賃貸アパート・マンションのオーナーや管理会社の方へ。エレベーターや給水ポンプの電気は、ほとんど使っていなくても基本料金が高くなりがちです。広島ガスの「このまち電気」に替えると、この基本料金が下がる場合があります。先に、関係のある建物と結論をまとめます。
この記事が関係ある建物(3つとも当てはまれば試算の価値あり)
☑ エレベーターか給水ポンプがある
☑ 電気の請求書に「低圧電力(動力)」の契約がある
☑ 対象エリア=東北・関東・中部・北陸・中国・四国
結論
・基本料金が下がりやすい:1kWの単価が中国電力の約半分
・例:契約8kW→実際3kWの建物で年約9.4万円の差
・工事は原則なし・停電は増えない・解約金なし
・まずは無料の試算だけ。合わなければそのままでOK
※9.4万円は基本料金だけの差(契約8kW・実際3kWの例、2026年11月1日以降の単価)。使った分の料金は市場で上下します。
kW(キロワット)=蛇口の太さ。同時に使う電気の力の大きさで、基本料金はこれで決まります。
kWh(キロワットアワー)=水の量。使った電気の量で、使った分の料金はこれで決まります。
この記事で「動力」と書くのは、エレベーター・ポンプ用の電気のことです。家の電気とは別の、機械を動かすための契約で、中国電力の請求書では「低圧電力」、このまち電気では「低圧動力」と書かれていますが、同じ種類の契約です。
なぜ安くなるの?「枠の決め方」と「1kWの値段」が違うから
動力の基本料金は「契約電力(kW)」×単価で決まります。契約電力とは、「この建物は一度に最大◯kW使う」と電力会社と決めた枠の大きさのことで、使った量(kWh)は関係ありません。中国電力とこのまち電気で違うのは、この枠の決め方と、1kWの値段です。
基本料金は、宴会場の「席の予約代」に似ています。中国電力は「この建物には機械が8人分ある」と見て、毎月8席分を予約して払う方式です。このまち電気は「この1年で実際に同時に座った最大は3人」なら3席分だけで、しかも1席の値段が約半分です。
中国電力の約款(契約の決まりごと)では、付いている機械の大きさの合計で契約の大きさを決めます。エレベーターが1日に何回動いたかは関係ありません。このまち電気の料金の決まりでは、電気のメーターが30分ごとに記録している使い方のうち、その月と前11か月でいちばん大きかった値で決めます。エレベーターは動く時間が短く、ポンプも止まったり動いたりするので、記録の値は機械の合計よりずっと小さくなりやすいのです(何kWになるかは建物ごとに違います)。

| 項目 | 中国電力 | このまち電気 |
|---|---|---|
| 枠の決め方 | 機械の大きさの合計 | 実際に動いた最大 |
| 1kWの基本料金 | 1,228.07円 | 665.10円 |
| 使わない月 | 半額 | 半額 |
1kWの値段が低いのは、このまち電気の基本料金が、電線を借りる料金(託送料金)の基本料金と同じ額に決められているためです(料金定義書(低圧動力))。
うちの建物だと、いくら変わる?
請求書の見方
・建物の電気の請求書は、ふつう「共用灯」と「動力」の2通に分かれています。中国電力なら「低圧電力」と書いてあるほうを見てください。
・「契約電力 ◯kW」の欄の数字が、今の契約の大きさです。
・「使用量 ◯kWh」が使った量です。契約kWに比べて使用量が少ないほど、試算してみる価値があります。
・下の表の「実際◯kW」は、試算で初めて分かる数字です。建物ごとに違います。
- 中国電力:1,228.07円 × 今の契約電力(kW)
- このまち電気:665.10円 × 実際に同時に動いた最大(kW)
「契約8kW・実際の最大3kW」なら、1,228.07円×8=9,824.56円と665.10円×3=1,995.30円で、差は月7,829円・年93,951円(約9.4万円)です。
| 建物の例(契約→実際) | 基本料金の差(月/年) |
|---|---|
| 契約5kW→実際2kW | 月約4,800円/年約5.8万円 |
| 契約8kW→実際3kW | 月約7,800円/年約9.4万円 |
| 契約13kW→実際3kW | 月約1.4万円/年約16.8万円 |
| 契約8kW→実際も8kW(単価の差だけ) | 月約4,500円/年約5.4万円 |

大きく効くのは「契約と実際の差」です。単価が今のままと仮定すると、「8kW→3kW」の建物は10年で約94万円、20年で約188万円の差になる計算です(単価は託送料金の改定などで変わります)。共用部の電気代は、家賃を上げずに手残りを変えられる固定費のひとつです。
→ 自分の建物の数字で、まず試算だけ頼む(無料)
逆に高くなる建物はある?
