新築アパートを買った翌年に出ていく現金|不動産取得税と固定資産税の目安と来る時期

新築アパートを買った翌年に出ていく現金|不動産取得税と固定資産税の目安と来る時期

結論:フルローンで買えても、翌年までに税金分の現金は要る

新築アパートを買うと、取得から数か月〜半年ほどで不動産取得税、翌年の春に固定資産税(と都市計画税)の納税通知書が届きます。どちらも融資では借りられないのが普通で、自分の現金で払います。「物件価格は全額借りられた」と「現金が要らない」は別の話です。

この記事では、2つの税の違い、不動産取得税を自分で見積もる順番、固定資産税の減額が切れた後の見方、所有するアパートで通知書を受け取ったときの話、の順で書きます。税額は物件ごとに違うので、数字は計算の例です。

前提:不動産取得税と固定資産税は、相手も時期も違う

項目不動産取得税固定資産税(都市計画税)
誰に払う都道府県(県税事務所)市町村
何回取得したとき1回毎年
いつ通知が来る取得から数か月〜半年後が多い(自治体・評価の時期による)1月1日時点の所有者に、4〜6月ごろ。納期は年4回が原則
計算のもと固定資産税評価額(売買価格ではない)固定資産税評価額(課税標準額)
税率本則4%。土地と住宅は3%(期限つきの特例)1.4%が標準。都市計画税は最大0.3%
新築アパートの特例宅地は評価額の1/2で計算、新築住宅は1戸あたり1,200万円控除(床面積の要件あり)新築住宅は建物分が3年度分1/2(床面積の要件あり)。住宅用地は課税標準が1/6または1/3

どちらも「売買価格」ではなく「固定資産税評価額」がもとになります。評価額は売買価格より低いのが普通で、新築アパートでは半分以下になることも珍しくありません。「価格×4%」で計算すると大きすぎる数字が出て、「評価額×3%」で計算し直すと現実的な数字になります。

不動産取得税を自分で見積もる順番

根拠は地方税法(第73条の14・第73条の15・第73条の24・附則第11条の2・附則第11条の5)と、総務省「地方税制度 不動産取得税」です。順番はこうです。

  1. 評価額を知る:中古なら固定資産税の課税明細、新築なら売主や建築会社に「評価額の見込み」を聞く。新築は完成後に評価が決まるので、契約前の数字は見込みです
  2. 土地(宅地)は評価額を1/2にする:附則第11条の5。2027年(令和9年)3月31日までの取得に適用
  3. 税率は3%:本則は4%(第73条の15)ですが、住宅と土地は特例で3%(附則第11条の2)。同じく令和9年3月31日までの取得に適用。期限は延長を繰り返してきたので、取得の時点で確認を
  4. 新築住宅の控除:1戸あたり評価額から1,200万円を引ける(第73条の14)。ただし1戸の床面積が40㎡以上240㎡以下のものに限ります
  5. 住宅用地の税額軽減:住宅の敷地なら、土地の税額から「150万円×3%」か「土地1㎡の価格×住宅の床面積の2倍(1戸200㎡が上限)×3%」の大きいほうを引ける(第73条の24)

1Kアパートは「控除が効かない」ことがある

4番目の控除が、アパートでは分かれ目です。1戸40㎡以上という要件があるので、1戸30㎡前後の単身向けアパートは控除の対象外になり、建物の評価額にそのまま3%がかかります。一方、1戸45㎡以上のファミリー向けなら、1戸ごとに1,200万円引けるので、建物分の取得税はゼロに近くなることが多い。同じ「新築アパート」でも、間取りで税額が大きく変わります。

例(建物評価額6,000万円・20戸)控除建物の取得税
1K・各戸28㎡なし(40㎡未満)6,000万円 × 3% = 180万円
1LDK・各戸45㎡1戸1,200万円 × 20戸(評価額を超えるので全額)0円

土地も足すと、たとえば宅地の評価額が3,000万円なら、3,000万円 × 1/2 × 3% = 45万円から住宅用地の軽減を引いた額になります。こうして出した「取得税の見込み」を、物件を買う前に現金として確保しておくのが順番です。

固定資産税は「減額が切れた後」の数字で収支を組む

固定資産税の税率は1.4%が標準です(地方税法第350条)。新築住宅には、建物分の税額が3年度分(3階建以上の耐火構造は5年度分)2分の1になる減額があり(附則第15条の6、2031年〈令和13年〉3月31日までの新築が対象、1戸120㎡相当分まで、床面積の要件あり)、賃貸アパートも対象です。土地は、住宅用地なら200㎡以下の部分の課税標準が1/6、超える部分が1/3になります(総務省「地方税制度 固定資産税」)。アパートは「1戸あたり200㎡」で数えるので、敷地の多くが1/6の対象に入るのが普通です。

ここで大事なのは、買った直後の固定資産税は「減額されている状態」の金額だということです。4年目(耐火構造なら6年目)から建物分が倍近くに戻ります。収支を組むときは、減額が切れた後の税額で組む。空き家の記事で書いた住宅用地の特例が外れると税額が上がる仕組みと同じで、「今の税額」は条件つきの数字です。

もう一つ、初年度の注意点です。固定資産税は1月1日の所有者に課税されるので、年の途中で買った年は売主に通知が行き、売買のときに日割りで精算します(固定資産税清算金)。自分宛ての通知が来るのは翌年の春からで、そこからは全額です。

