親が元気なうちに実家でやっておくこと|生前贈与・遺言・家族信託の選び方

親が元気なうちに実家でやっておくこと|生前贈与・遺言・家族信託の選び方

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親はまだ元気で、実家に住んでいる。いつか「この家をどうするか」を決める日が来ると分かっていても、親に切り出しにくい。僕もそうです。

売買の仲介の現場で実家の相談を受けていると、困って相談に来る人の大半は、相続してからです。そして「親が元気なうちに、これ一つやっておけば」という場面を何度も見てきました。

僕自身、昭和初期築の実家があり、親は存命で、親戚が集まる家です。この記事は、現場で見た「相続してから困った」典型例から逆算して、今の僕に何ができるかを整理したものです。生前贈与・遺言・家族信託・生前売却の4つを、費用と効果で並べます。

税制・法制度は2026年9月時点の国税庁タックスアンサー、法務省、裁判所の公開情報にもとづきます。税務・法務は家族構成や財産の内容で結論が変わります。実行前に必ず税理士・司法書士にご確認ください。この記事は一般的な情報で、個別の税務相談ではありません。

先に結論

  • 相続してから困る原因は、ほぼ3つ。名義が古い、親が契約できない、相続人がまとまらない。どれも親が元気なうちなら数千円〜100万円程度で防げる。
  • 親が認知症になると実家は「売れない家」になる。成年後見をつけても家庭裁判所の許可が要り、専門職後見人の報酬は月2万円〜。対策になるのは家族信託か生前売却で、遺言は死後にしか効かない。
  • 実家の生前贈与は相続税を減らす手にならない。登録免許税は相続の5倍、不動産取得税もかかり、小規模宅地等の特例も相続空き家の3,000万円控除も使えない。「名義を早く確定させる」目的で選ぶもの。
  • どの道でも、いくらの家かを知らないと計画が立たない。連絡先を自分(子)にして査定を頼めば、営業の連絡は親ではなく基本的に自分に来る。

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「相続してから困った」3例

相続した実家を売りたい、という相談で最初に確認するのは3つです。登記名義は誰か。売主は契約できる状態か。相続人全員と連絡が取れるか。このどれかで止まる相談が、体感で3件に1件あります。

典型例何が起きたか生前にできた手かかる費用の目安
名義が祖父のまま親が相続登記をしないまま亡くなり、祖父の相続人(叔父・叔母とその子)が十数人に。全員の実印集めに1年以上かかり、1人と連絡がつかず売却を断念親が元気なうちに祖父→親の相続登記を済ませる。過去分は2027年3月31日が義務化の期限登録免許税0.4%+司法書士報酬(単純な相続登記で平均7万円台。相続人が多いほど上がる)
親の認知症で売れない施設費用のために実家を売りたいが、親に契約する判断能力がない。成年後見人をつけ、家庭裁判所の許可を待って売却まで1年家族信託、または元気なうちに売却して住み替え家族信託30万〜100万円/売却は仲介手数料など
兄弟と連絡が取れない遺言がなく、疎遠な兄弟の同意が取れない。遺産分割協議ができず共有のまま放置、固定資産税は近くに住む一人が払い続けた遺言で「実家は誰が相続するか」を指定。連絡先を家族で共有自筆証書遺言の法務局保管3,900円/公正証書遺言は公証人手数料数万円+専門家報酬

3例に共通するのは、相続後にやろうとすると「他人の同意」か「裁判所の許可」が要ることです。親が元気なうちなら、親本人の意思だけで動かせます。この差が、時間で1年、費用で数十万〜数百万円になります。

1例目の相続登記は「相続登記の義務化はいつまで?」で、祖父名義のまま相続人が増えた家の売り方は「祖父名義のままの実家を売るには」で手順を書きました。この記事では2例目と3例目、「親が契約できなくなる前に何をするか」を中心にします。

親の認知症で実家が「売れない家」になる仕組みと、成年後見の限界

不動産の売買契約は、売主本人に意思能力が必要で、ない人の契約は無効です(民法3条の2)。親が認知症で契約内容を理解できなくなると、子が代わりに実印を押しても契約は成立しません。

そこで使うのが成年後見制度ですが、実家を売る目的で使うと、現場では3つの壁に当たります。

壁内容出典・根拠
家庭裁判所の許可後見人が本人の居住用不動産を売るには家庭裁判所の許可が必要。施設に入って空き家でも、過去に生活の本拠だった家は「居住用」扱い。許可なしの売買は無効民法859条の3
許可が下りるとは限らない裁判所は「本人のために必要か」で判断する。預貯金で施設費用が足りていれば、売却の必要性が認められないことがある家庭裁判所の運用
報酬が亡くなるまで続く専門職(司法書士・弁護士)が後見人になると、基本報酬は月2万円。管理財産1,000万〜5,000万円で月3万〜4万円、5,000万円超で月5万〜6万円。売却が終わっても後見はやめられない東京家庭裁判所「成年後見人等の報酬額のめやす」

