住宅ローンの選び方と審査|変動・固定金利の違いと借入額の決め方を宅建士が解説

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「住宅ローンは変動と固定どっちが得?」「自分はいくらまで借りていいの?」——マイホーム検討で誰もが必ずぶつかる悩みです。しかし答えは「金利の低さ」だけでは決まりません。2026年は日銀の利上げで変動金利の基準が動き、固定金利は過去最大級に上昇した、まさに分かれ道の局面です。この記事では、金利タイプの違いから「返せる額」の決め方、審査の流れと通すコツまで、住宅ローンの実務を順を追って解説します。書き手は宅地建物取引士で、全国の新築・中古・戸建ての内見動画を制作し、自らも広島で一棟アパートを経営する現役オーナー。「借りる側」と「貸す側」の両方の視点でお伝えします。

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住宅ローンの基本:金利は「何に連動するか」で決まる

住宅ローンの金利タイプは大きく3種類です。借入から完済まで毎月の返済額がどう変わるか(変わらないか)が分かれ、その背後には「何の金利に連動するか」という構造の違いがあります。下表で「連動する基準」と「向いている人」を一望できるようにまとめました。

金利タイプ金利の動き連動する基準向いている人
変動金利市場金利に連動して定期的に見直される短期プライムレート(短プラ)返済期間が短い・借入が年収に対し小さい・繰り上げ返済の余力がある人
全期間固定金利借入から完済まで金利が変わらない(代表例:フラット35)長期金利(10年国債利回り)返済期間が長い・金利変動に振り回されたくない・計画的返済を優先したい人
固定期間選択型(当初固定)当初3年・5年・10年など一定期間だけ固定し、期間終了後に選び直す各期間に応じた金利当初の数年だけ返済額を確定させたい・期間後の見直しを許容できる人

変動は短プラ、全期間固定は長期金利という連動先の違いが基本構造です。この違いを押さえると、後述する「なぜ2026年は固定だけが大きく上がったのか」も理解しやすくなります。

金利タイプの違いとメリット・デメリット

変動金利:低いが、上昇リスクを自分で背負う

変動金利は固定より金利が低く、毎月の返済額を抑えやすいのが最大のメリットです。低金利が続けば総返済額も小さくなります。向いているのは、返済期間が短い人・借入額が年収に対して小さい人・繰り上げ返済できる手持ち資金がある人・数年内に住み替えや売却を予定している人です。一方デメリットは、将来金利が上がると返済額・総返済額が増える不確実性があり、家計の見通しが立てにくいこと。「低いから安心」ではなく「上がっても返せるか」が問われます。

全期間固定金利:返済計画が最初から確定する

全期間固定は完済まで金利・返済額が確定し、金利上昇に左右されず返済計画が立てやすいのが強みです。インフレ時の資産防衛にもなります。向いているのは、金利動向に振り回されたくない人・計画的な返済を優先したい人・返済期間が長い人・金利上昇リスクを重視する人。デメリットは変動より金利が高く、毎月返済額・総返済額が大きくなりやすいことです。

固定期間選択型:「当初◯年固定=ずっと安い」ではない

当初固定期間中は金利が抑えられますが、期間終了後は「その時点の金利」が適用され、優遇幅が縮小して返済額が大きく増えることがあります。さらに固定期間選択型には、後述する変動金利の「5年ルール・125%ルール」が適用されないケースが多く、見直し時に返済額が一気に上がりうる点が誤解されやすいところです。

変動の「5年ルール・125%ルール」は万能の防御策ではない

変動金利には、金利が上がっても5年間は毎月返済額を据え置く「5年ルール」と、見直し後も返済額の上昇を直前の1.25倍までに制限する「125%ルール」があります。ただしこれは万能の防御策ではなく、次の3点に注意が必要です。

  • 金利そのものは即時に上がるため、据え置かれた返済額のうち利息割合が増え、元金が減りにくくなる
  • 上昇分の利息は「未払利息」として繰り延べられ、後で支払う必要がある
  • そもそも両ルールを採用しないネット銀行があり、元金均等返済にもこのルールはない