試算していても、通知書を手に取ると驚く

所有するアパートを買うとき、取得税も固定資産税も事前に試算していました。それでも、実際に通知書が来たときの感じ方は、計算のときとは違いました。

実体験メモ

  • いつ:2025年8月末に取得。2026年2月に不動産取得税、同年4月に固定資産税の通知
  • どこで:広島県内に所有する新築アパート(2棟26世帯・単身向け・フルローン)
  • やったこと:購入前に、評価額の見込みから取得税と固定資産税を試算し、「来る」と分かったうえで買った。融資の最初の6か月は元金据え置きにして、その間に現金を貯めた
  • 結果:取得から約5か月後、県税事務所から宅地・A棟・B棟の3通の通知が届いた。評価額は売買価格の3割ほどで、「価格×4%」の4分の1程度の税額。4月の固定資産税は、契約前に書類で見ていた金額より増えていた(新築は建物の評価が確定すると動く)。取得から1年で税金として出ていった現金は2つ合わせて約380万円
  • わかったこと:「知っていた」と「払った」の間には距離がある。据え置きで貯めたお金は、ほぼそのまま税金に消えた。1棟の例で、評価額の比率や税額は物件と自治体で変わる

据え置きを提案してくれたのは売主側で、「取得初年度は不動産取得税がどかんとくるので、貯めておきましょう」という先回りでした。据え置きの最後の支払いと取得税の納期限と、据え置き明けの初回返済が、日付のレベルでぴったり並んでいた。この設計が無ければ、1年目はもっと苦しかったと思います。

現金をいくら用意するかの判断

「買う前に用意する現金」の最低ラインは、次の足し算です。

  • 不動産取得税の見込み:上の順番で出した額。1Kアパートは控除が効かない前提で
  • 固定資産税・都市計画税の1年分:減額されている状態の額でよいが、4年目以降の額も別に控えておく
  • 引き継ぎで入ってこない収入の穴:太陽光の売電の名義変更など、数か月入金が止まるものがある。見込みの倍を見ておく
  • 空室の家賃:引き渡し時点の空室分は、埋まるまで返済だけが出る(埋める道具は空室対策の3つの道具に)

融資のほうは、住宅ローンの選び方で書いた「返せる額から逆算する」考え方がそのまま当てはまります。中古・築古を買うなら、融資期間そのものが収支を決めることも先に見ておいてください。違うのは、賃貸経営では家賃が入らない月があり、税金は家賃と関係なく来ることです。据え置きが付いた融資なら、据え置き中に貯まるお金を「余裕資金」と思わず、最初から税金の口座に分けておく。これが1年目を乗り切る、いちばん簡単な方法です。

よくある質問

Q1. 不動産取得税の通知はいつ来ますか?

取得(登記)から数か月〜半年後が多いですが、新築は評価が決まってからなので遅くなることがあります。都道府県によって時期が違うので、県税事務所のサイトで「不動産取得税 納税通知書 時期」を調べるか、電話で聞けば教えてくれます。納期限は通知から1か月程度のことが多く、分割は原則できません。

Q2. 取得税や固定資産税も融資で借りられますか?

物件価格と一緒に借りるのは難しいのが普通です。登記費用や仲介手数料などの「諸費用」を含めて貸す金融機関はありますが、取得後に来る税金まで含めることはまずありません。現金で払う前提で、融資の据え置きや自己資金の計画を立ててください。

Q3. 新築の減額が切れると、固定資産税はいくら上がりますか?

建物分が2分の1に減額されていたので、建物分は約2倍に戻ります(土地分は変わりません)。建物の評価額は年々下がるので、正確には「2倍より少し少ない」額です。4年目の通知書を見て驚かないように、3年目のうちに市町村の課税明細で建物分と土地分を分けて確認しておくとよいです。

Q4. マイホームの税の優遇と同じものは使えますか?

住宅ローン控除は自分が住む家のための制度なので、賃貸アパートでは使えません。新築マンション購入の税の優遇のうち、不動産取得税の新築控除と固定資産税の新築減額は、床面積の要件を満たせば貸家でも使えます。要件の「40㎡以上」が、単身向けアパートで効かない点だけ覚えておいてください。

出典

※税額は評価額・自治体・取得時期で変わります。個別の試算は県税事務所・市町村の税務課、または税理士に確認してください。

まとめ

  • 取得から数か月〜半年後に不動産取得税、翌年の春から固定資産税。どちらも現金で払う
  • 取得税は「評価額 × 3%」。宅地は1/2、新築住宅は1戸1,200万円控除。ただし1戸40㎡未満の単身向けは控除なし
  • 固定資産税の新築減額は3年度分。4年目からの額で収支を組む
  • 据え置きで貯まるお金は最初から税金の口座へ。「知っていた」と「払った」は違う

納税通知書の実際の金額(宅地・A棟・B棟の内訳)、元金据え置き6か月の返済額の推移、売電の引き継ぎで入ってこなかった額まで、所有するアパートの1年目の現金の出入りは、note の連載「元金据え置きと買った後に消えた400万円|不動産賃貸経営 #5」(無料)に全部の数字を出しています。

あわせて読みたい

所有するアパートの実数と経緯はnote の連載(新しいタブを開きます)に書いています。

新築アパートを買った翌年に出ていく現金|不動産取得税と固定資産税の目安と来る時期
最新情報をチェックしよう!
> 

 

Amazonのアソシエイトとして、アパートメントラボ合同会社は適格販売により収入を得ています。