成年後見は「親を守る制度」であって「実家を売るための制度」ではありません。親の状態ごとに何ができるかを整理すると、こうなります。

親の状態実家の売却贈与・遺言・家族信託の設定
元気で判断できる親本人が契約できるすべて可能
物忘れが増えてきた(軽度)司法書士の意思確認次第。医師の診断書を求められることがあるグレー。早めに動く。医師の診断書があると後の無効主張に備えられる
判断能力がない成年後見+家庭裁判所の許可できない。この段階で書いた遺言や信託契約は、後で無効を主張されやすい

🔢 数字メモ|認知症高齢者は2040年に584万人

厚生労働省の研究班が2024年に公表した推計では、認知症の高齢者は2022年の約443万人から2040年に約584万人へ増える。軽度認知障害(MCI)を含めると2040年に約1,200万人。高齢者の3.3人に1人にあたる。「うちの親は大丈夫」の前提は、確率としては置けない。

📝 現場メモ|決済日に司法書士が意思確認をする

売買の決済当日、登記を担当する司法書士は売主本人に「この家を、いくらで、誰に売るか」を口頭で確認する。ここで答えられないと決済は止まる。買主がローンを組み、引っ越し業者を手配した後で止まった例を僕は見た。親が高齢なら、媒介契約の前に司法書士と面談しておくと安全。

対策は4つ。生前贈与・遺言・家族信託・生前売却の比較

親が元気なうちにできる対策は、実務上この4つです。「何を解決するか」がそれぞれ違うので、まず並べます。

対策費用の目安手続き効果向くケース
生前贈与登録免許税2%+不動産取得税(土地・住宅3%)+贈与税(相続時精算課税なら累計2,500万円まで贈与時は非課税、相続時に加算)+司法書士報酬贈与契約書→所有権移転登記→翌年に贈与税申告名義が子に確定する。親が認知症になっても子が売れる。相続税の節税効果はほぼない実家に住む子が決まっている。名義を早く確定させたい
遺言自筆証書+法務局保管3,900円。公正証書は公証人手数料(受け取る人ごとに計算。1人に3,000万〜5,000万円なら33,000円。合計1億円以下は遺言加算13,000円)+専門家に文案を頼むなら報酬自筆なら本人が書いて法務局へ。公正証書なら公証役場で作成「誰が実家を相続するか」が決まり、遺産分割協議が不要になる。ただし死後にしか効かず、認知症対策にはならない相続人が複数で、分け方でもめそう。認知症対策は別で手当てする
家族信託30万〜100万円程度(信託財産の1%前後が専門家報酬の目安+公証人手数料+信託登記)設計→信託契約を公正証書で作成→信託登記→信託口口座の開設親が認知症になっても、受託者(子)が実家を売却・管理できる。売却代金は親の生活費や施設費用に使える。税は変わらない親は元気だが将来売るかは未定。施設費用に実家を充てる可能性がある
生前売却仲介手数料(売買価格の3%+6万円+消費税)、測量・片付け費用査定→媒介契約→売買契約→決済実家の管理問題が消える。親本人なら3,000万円控除が使える。現金は親の口座に残り、相続財産になる親が住み替えや施設入所を決めている。残す理由がない

「認知症になったら売れない」問題に効くのは、生前贈与・家族信託・生前売却の3つです。遺言は相続後の争いを防ぐ道具で、親が生きている間の「売れない」には無力です。逆に家族信託は、相続人同士の分け方までは決めません。だから遺言と家族信託はセットで使う人が多い。

家族信託の費用目安と、司法書士に相談する流れ

家族信託は「親(委託者)が子(受託者)に実家の管理・処分を任せ、利益は親(受益者)が受け取る」契約です。形式上の所有権は子に移りますが、親が受益者である限り税務上は親の財産のままで、贈与税はかかりません。