あります。このまち電気は全プランが市場連動です。使った分の単価が固定ではなく、電気の仕入れ値(市場の値段)に合わせて30分ごとに動き、上限はありません。
広島ガスの公表では、中国エリアの市場の月平均は1kWhあたり、2026年4月が12.26円、8月が17.78円でした。これをもとにした目安では、このまち電気の使った分の単価は4月で約26.6円、8月で約33.2円(1kWhあたり・再エネ賦課金を除く・推測を含む)。中国電力は11月1日から1kWhあたり25.91円(夏季7〜9月は27.20円)で、これに燃料の値動き分が加わります。夏・冬の市場が高い月は、このまち電気のほうが高くなる目安です。
- 使った量が少ない建物:1kWhあたり5円高い月でも、月200kWhなら上乗せは約1,000円。「8kW→3kW」の基本料金の差(月7,829円)のほうが大きいままです。
- 使った量が多い建物:業務用エアコンなどで動力を月に何千kWhも使うと、上乗せが基本料金の差を上回ることがあります。
- 一度上がった最大は11か月残る:機械が重なってある月の最大が上がると、その値がその後11か月の契約の大きさの下限になります。
| 向きやすい建物 | 慎重に試算したい建物 |
|---|---|
| 動力がエレベーター1〜2基・給水ポンプ程度 | 業務用エアコンなどで動力をたくさん使う |
| 契約の大きさに比べて使った量(kWh)が少ない | 夕方〜夜に動力をよく使う(市場の値段が高い時間帯) |
| エレベーターがあまり動かない | 機械が同時に動きやすい |
| 契約の決め方を一度も見直していない | すでにブレーカーの大きさで契約を小さくしてもらっている |
| 一棟所有で、所有者が決められる | 管理組合などの了承に時間がかかる |
切り替えに工事や手間はかかる?
このまち電気の申し込みの案内と低圧動力の案内ページの要点です。
- 工事・費用:原則いりません(メーター交換が要る場合も原則無料)。電線やメーターは今までどおり送配電会社が管理するので、停電が起きやすくなることはありません。
- 契約期間・解約金:縛りも解約金もありません。今の契約が中国電力以外の新電力なら、そちらの解約条件を先に確認してください。
- 今の電力会社への連絡:不要です。開始まで最大1か月半ほどです。
試算を頼むと何を聞かれる?
フォームで送るのは、①お名前と連絡先 ②お立場(所有者・管理会社など) ③建物の所在地(市区町村まで) ④階数と、エレベーターの台数・給水ポンプの有無 ⑤今の電力会社、の5つと、ご相談内容の欄です。相談内容は「動力の試算を頼みたい」の一言で足ります。請求書の「契約電力 ◯kW」が分かれば書き添えてください。請求書が手元になくても送れます。
- 問い合わせる:試算のフォームに上の5つを送ります。
- 広島ガスから連絡:担当者から連絡があり、検針票などの書類は広島ガスに直接出します。過去の30分ごとの使用量から実際の最大を確かめて試算すると聞いています。手順と日数は担当者から説明があります。
- 試算を見て決める:切り替える義務はありません。

区分所有マンションの共用部は管理組合の了承が要ります。管理会社が名義や支払いを代行している建物は、先に管理会社に相談してください(下のQ1)。
管理会社の方へ:オーナーに伝える要点は「基本料金が下がる場合がある」「工事は原則なし・停電は増えない・解約金なし」「まず無料の試算だけ」の3つです。
・送ったあとは、広島ガスの担当者からメールか電話で連絡があります。
・試算を見てから決められます。合わなければ断って終わりで、費用はかかりません。
・聞かれるのは、建物の概要と今の請求書の内容です。
・委任状などの書類は広島ガスに直接出します(何に使う書類かは担当者から説明があります)。当サイトは書類を預かりません。
実際に試算した建物はどうだった?