両ルールを採用していない代表的なネット銀行は次のとおりです。これらでは「ルールがあるから安心」が通用しません。

  • ソニー銀行
  • SBI新生銀行
  • PayPay銀行
  • SBJ銀行

なお金利の見直しは毎月ではなく半年ごと(年2回)、返済額の見直しは原則5年ごとです。「金利が上がったら来月から返済額が増える」わけではありません。

利用割合と2026年6月時点の金利動向

住宅金融支援機構の2026年1月調査(2025年4月~9月借入が対象)では、変動型75.0%・固定期間選択型14.9%・全期間固定型10.1%。前回の2025年4月調査では変動型79.0%・固定期間選択型12.2%・全期間固定型8.8%でした。変動が依然として約4分の3を占め主流ですが、金利上昇局面を受けて固定系へ揺り戻しが起きていることが2時点の数値から読み取れます。実際の借入実績は変動が多くても、これから借りる予定者では固定志向が強まる傾向があり、「みんな変動だから変動で安心」と判断するのは危険です。

下表は2026年6月時点の金利水準の目安です。金利は日々動くため、実際の借入時は各金融機関・住宅金融支援機構の最新の公表値を必ず確認してください。

項目2026年6月時点の水準(目安)
変動金利(ネット銀行)おおむね0.6~0.8%台
変動金利(大手銀行)おおむね0.7~1.1%程度
フラット35(全期間固定・返済21~35年/融資9割以下)最頻金利3.210%(前月比でやや上昇)
日銀政策金利0.75%(2025年12月19日に追加利上げ)
短期プライムレート2.125%(2026年2月~)

2026年は金利上昇局面です。日銀の利上げを受け短プラは2.125%まで上昇(~2024/9 1.475%→2024/9 1.625%→2025/3 1.875%→2026/2 2.125%)、変動金利は短プラ連動のため今後さらに上がる可能性があります。一方、固定金利の基準となる長期金利(10年国債利回り)は2025年12月30日の2.066%から2026年5月29日には2.657%へ上昇し、フラット35など固定金利は2026年に過去最大級の上昇となりました。変動と固定の金利差は2%超に開いています。選び方の核心は「今の金利の低さ」ではなく「将来金利が上がっても返し続けられるか」。リスク分散として変動と固定を組み合わせる「ミックスローン」も選択肢です。

アパートメントラボの現場から

全国の新築マンションを取材していると、変動金利を「ずっと今のまま」と思い込んで返済額ギリギリで組む方によく出会います。私が宅建士として必ずお伝えするのは、「変動の低さは銀行があなたに金利上昇リスクを引き受けてもらう対価」だということ。5年ルールがあっても元金が減らずに未払利息が積み上がる仕組みを知ると、皆さん受け止め方が変わります。借りる側と、家賃を受け取る貸す側の両方を経験していると、金利が0.数%動くだけで返済の景色がどう変わるかが肌感覚で分かります。だからこそ「上がっても眠れる返済額か」を最初の基準にしてほしいのです。

「借りられる額」ではなく「返せる額」で決める

住宅ローンで最も大切なのは、金融機関が貸してくれる「借入可能額」と、家計が無理なく払える「返せる額」は別物だと理解することです。判断軸は年収倍率よりも返済負担率(返済比率)、しかも額面ではなく手取りで考えるのが実務的です。

返済負担率(年間返済額÷年収)は、審査上の上限が30~35%ですが、この上限ギリギリで借りると生活が苦しくなります。無理なく返せる水準は手取りベースで20~25%以内が理想です。年収倍率は5~7倍(よく言われる「年収の5倍」)が一つの目安ですが、倍率と返済負担率では算出額が大きくズレます。たとえば年収900万円で年収7倍なら6,300万円ですが、額面の返済負担率35%を基準に試算すると約5,050万円となり、約1,250万円もの差が出ます。同じ年収でも「どの基準で測るか」で借入額は大きく変わるのです。

手取りは額面の概ね、年収600万円までで約80%、700~800万円で約75%、900万円以上で約70%が目安です(高年収ほど税・社会保険料の負担で割合が下がる)。額面で25%でも手取りベースでは30%超になり家計を圧迫しやすいため、必ず手取りで計算しましょう。

たとえば年収900万円の世帯なら、上の目安どおり手取りは約70%=約630万円。ここから「手取り返済比率25%・35年返済・ボーナス払いなし・審査金利で計算」という前提で逆算すると、無理のない借入可能額はおおむね4,900万円前後が目安になります(金利・審査金利・条件で前後します)。先ほどの額面返済負担率35%ベースの約5,050万円や、年収倍率7倍の6,300万円と比べると、いずれも「手取りで無理なく返せる額」より大きいことが分かります。同じ年収でも、額面の上限基準で借りるか・手取りの安全圏で借りるかで結論がこれだけ動く——これが「借りられる額」と「返せる額」は別物だという意味です。頭金は物件価格の10~20%程度が推奨、ボーナス払いはできるだけ避けるのが安全です。なお手取りから無理のない返済額を出す方法は手取りから無理のない返済額を出す方法でも詳しく解説しています。