ステップ内容期間・費用の目安
1. 相談家族信託を扱う司法書士に、家族構成・財産・目的(売却か管理か)を伝える。初回相談は無料〜1万円程度が多い1回1〜2時間
2. 設計誰を受託者にするか、売却権限を持たせるか、親が亡くなった後の帰属先を決める。兄弟全員に説明しておく1〜2か月
3. 契約書作成公正証書で作成。公証人手数料は財産額により数万円専門家報酬は信託財産の1%前後、最低30万円程度が目安
4. 信託登記実家の登記に「受託者」を記載する。登録免許税は固定資産税評価額の土地0.3%(2029年3月31日までの軽減税率)・建物0.4%。信託による所有権移転そのものは非課税司法書士報酬は別途(事務所により幅がある)
5. 信託口口座売却代金や家賃を管理する専用口座を開設。対応する金融機関を事前に確認2〜4週間

総額30万〜100万円は高く見えますが、成年後見の専門職報酬が月2万〜6万円で5年続けば120万〜360万円です。比較の土俵に乗ります。

注意点は、相続税の節税策ではないこと、「受託者にすべてを任せる」契約なので兄弟間の信頼がないと後でもめることです。受託者以外の兄弟にも設計段階で説明しておくのが現場の鉄則です。

📖 用語メモ|遺留分とは

配偶者・子・親には、遺言でも奪えない最低限の取り分(遺留分)がある。子の遺留分は法定相続分の2分の1。「実家は長男にすべて」と遺言しても、次男は遺留分侵害額を金銭で請求できる。実家が財産の大半なら、代償金の準備か生命保険で手当てしておく。

生前贈与と相続、税金はどう違うか

「生前贈与と相続、どっちが得か」はよく受ける質問です。実家に限れば、税だけで見ると相続のほうが安いことがほとんどです。理由を表で並べます。

項目暦年贈与相続時精算課税(2024年改正後)相続
非課税の枠年110万円の基礎控除年110万円の基礎控除(2024年新設)+累計2,500万円の特別控除。60歳以上の親から18歳以上の子へ。一度選ぶと暦年課税に戻れない基礎控除3,000万円+600万円×法定相続人の数
税率基礎控除超に10〜55%(18歳以上の子が親から受ける特例税率)特別控除を超えた分に一律20%10〜55%
相続財産への加算相続開始前3年→7年へ段階延長。2026年までの相続は3年、2027〜2030年の相続は2024年1月1日以後の贈与、2031年以降の相続は7年。延長4年分は合計100万円まで加算しない年110万円の基礎控除分を除き、贈与時の価額で全額加算—
登録免許税(所有権移転)固定資産税評価額の2%同2%同0.4%
不動産取得税土地・住宅は3%(2027年3月31日まで)。宅地は課税標準が1/2同左非課税
小規模宅地等の特例使えない使えない要件を満たせば使える
出典国税庁 No.4408・No.4161国税庁 No.4103・No.4161国税庁 No.4152・No.4124、No.7191

固定資産税評価額2,000万円(土地1,500万円・建物500万円)の実家を生前贈与すると、登録免許税は40万円(相続なら8万円)、不動産取得税は宅地の1/2特例を入れて約38万円(相続なら0円。築年による建物の控除は考えない概算)。ここに贈与税が加わります。相続時精算課税を選べば贈与時の税は抑えられますが、相続時に贈与時の価額で足し戻されるので「先渡し」にすぎません。

2024年の改正で相続時精算課税に年110万円の基礎控除ができ、この分は相続時に加算されません。現金を少しずつ渡す用途では使いやすくなりましたが、実家のような一発の大きな財産には効きません。一方、暦年贈与の加算期間は3年から7年へ段階的に延び、「亡くなる直前に渡す」手は効かなくなっていきます。

では生前贈与を選ぶ理由は何か。税ではなく「名義を今すぐ確定させる」ことです。住む子が決まっていて、親の認知症前に名義を移したい、兄弟にも合意がある。この条件なら、税を多く払ってでも贈与する価値があります。

📝 現場メモ|贈与でもらった実家は「相続空き家の3,000万円控除」が使えない

相続空き家の3,000万円控除(国税庁 No.3306)は「相続または遺贈で取得した家」が対象。生前贈与で名義を受けた子が後で売っても対象外で、子自身が住んでいなければ居住用財産の控除も使えない。実家を「将来売る」つもりなら、贈与は控除を一つ捨てる選択になる。

小規模宅地等の特例は「持ち家のある子が相続する実家」で使えない

相続税で最も効く特例が小規模宅地等の特例です。親が住んでいた土地を要件を満たす親族が相続すると、330㎡までの評価額を80%減らせます(国税庁 No.4124、特定居住用宅地等)。評価額3,000万円の土地なら600万円で計算する。相続税がかかるかの分かれ目になる大きさです。特例を使って相続税が0円になる場合でも、申告書を出すことが適用の条件です。

