「無」のときに理由を書く欄も加わりました。媒介契約で「あっせん不要」と伝えても、自分で調査会社に頼むことは自由です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 費用の目安 | 戸建てで5万〜10万円程度(例:大阪府建築士会の既存住宅状況調査は一戸建て150㎡未満6万円、150〜200㎡未満7万円、税別)。床下・小屋裏への進入、給排水などの詳細調査はオプションで加算 |
| 分かること | 基礎・外壁のひび割れ、雨漏りの痕跡、床の傾き、柱・土台の腐朽やシロアリの痕跡、屋根・外壁の劣化 |
| 分からないこと | 壁の中、地中、給排水管の内部、耐震性能(耐震診断は別)。瑕疵の有無を判定するものではない |
| 結果の扱い | 1年以内の調査は重要事項説明で買主に説明される。良い結果も悪い結果も渡る |
| 既存住宅売買瑕疵保険 | 保険法人の検査で劣化事象がないこと(補修して再検査なら可)と、新耐震基準への適合が加入条件。昭和初期築の実家は耐震改修をしない限りまず入れない |
売主がインスペクションをやるべきかは、建物に値段がついて売るかどうかで決まります。買主のタイプごとに家のどこを見ているかは「古い実家は古家付き土地で売るか、リフォームして売るか」に書いたので、ここでは費用の損得だけを並べます。
| 状況 | やる場合の損得 | やらない場合の損得 |
|---|---|---|
| 築30〜40年で、建物にまだ値段がつく(リフォームして住む買主が想定) | 5万〜10万円で「調べた家」になり、買主の値引き材料が減る。不具合が出れば先に告知書へ | 買主側が調査を入れ、結果を材料に値引き交渉される。契約直前に発覚すると流れやすい |
| 築50年超で、建物価値ゼロの古家付き土地 | 調べても「劣化あり」の結果になり、価格に反映しにくい。費用は回収しにくい | 「建物は免責、価値ゼロ」で売る。費用は境界測量と残置物の処分に回す |
| 買主が解体前提 | ほぼ意味がない | 土地の埋設物と境界のほうが争点 |
僕の判断は、築古でも「住める家」として売るなら売主が先に調べ、結果を告知書に載せて契約の内容にする。建物価値ゼロで売るなら調べずに、その費用を測量に回す、です。
📝 現場メモ|結果が悪くても隠せない
売主が入れた調査で「柱の腐朽」が出ると、そのまま重要事項説明に載る。「調べなければよかった」と言う売主がいるが、調べなくても572条の「知っていた」は変わらない。順番は「調べる→告知書に書く→価格を決める」。価格を決めてから調べると、値下げの形になって損した気分が残る。
引き渡し前にやる告知の準備。書く項目と、隠したときの結果
告知書は、仲介会社から渡される書式に売主が記入します。問題は「知っているのに書かない」ことです。実家は親が住んでいた家なので、自分では知らないことが多い。契約前に、親や兄弟に聞く時間を取ってください。
| 項目 | 何を書くか | 確認方法 | 隠して発覚したとき |
|---|---|---|---|
| 雨漏り | 過去の発生箇所、修理の有無と時期 | 天井・壁の染み、親に聞く、修理の領収書 | 572条で免責が効かず修補費用。屋根なら数十万〜 |
| シロアリ | 被害・駆除の履歴、保証書の有無 | 駆除業者の保証書、床下の蟻道 | 土台交換で100万円超の請求例あり |
| 傾き・沈下 | 床の傾き、建具の建付け | ビー玉が転がるか、扉が勝手に閉まるか | 不同沈下なら減額・解除の争いに発展 |
| 給排水・浄化槽 | 詰まり、漏水、浄化槽か下水か | 水道局の下水接続記録、浄化槽の点検記録 | 設備免責でも「浄化槽の存在」を書かないと土地の不適合になりうる |
| 境界・越境 | 境界標の有無、隣の塀や枝の越境、自分の側の越境 | 現地で境界標を探す、測量図の有無 | 契約直前に隣地とのトラブルで流れる。決済延期の原因 |
| 埋設物 | 旧建物の基礎、井戸、使わなくなった浄化槽・汲み取り槽 | 親に聞く、建て替え時の記録 | 解体後に発見されると撤去費用の請求 |