参考までに、フラット35利用者の実際の年収倍率は土地付注文住宅7.6倍・マンション7.2倍・建売6.6倍・中古一戸建て5.3倍です。倍率はあくまで入口の目安で、最終的には返済負担率(手取り20~25%)と後述の完済時年齢から逆算するのが正確です。

審査の流れ:事前審査と本審査の違い

住宅ローンの審査は2段階です。役割の違いを押さえておきましょう。

項目事前審査(仮審査)本審査
内容申込書の自己申告+信用情報照会で返済能力を簡易チェック正式書類提出+物件の担保評価+団信の健康告知審査
確認する主な点年収・勤続年数・既存借入・希望物件/借入額源泉徴収票・売買契約書等の書類、担保価値、健康状態
所要期間ネット銀行なら即日~、一般に3~4営業日(土日祝を挟むと1週間程度)早くて1~2週間、場合により1ヶ月程度
役割「いくらまで貸せそうか」の目安「この物件にこの条件で実際に貸すか」の最終判断

注意したいのは、事前審査に通っても本審査で落ちることがある点です。事前審査通過は「内定」であって確定ではありません。本審査で否決される典型例は次のとおりです。

  1. 事前審査後~本審査までに転職・離職して収入が変化した
  2. その間に自動車ローンやカードなど新たな借入をした
  3. 申告内容と実際の書類に大幅な相違があった
  4. 物件の担保評価が想定より低い
  5. 団信の健康告知で否認された

事前審査から引渡しまでは、新規借入・転職・高額な分割購入を控えるのが鉄則です。

審査で見られる点:年収より「完済時年齢」が上位

国土交通省「令和6年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」(2025年3月公表/民間金融機関を対象とした調査)によると、各項目を「考慮する」と回答した金融機関の割合は次の通りです(回答機関の多数が完済時年齢・年収などを審査項目として挙げています)。

審査で考慮する項目考慮する金融機関の割合
完済時年齢98.4%
借入時年齢96.0%
健康状態95.1%
年収93.4%
勤続年数93.2%
担保評価90.5%
返済負担率90.3%

最も多くの金融機関が見るのは年収ではなく「完済時年齢」です。多くの民間ローンは完済時年齢の上限を80歳未満(申込時65~70歳まで)に設定しています。たとえば50歳で35年返済を組むと完済85歳となり期間が短縮され、借入可能額が減ります。健康状態が高いのは団信加入が前提だからです。年収の額そのものより「返せる年齢か・健康か・担保価値があるか」が問われる構造です。なお、スコアリング(機械的点数化)については「スコアリング方式では審査していない」が58.6%と、人的審査が主流である点も意外と知られていません。

勤続年数・雇用形態は「収入の安定性」として見られます。1年未満は不利になりやすく、目安として3年以上が望ましいとされますが、近年は転職直後でも前職と同業種・年収維持なら審査可能な金融機関(ネット銀行など)が増えています。雇用形態は正社員・公務員が有利、契約・派遣・パートは厳しめ。自営業・個人事業主は直近2~3期の確定申告(経費差引後の所得)で見られるため、節税で所得を圧縮していると不利になりやすい点も誤解されやすいところです。会社員の額面年収と自営の申告所得は意味が違います。

他の借入・信用情報は必ずチェックされる

自動車ローン・カードローン・スマホ端末の分割払い・奨学金は、すべて返済負担率に合算されます。住宅ローン以外の借入が多いほど、住宅ローンの借入可能額は圧縮されます。特に見落としやすいのが次の2点です。

  • スマホ端末の分割払いは実質ローンで、信用情報(CIC等)に割賦契約として登録される
  • 使っていないカードローンやクレジットカードのキャッシング枠は「借りていなくても借入可能枠」として、審査でマイナス評価される金融機関がある