ただし「誰が相続するか」で使えるかが決まります。ここに、実家が空き家になる家族が引っかかります。

実家を相続する人主な要件使えるか
配偶者要件なし使える
同居していた子相続開始の直前から申告期限まで住み続け、土地を持ち続ける使える
別居の子(いわゆる家なき子)親に配偶者がおらず、親と同居していた相続人もいない。相続前3年以内に自分・配偶者・3親等内の親族・特別の関係がある法人が所有する家に住んでいない。相続時に住んでいる家を過去に所有したことがない。申告期限まで土地を持つ持ち家に住んでいる子は使えない
生前贈与で取得した子贈与財産は対象外(相続時精算課税でも同じ)使えない

相談でよくあるのは、次のような家族構成です(一般的な例です)。親の一方はすでに亡く、もう一方の親が実家で一人暮らし。子は2人とも持ち家に住んでいる。その親が亡くなると実家は空き家になり、相続する子は「持ち家のある別居の子」なので家なき子に該当せず、特例は使えません。実家が空き家になる構造そのものが、この特例を使えなくする構造です。

親が老人ホームに入っていた場合は、相続開始の直前に要介護・要支援認定を受けていて、入所後にその家を事業に使ったり、生計を一にする親族以外の人が新たに住んだりしていなければ、入所前に住んでいた家として扱われます(No.4124、措置法通達69の4-7の3)。施設入所で特例が消えるわけではありません。相続空き家の3,000万円控除の老人ホーム例外は「入所の直前に認定を受けていたか」で見る(No.3307)ので、同じ入所でも判定の時点が違います。

対策として現場で見るのは3つ。子の一人が実家に戻って同居する(形だけの住民票移動は否認されます)。持ち家を手放して賃貸に移り、3年以上たってから相続を迎える(狙ってやるのは非現実的)。特例をあきらめ、相続後の3,000万円控除で譲渡税を抑える。

実感では3つ目が最も多い。相続税は基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人)を超えなければかかりません。まず相続税の対象になるのかを税理士に試算してもらってから、特例の心配をする順番です。

⚠️ 失敗メモ|申告期限前に売って特例が外れた

同居の子と家なき子には「相続税の申告期限(相続から10か月)まで土地を持ち続ける」要件がある。相続後すぐ買い手がつき、申告期限前に決済して特例が使えなくなった例を見た。売却を急ぐ場合でも、決済日だけは申告期限の後に設定する。税理士と仲介会社の両方に相続日を伝えておく。

「住んでいるうちに売る」と「相続してから売る」、3,000万円控除の比較

親が元気なうちに実家を売る選択肢も、現場では珍しくありません。施設や子の近くへ住み替える、管理できなくなった家を手放す。この場合、親自身が売主なので「居住用財産の3,000万円控除」(国税庁 No.3302)が使えます。相続後に子が売る「相続空き家の3,000万円控除」(No.3306、詳しい要件は「相続した空き家の3,000万円控除」)と並べます。

項目親が住んでいるうちに売る(No.3302)相続してから子が売る(No.3306)
売主親本人相続人
期限住まなくなった日から3年を経過する日の年の12月31日まで相続から3年を経過する日の年の12月31日まで、かつ2027年12月31日まで
建物の要件築年を問わない1981年5月31日以前の建築。区分所有でない
居住の要件親が実際に住んでいた家親が一人で住んでいた家。要介護認定等で老人ホームに入所していた場合は例外あり
建物を壊して売る場合取り壊しから1年以内に契約し、住まなくなった日から3年目の年末までに売る。取り壊し後に駐車場などに使わない売却後、翌年2月15日までの耐震改修または取り壊しでも可
控除額3,000万円3,000万円。相続人3人以上は1人2,000万円
買主親族など特別の関係がある人は不可同左
親の判断能力必要(後見人なら家庭裁判所の許可)不要
売却代金親の口座へ。相続財産として残る相続人の口座へ

住んでいるうちに売る利点は、築年の要件がないこと、2027年末に縛られないこと、親の意思で完結することです。欠点は、売却代金が現金で親の財産に残り、相続税の評価では不動産より高くなること(不動産の相続税評価は時価より低いのが普通です)。相続税がかかる家庭では「売ってから相続」と「相続してから売る」の両方を税理士に試算してもらう価値があります。