| 人の死・事故 | 自殺・他殺・事故死、特殊清掃の有無 | 家族で確認 | 心理的瑕疵として損害賠償・解除。自然死・日常生活での不慮の死は原則告知不要だが、発見が遅れ特殊清掃が入った場合は対象(国交省「人の死の告知に関するガイドライン」2021年10月) |
| 近隣トラブル・騒音 | 隣地との紛争、暴力団事務所、騒音源 | 親・近所に聞く | 環境的瑕疵として減額請求。知っていれば告知対象 |
| 増改築・違反建築 | 未登記の増築、建ぺい率オーバー | 登記と現況の差、確認済証の有無 | 買主のローンが通らず、ローン特約で白紙解除 |
告知書を書くときの原則は3つです。
- 「知っている事実」は、古くても、直っていても書く
- 「分からない」は「不明」と書き、「なし」と書かない
- 修理の領収書・保証書・点検記録は、あるだけ買主に渡す
これをやると、「知りながら告げなかった」に当たる余地がほぼなくなり、免責特約が本来の力を持ちます。逆に、告知書に「雨漏り:なし」と書いて、後から親の修理の領収書が見つかったケースは、「本当は知っていたのでは」が争点になり、免責特約があっても売主はかなり苦しい立場に立たされます。
📖 用語メモ|心理的瑕疵・環境的瑕疵
心理的瑕疵は、建物に壊れた所がなくても、過去の事件・事故などで住むことに抵抗を感じさせる事情。環境的瑕疵は、騒音・悪臭・近くの嫌悪施設など家の外にある事情。改正後はどちらも「品質の契約不適合」として争われうるので、知っていれば告知書に書く。
買取業者に売ると免責が通りやすい理由と、価格差。僕の実家ならどう売るか
僕が見てきた買取では、契約不適合責任は全部免責がほとんどでした。宅建業法40条の「2年以上」の縛りは業者が売主のときの規制で、業者が買主のときは関係ありません。買取業者は自分で調べて直し、転売する前提なので、売主に責任を求めない代わりに、そのリスクを価格に織り込みます。期間・残置物・業者の見分け方まで含めた比較は「実家の売却は仲介と買取どちらが得か」に書いたので、ここでは責任の違いに絞ります。
| 項目 | 仲介で個人に売る | 買取業者に売る |
|---|---|---|
| 価格 | 相場 | 相場の6〜8割が目安(僕の現場感。公的統計はない) |
| 契約不適合責任 | 特約で免責・通知期間の短縮など。告知書が土台 | 全部免責が一般的。ただし契約書で確認 |
| 告知書 | 必要 | 必要(免責でも572条は同じ) |
| 引き渡し後に不具合が出たら | 特約の範囲・期間内なら買主から請求が来る。仲介会社が間に入る | 免責の範囲内なら請求されない |
| 向いている家 | 建物に値段がつく、または土地の需要がある | 不具合が多く告知が長くなる、遠方で引き渡し後の対応ができない |
免責の安心と引き換えに、価格が2〜4割下がる。1,500万円の相場なら、300万〜600万円の差です。この差額は「引き渡し後に何か出ても払わなくていい保険料」と考えると分かりやすい。築古で不具合が多く、告知書を書くと項目が10個を超えるような家なら、仲介で売っても値引きと交渉で削られるので、買取との差は縮まります。
📝 現場メモ|買取の免責も条文で確認
買取だから全部免責だと思い込んで、契約書に「土地の埋設物は売主負担」と残っていた例を見た。買取業者の書式は業者ごとに違う。契約前に「契約不適合責任」「埋設物」「残置物」の3か所を読み、免責の範囲を口頭ではなく条文で確認する。
僕の実家(昭和初期築)なら、こう売る
自分の実家に当てはめると、答えは決まっています。
- 建物は価値ゼロ。古家付き土地として、建物の契約不適合責任は全部免責で売る。土地の埋設物は、告知書に書いた範囲を超えるものに限り、引渡しから3か月以内の通知で協議する
- インスペクションはやらない。建物に値段をつけないので、調べても価格に反映しない。その費用は境界確定測量(35万〜80万円)に回す
- 告知書は自分で書く。親と親戚に「雨漏りしたことは」「シロアリの駆除は」「井戸や浄化槽は」を聞く。昭和初期の家は、増築の記録がないことが多いので、登記と現況の差を先に確認する