奨学金も「借金」として返済比率に含まれます。正常に返済している奨学金そのものは審査に致命的ではありませんが、残高が多いと借入可能額が目減りします。日本学生支援機構の奨学金は3ヶ月以上の延滞で個人信用情報機関に登録され、完済後5年間記録が残ります。本人が借金と意識しにくく申告漏れしやすいですが、信用情報照会で必ず判明するため、事前審査の申込書に正確に記載しましょう。

個人信用情報(CIC/JICC/KSC)は仮審査で最も重視されます。61日以上または3ヶ月以上の長期延滞、債務整理・代位弁済・自己破産などの事故情報が登録されている状態だと、住宅ローン審査は事実上通りません。事故情報は完済・解消後も一定期間(おおむね5年、自己破産はKSCで7年程度)残ります。家賃やスマホ料金の滞納が後で響くこともあるため、日頃の支払いを延滞しないことが何より大切です。

審査に通すコツ

  • 自動車ローン・カードローン・スマホ分割など他の借入を可能な範囲で完済し、返済比率を下げる
  • 使っていないカードローン契約やクレジットカード(特にキャッシング枠付き)は申込前に解約する
  • 頭金(自己資金)を増やして借入額自体を減らす
  • 延滞を絶対に作らない(直前のスマホ料金・カード支払いも含む)
  • 複数行に同時多数申込みすると「申込みブラック」として不利になり得るので絞る

なお、金融機関は変動金利を選んでも、審査時の返済比率を実勢より高い「審査金利(ストレス金利)」で計算する場合が多いです。この審査金利は金融機関により異なりますが、概ね3~4%程度で計算されることが多いとされます。低い変動金利の表面利率で借入可能額を試算しても、審査ではより高い金利で見られて減ることがあります。一方フラット35は実行金利で返済負担率を判定し、年収400万円未満は30%以下・400万円以上は35%以下という明確な基準が公開されています。

アパートメントラボの現場から

「借りられる額いっぱい」で組んでしまい、後から苦しくなる方を何度も見てきました。事前審査で満額の数字を見ると、人はその金額を予算だと錯覚してしまうんですね。私が取材現場でお伝えするのは、審査額は「銀行が貸せる上限」であって「あなたが返せる額」ではないということ。特に共働き前提でペアローンを組むご夫婦には、片働きになった日のことを必ず考えてくださいと念を押します。離婚や収入減でローンだけが残るご相談は、賃貸の貸す側をやっていても他人事ではありません。手取りの2割台に収め、頭金と繰り上げの余力を残す——地味ですが、これが現場で見てきた一番の安全策です。

団体信用生命保険(団信)とは

団信は、住宅ローン契約者(債務者)が死亡・高度障害になった際、保険金でローン残高がゼロになる保険です。金融機関が保険契約者かつ保険金受取人、ローン契約者が被保険者となる三者構造で、民間住宅ローンでは原則として加入が融資の必須条件。保険料は金融機関が負担し、契約者の追加負担はありません(一般団信)。加入時には健康状態の告知・審査が必要で、契約後の追加加入はできません。

誤解されやすいのは、一般団信は「がんと診断されただけ」では保障されず、死亡または高度障害状態(寝たきり・両眼の視力喪失など日常生活に著しい制約)に至った場合のみ対象という点です。がんや三大疾病に備えたい場合は特約付き団信が別途必要で、保障範囲が広いほど金利上乗せ幅が大きくなるのが一般的です(一般団信は上乗せ0%)。金利だけでなく「どの状態になれば残高ゼロになるか」を比較しましょう。

持病・既往歴がある人には、引受条件を緩和した「ワイド団信」という選択肢があります。金利上乗せは年0.3%が代表的水準(auじぶん銀行の例)で、高血圧症・糖尿病・心疾患・てんかん・潰瘍性大腸炎・クローン病・関節リウマチ・上皮内新生物(上皮内がん)などの引受実績があります。加入の可否は健康状態を総合的に判断され「病名だけ」で決まるものではなく、虚偽の告知は保険金不払いの原因になります。

ペアローン/収入合算(連帯債務・連帯保証)の違い

夫婦で住宅ローンを組む方法は3つあり、契約本数・団信加入範囲・住宅ローン控除の適用範囲が大きく異なります。

項目ペアローン収入合算(連帯保証型)収入合算(連帯債務型)
契約本数2人が各1本ずつ計2本(債務者2人)主債務者1本+配偶者が連帯保証人主債務者1本+配偶者が連帯債務者
団信加入夫婦両方加入可(各自の残債のみ保障)主債務者のみ(連帯保証人は加入不可)原則主債務者のみ(夫婦連生団信を除く)
住宅ローン控除夫婦両者が適用主債務者のみ主債務者・収入合算者の両者が適用
諸費用2契約ぶんかかり割高1本のため少ない1本のため少ない