また「住まなくなってから3年目の年末」は、親が施設に入った日から数え始めます。様子を見ているうちに期限を過ぎた例を、僕は何度か見ました。

僕の実家で、今できることの整理

ここからは自分の話です。うちの実家は昭和初期築の木造で、敷地約250㎡。親は存命で、親戚が集まる家です。この記事の選択肢を自分に当てはめるとこうなります。

確認項目現状今できること
登記名義いま住んでいる親の名義(確認済み。相続はまだ起きていない)親の相続が起きたら、知った日から3年以内に相続登記。読者は登記事項証明書で確認できる(窓口600円、オンライン請求なら520円〜)
相続税の対象か土地の評価額と預貯金の合計はまだ出していない。法定相続人は、もう一方の親が配偶者として健在なら4人(基礎控除5,400万円)、いなければ子3人(4,800万円)路線価図で概算し、基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人)と比べる
小規模宅地等の特例僕は別居。もう一方の親が配偶者として健在で実家を取得するなら特例の対象になり得る。いなければ、取得する子(僕・弟・妹)の持ち家の有無で決まる持ち家があれば家なき子に該当しない。その前に相続税がかかるかを試算
親の意向親戚が集まる場所として残したい「残す」なら家族信託で管理・処分の権限を決めておく。「売る」なら親が元気なうちに相場を共有
遺言有無は親本人に聞く(親の存命中は、公証役場や法務局の遺言の照会は本人しかできない)実家の帰属先を決めておく。兄弟で共有にしない
相場これから取る一括査定で相場を取り、家族会議の材料にする

正直なところ、僕は売却派です。ただ親が元気なうちなら、相続後より選択肢が多い。家族信託で「いざというときは子が売れる」形を作り、家族の気持ちが整理されるまでは残す。これが今の落としどころです。どの道でも相場を知らないと数字の話ができないので、それだけは先に済ませます。

親名義の実家の相場を、子が一括査定で知る

親名義の家です。子が不動産会社に来店すれば「親御さんの意思は」と聞かれるし、営業電話が親の家にかかると、何も決めていない段階で親を不安にさせます。

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気をつける点と、営業電話を減らす頼み方

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  • 机上査定・訪問査定を選ぶ欄はない。備考欄に「連絡はメール希望」「まずは机上査定(訪問なし)で」と書き、電話が来たら同じことを伝える
  • 断るときは「他社に決めた」の一言でよい
  • 会社によって対応の速さにばらつきがある。連絡が来ない会社は候補から外せばよい
  • 査定額が高い会社が良い会社とは限らない。根拠を説明できる会社を選ぶ
  • 査定は「売る」約束ではない。相場を家族で共有する材料として使い、決めるのは親と家族です

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よくある質問

Q. 生前贈与と相続、結局どちらが得ですか?

A. 実家に限れば、税だけなら相続のほうが安いのが普通です。贈与を選ぶ理由は税ではなく「名義を今確定させる」ことです。家族構成と財産で結論が変わるので、金額は税理士に試算してもらってください。

Q. 家族信託をすれば相続税が安くなりますか?

A. なりません。認知症後も子が実家を管理・売却できるようにする仕組みで、税は変わりません。相続税対策は税理士と別に組み立てます。

Q. 親に「実家をどうするか」を切り出せません。

A. 「売る・売らない」ではなく「名義と遺言の確認」から入ると角が立ちにくいです。相続登記の義務化(過去分は2027年3月末)を口実に登記事項証明書を一緒に取る、というのが現場で勧めている入り方です。数字の話は、一括査定で相場を取ってからにします。

Q. 親がすでに軽い認知症と言われています。もう手遅れですか?

A. 一律に手遅れではありません。契約内容を理解できる状態なら遺言や信託契約は可能です。ただし後で無効を主張されるリスクがあるので、医師の診断書を取り、公正証書で作ることを司法書士に相談してください。判断能力がない段階で実家を売るなら、成年後見を使うしかありません。

まとめ

  • 相続してから困る原因は「名義が古い」「親が契約できない」「相続人がまとまらない」の3つ。親が元気なうちなら、親の意思だけで防げる。
  • 認知症になると実家は売れない家になる。成年後見は家庭裁判所の許可と月2万円〜の報酬がつき、売却のための制度ではない。
  • 対策4つの役割は違う。遺言は死後の分け方、家族信託は認知症後の管理・売却、生前贈与は名義の確定、生前売却は問題そのものの解消。
  • 生前贈与は税で不利(登録免許税5倍・不動産取得税・小規模宅地等と相続空き家控除が使えない)。選ぶなら税以外の理由で。
  • 小規模宅地等の特例は「持ち家のある別居の子」には使えない。まず相続税がかかるかを試算する。
  • どの道でも、相場を知らないと計画が立たない。連絡先を自分(子)にして頼めば、営業の連絡は親ではなく基本的に自分に来る。

うちの実家も、まだ最終決断はしていません。名義の確認と相場の共有から始めています。

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