- 更地渡しも検討する。建物の不適合は消えるが埋設物の責任は残るので、解体業者に地中障害物の有無を報告書に書いてもらう
売るか残すかは、まだ家族と話し合い中です。残すなら固定資産税・保険・管理で年16万〜40万円と、管理不全空家の勧告で住宅用地特例が外れるリスクを引き受けることになります。ただ「売るならこの条件」を先に決めておくと、家族への説明も相場を聞く相手への説明も短くて済みます。
僕が使っている、匿名で相場を知る方法
免責で売るか、買取に出すか、更地にするか。どれも「いくらで売れるのか」が分からないと比べられません。
僕が使っているのは、LIFULL HOME’Sの不動産売却査定です。仕事でLIFULLさんと組むことが多く、仕組みを知っているので、良い点と気をつける点を分けて書きます。
良い点
- 匿名で査定を依頼できる。名前や電話番号を出さずに相場感だけ取れる
- 提携約1,700社、最大6社に同時依頼。地方の築古は地元会社のほうが強く、地元会社の登録が多い
- 連絡方法を電話・メール・郵送から選べる。「メール希望」にすれば営業電話は避けられる
気をつける点
- 大手不動産会社の登録は少なめ。大手の査定も欲しいなら別に依頼する
- 会社によって対応の速さに差がある。返事が遅い会社は候補から外す
- 査定額の高い会社ではなく、「築古の免責特約をどう組むか」「告知書の書き方をどう手伝うか」を具体的に答えられる会社を選ぶ。ここが、売った後に請求されるかどうかの分かれ目です
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よくある質問
Q. 免責特約を入れると、買主が嫌がって売れにくくなりませんか?
A. 僕が扱ってきた築古の戸建てでは「建物は免責」がほとんどで、買主もそれを前提に価格を見ていました。嫌がられるのは免責そのものより、告知書が薄いときです。不具合を全部書いた告知書と免責特約のセットは、買主にとっても「後で揉めない契約」なので、むしろ進みやすくなります。
Q. 引き渡し後に買主から請求が来ました。どうすればいいですか?
A. 口頭で何も約束せず、契約書の契約不適合責任の条項と告知書を確認し、仲介会社に連絡してください。免責の範囲内か、通知期間内か、告知書に書いた内容か、の3点で整理します。金額が大きいか解除の話が出ているなら、弁護士に相談してください。
Q. 買主から「インスペクションを入れたい」と言われました。断ってもいいですか?
A. 断る理由はほとんどありません。費用は頼んだ買主が払うのが普通で、売主の仕事は立ち会いと、点検口や小屋裏を見られる状態にしておくことです。気をつけるのは結果の扱いで、不具合が出たら、値引きに応じるか、告知書と特約に書き足して価格は据え置くかを仲介会社と決めます。契約後に見つかって揉めるより、契約前に見つかるほうが安く済みます。
Q. 親が住んでいたので、家のことがほとんど分かりません。告知書は「不明」だらけでいいですか?
A. 「不明」は正直な記載で問題ありません。ただし、親が存命なら必ず聞いてください。親が「10年前に雨漏りを直した」と知っていて、相続人のあなたが聞かずに「不明」と書くと、後で修理の領収書が出たときに争いになります。聞ける人に聞いたうえでの「不明」にしてください。
まとめ
- 2020年4月から売主の責任は契約不適合責任。争点は「不具合があるか」ではなく「契約書・告知書に書いた内容と違うか」。
- 個人売主は免責特約も、通知期間の短縮(僕の現場では3か月が多かった)もできる。ただし「現状有姿」は免責ではない。免責は別に書く。
- 知っていて告げなかった事実は、免責があっても責任を免れない(民法572条)。告知書に古い雨漏り・シロアリ・埋設物まで全部書くことが、売主を一番守る。
- インスペクションは戸建てで5万〜10万円。建物に値段をつけて売るならやる。価値ゼロの古家付き土地なら、測量と告知書に費用を回す。
- 買取は免責が通りやすいが価格は相場の6〜8割。その差額が妥当かは、相場を知ってから判断する。
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