最重要の注意点は団信です。ペアローンでは一方が死亡しても保障されるのは「その人のローン分だけ」で、残された側は自分名義のローン返済義務を負い続けます。連帯保証型は連帯保証人(多くは妻)が団信に加入できないため、連帯保証人が死亡しても残債は減りません。控除面では、連帯保証型は収入合算者が控除を受けられない点が見落とされやすいところです。

さらに大きな落とし穴が離婚・収入減のリスクです。ペアローンも収入合算も、離婚しても両者の返済義務は消えません。離婚時は「売却して完済」か「一方が住み続けてローンを一本化(借り換え)」を迫られますが、いずれも金融機関の審査・手続きが必要で容易ではなく、持分を放棄・移転すると贈与税の対象になりうります。出産・育児で妻が退職した場合、ペアローンでは妻分の住宅ローン控除も失います。共働き前提の借入額設計は、片働きになった際に返済が重くなる点が最大の落とし穴です。

フラット35の特徴

フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携する最長35年の全期間固定金利住宅ローンです。資金受取時に返済終了までの金利・返済額が確定するため、将来の金利上昇リスクがなく、長期のライフプランを立てやすいのが特徴です。

フラット35ならではのポイントが団信の扱いです。新機構団信は「任意加入」で、加入しない(できない)場合の金利は新機構団信付きの借入金利マイナス0.2%になります。つまり団信保険料相当が金利約0.2%に織り込まれています。健康上の理由で団信審査に通らない人でもフラット35自体は利用できるのが、民間ローンとの大きな違いです。ただし団信なしを選ぶと、契約者死亡時に残債が相続人(家族)に引き継がれるため、別途生命保険などの備えが必要です。また夫婦2人を保障する「夫婦連生団信(デュエット)」(金利上乗せはおおむね0.18%程度)があり、連帯債務型でも夫婦両方の死亡・高度障害を保障できます(上乗せ率は改定されうるため、最新値は申込時に確認してください)。

フラット35の利用には機構が定める技術基準への適合が必須で、適合証明書の提出が融資の条件です。住宅面積基準は一戸建て50㎡以上・マンション30㎡以上。新築は断熱等性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上、耐火/準耐火構造または耐久性基準への適合などが必要です。中古は耐震性(建築確認日が昭和56年6月1日以後が基本。それ以前の住宅でも、所定の耐震評価基準に適合すれば利用できる場合があります)、土台・床組に腐朽や蟻害がないことなどを確認します。なお2023年4月設計検査申請分から省エネ基準適合が要件化され、これを満たさない新築住宅はフラット35自体を利用できません(技術基準は「あれば優遇」ではなく「満たさないと借りられない」必須要件)。

住宅ローン控除(減税)の基本

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、年末のローン残高の一定割合をその年の所得税(控除しきれない分は一部住民税)から差し引ける制度で、住宅取得時の代表的な減税策です。控除額は「年末残高×控除率」で計算され、控除を受けられる借入限度額は住宅の性能(省エネ性能の区分)や入居時期によって異なります。一般に省エネ性能が高い住宅ほど借入限度額が大きく設定され、性能を満たさない一定の住宅は対象外となる場合もあるため、購入する住宅がどの区分に当たるかが重要です。

ペアローンや収入合算(連帯債務型)では夫婦それぞれが控除を受けられる一方、連帯保証型では収入合算者は控除を受けられません(前述のペアローン比較表を参照)。借入限度額や控除率・控除期間は改正で見直されることがあるため、最新の制度内容は国税庁・国土交通省の公表情報や、購入全体の流れをまとめた新築マンション購入の完全ガイドとあわせて確認してください。

繰り上げ返済・借り換えという「上昇局面の備え」

2026年のような金利上昇局面で変動金利を選ぶなら、繰り上げ返済の余力を残しておくことが重要な防御策になります。繰り上げ返済には、返済期間を縮める「期間短縮型」と、毎月返済額を減らす「返済額軽減型」があります。総支払利息を最も減らせるのは一般に期間短縮型ですが、金利上昇に備えて月々の負担を軽くしたい場合は返済額軽減型も選択肢です。手元資金をすべて返済に回さず、生活防衛資金は残すのが鉄則です。

借り換えは、現在より低い金利のローンに組み替えて総返済額を減らす方法です。一般に「金利差・残高・残期間」が大きいほど効果が出やすい一方、借り換えにも事務手数料・登記費用などの諸費用がかかるため、それを上回るメリットがあるかで判断します。変動から固定へ「金利を固定して上昇リスクを断ち切る」ための借り換えも、上昇局面では検討に値します。いずれも「上がってから慌てる」のではなく、上がる前に繰り上げ余力と借り換えの選択肢を用意しておくことが、変動を選ぶ際の安全策になります。

金利以外の費用にも目を向ける

住宅ローンは金利だけで比較しがちですが、事務手数料・印紙税・抵当権設定の登記費用などの諸費用も無視できません。特にペアローンは契約2本ぶんの事務手数料・登記費用が二重に発生し、諸費用が割高になります(所有権は持分に応じた夫婦共有名義)。借入条件を比べるときは、表面金利だけでなく諸費用も含めた総コストで見ることが大切です。物件購入全体でかかる諸費用については新築マンションの諸費用の記事で詳しく解説しています。

よくある質問(FAQ)

変動金利と固定金利、結局どちらを選べばいい?

「今の金利の低さ」ではなく「将来金利が上がっても返し続けられるか」で判断するのが核心です。変動が向くのは返済期間が短い・借入が年収に対し小さい・繰り上げ返済の余力がある人。固定が向くのは返済期間が長い・教育費など大きな支出を控え金利変動の影響を避けたい・金利上昇リスクを取りたくない人です。リスク分散として変動と固定を組み合わせるミックスローンも選択肢です。

年収の何倍まで借りていい?

年収倍率は5~7倍が一つの目安ですが、倍率はあくまで入口です。最終的には返済負担率(手取り20~25%以内)と完済時年齢(80歳未満が目安)から逆算するのが正確です。「借りられる額」と「無理なく返せる額」は別物と考えてください。

頭金はいくら必要?

頭金は物件価格の10~20%程度が一つの目安で、借入額を抑えるほど返済負担率が下がり審査でも有利です。頭金ゼロのローンもありますが、その分借入が増えて金利上昇に弱くなります。頭金とは別に、契約時の手付金や諸費用の現金も必要になるため、自己資金は手元に残す前提で計画しましょう。

スマホの分割払いは住宅ローン審査に影響する?

影響します。スマホ端末の分割払いは実質的なローンで、信用情報(CIC等)に割賦契約として登録され、返済負担率にも合算されます。延滞があると事故情報として残り審査に不利になるため、申込前の延滞は避け、不要な分割や借入は整理しておきましょう。

事前審査に通れば、もう安心?

いいえ。事前審査通過は「内定」であって確定ではありません。その後の転職・新規借入・申告と書類の相違・担保評価・団信の健康告知などで本審査が否決されることがあります。事前審査から引渡しまでは新規借入・転職・高額な分割購入を控えましょう。

ペアローンは離婚したらどうなる?

離婚しても両者の返済義務は消えません。「売却して完済」か「一方が住み続けてローンを一本化(借り換え)」を迫られますが、いずれも金融機関の審査・手続きが必要で、持分の移転は贈与税の対象になりうります。共働き前提で組む際は、片働きになった日のリスクまで見据えて借入額を設計してください。

持病があると住宅ローンは組めない?

一般団信に入れなくても、引受条件を緩和したワイド団信(金利上乗せ年0.3%が代表水準)や、団信が任意加入のフラット35という選択肢があります。健康状態は総合判断されるため、病名だけで諦める必要はありません。

まとめ

住宅ローン選びで押さえるべき要点を整理します。

  • 金利タイプは変動・全期間固定・固定期間選択型の3種類。連動する基準(短プラ/長期金利)の違いが構造の基本
  • 2026年は金利上昇局面。変動は据え置き気味でも固定は過去最大級に上昇し、金利差は2%超
  • 判断は「今の低さ」ではなく「将来上がっても返せるか」。返済負担率は手取りの20~25%以内が安全
  • 審査で最も見られるのは年収より完済時年齢。他の借入・信用情報は必ずチェックされる
  • 団信・ペアローン・フラット35はそれぞれ保障範囲と注意点が異なる。離婚・収入減リスクまで見据えて設計する
  • 変動を選ぶなら、繰り上げ返済の余力と借り換えの選択肢を「上がる前」に用意しておく

住宅ローンは「いくら借りられるか」より「いくらなら安心して返せるか」が出発点です。無理のない返済額の具体的な決め方は適正家賃・返済額の考え方の記事を、購入全体の進め方は新築マンション購入の完全ガイドをあわせてご覧ください。

\x3Cscript type=”application/ld+json”> { “@context”: “https://schema.org”, “@type”: “FAQPage”, “mainEntity”: [ { “@type”: “Question”, “name”: “変動金利と固定金利、結局どちらを選べばいい?”, “acceptedAnswer”: { “@type”: “Answer”, “text”: “「今の金利の低さ」ではなく「将来金利が上がっても返し続けられるか」で判断するのが核心です。変動が向くのは返済期間が短い・借入が年収に対し小さい・繰り上げ返済の余力がある人。固定が向くのは返済期間が長い・大きな支出を控え金利変動の影響を避けたい・金利上昇リスクを取りたくない人です。リスク分散としてミックスローンも選択肢です。” } }, { “@type”: “Question”, “name”: “年収の何倍まで借りていい?”, “acceptedAnswer”: { “@type”: “Answer”, “text”: “年収倍率は5〜7倍が一つの目安ですが、倍率はあくまで入口です。最終的には返済負担率(手取り20〜25%以内)と完済時年齢(80歳未満が目安)から逆算するのが正確です。「借りられる額」と「無理なく返せる額」は別物と考えてください。” } }, { “@type”: “Question”, “name”: “頭金はいくら必要?”, “acceptedAnswer”: { “@type”: “Answer”, “text”: “頭金は物件価格の10〜20%程度が一つの目安で、借入額を抑えるほど返済負担率が下がり審査でも有利です。頭金ゼロのローンもありますが借入が増えて金利上昇に弱くなります。頭金とは別に手付金や諸費用の現金も必要になるため、自己資金は手元に残す前提で計画しましょう。” } }, { “@type”: “Question”, “name”: “スマホの分割払いは住宅ローン審査に影響する?”, “acceptedAnswer”: { “@type”: “Answer”, “text”: “影響します。スマホ端末の分割払いは実質的なローンで、信用情報(CIC等)に割賦契約として登録され、返済負担率にも合算されます。延滞があると事故情報として残り審査に不利になるため、申込前の延滞は避け、不要な分割や借入は整理しておきましょう。” } }, { “@type”: “Question”, “name”: “事前審査に通れば、もう安心?”, “acceptedAnswer”: { “@type”: “Answer”, “text”: “いいえ。事前審査通過は「内定」であって確定ではありません。その後の転職・新規借入・申告と書類の相違・担保評価・団信の健康告知などで本審査が否決されることがあります。事前審査から引渡しまでは新規借入・転職・高額な分割購入を控えましょう。” } }, { “@type”: “Question”, “name”: “ペアローンは離婚したらどうなる?”, “acceptedAnswer”: { “@type”: “Answer”, “text”: “離婚しても両者の返済義務は消えません。「売却して完済」か「一方が住み続けてローンを一本化(借り換え)」を迫られますが、いずれも金融機関の審査・手続きが必要で、持分の移転は贈与税の対象になりうります。共働き前提で組む際は、片働きになった日のリスクまで見据えて借入額を設計してください。” } }, { “@type”: “Question”, “name”: “持病があると住宅ローンは組めない?”, “acceptedAnswer”: { “@type”: “Answer”, “text”: “一般団信に入れなくても、引受条件を緩和したワイド団信(金利上乗せ年0.3%が代表水準)や、団信が任意加入のフラット35という選択肢があります。健康状態は総合判断されるため、病名だけで諦める必要はありません。” } } ] } \x3C/script>

畠山 晴允(はたけやま はるみつ)/アパートメントラボ合同会社 代表・宅地建物取引士

登録者14万人のYouTubeチャンネル「アパートメントラボ」を運営し、賃貸・分譲・戸建ての内見動画を制作。自身も広島で一棟アパートを経営する現役の不動産オーナー。三菱地所レジデンス・積水ハウス・UR都市機構などの物件PR動画も手がける。賃貸を「借りる側」と「貸す側」の両方の視点から発信しています。運営者について >

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