知人から聞いた例では、エレベーターのある建物で、動力の電気代が年に数万円〜約8万円下がる試算になりました。1棟は単身向け中心の10階建てで、動力はエレベーター1基だけです。
比べた相手(切り替え前の電力会社)や条件が建物ごとに違うので、同じ金額になるとは限りません。ご自身の建物で試算して確かめてください。
よくある質問
Q1. 管理会社やエレベーターの保守会社に話を通す必要はありますか?
電力会社を替えるだけなら配線もブレーカーも変わらないので、通常はエレベーターの保守契約にも影響しないと考えられます(ブレーカーの容量を変える場合は保守会社に確認を)。請求書の名義や支払いを管理会社が代行している建物は、先に管理会社に相談してください。
Q2. 試算したら切り替えないといけませんか?
いいえ。合わなければそのままで構いません。切り替えた後も、契約期間の縛りや解約金はないと案内されています。
Q3. すでにブレーカーで契約を小さくしていても安くなりますか?
差は小さくなります。このまち電気でも、ブレーカーの大きさで決める契約(主開閉器契約・11月1日から1kWあたり545.38円)を相談できるので、実際の最大で決める方式(実量契約)と両方で試算して比べてください。ブレーカーの容量の考え方は、家庭向けですが古い団地のブレーカー対策も参考になります。
Q4. 管理組合のマンションでも使えますか?
共用部の動力も申し込めますが、管理組合の了承(理事会、必要に応じて総会)が要ります。建物全体で電気をまとめて買う契約(一括受電)の建物は申し込めない場合があります。支払いは口座振替かクレジットカードです。管理費の考え方はマンションの管理費・修繕積立金とはにまとめています。
なぜ広島ガスを勧めるのか
所有するアパートのガスは、広島ガスグループの広島ガスプロパンと取引しています。賃貸のプロパンガスには、設備の費用を入居者のガス代に上乗せして回収する商慣行があり、国は液化石油ガス法の施行規則で過大な営業行為の制限(2024年7月2日施行)と三部料金制の徹底(2025年4月2日施行)を定めています。広島ガスは「そうしたことはしない・還元もしない」と最初にはっきり伝えて取引してきた会社です。決まりに沿って仕事をする姿勢を見てきたので勧めていますが、電気が安くなるかは別の話なので、試算で確かめてください(ガス代の違いはプロパンガスと都市ガスの違いに)。
まとめ:まずは試算だけで、差を確かめる
- 動力の基本料金は、1kWの単価が中国電力の約半分。しかも実際に同時に動いた最大で決まる。
- 「契約8kW・実際3kW」なら年約9.4万円。単価が今のままなら20年で約188万円の差になる計算。
- 工事は原則不要、解約金もなし。ただし使った量が多い建物や夏・冬は差が縮み、高くなることもある。
まずは試算だけ、気軽にどうぞ
エレベーターや給水ポンプの付いた建物なら、今の契約電力と実際の使い方の差を一度確かめてみてください。送るのは名前・連絡先・建物の概要だけ。試算を見て合わなければ、そのままで大丈夫です。
試算の結果は建物の使い方と市場価格で変わり、安くなることを約束するものではありません。
出典
- 中国電力「料金単価表」(2026年11月1日以降)・「電気特定小売供給約款」(2025年4月1日実施)の「19 低圧電力」:契約電力は負荷設備契約(機械の容量に決まった割合を掛けて合計)か、希望すれば主開閉器契約(ブレーカーの容量から算定)。
- 広島ガス「料金定義書(低圧動力)」(2026年11月1日実施)の「5 契約電力」:その月と前11か月の最大需要電力(30分ごとの使用量の最大×2)の大きい方。「8(1)」:基本料金は託送料金の基本料金と同額/「料金改定のお知らせ」・「低圧動力の案内ページ」・「市場価格(月平均)のお知らせ」
- 使った分の単価の目安の出し方:市場の月平均価格÷0.923×1.1+6.44円+5.58円(1kWhあたり・再エネ賦課金を除く・推測を含む)。実際は使った時間帯の価格で決まります。
- 経済産業省「「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令」を公布しました」(2024年4月2日)・「LPガス料金の表示・計上方法に関する新しいルールを施行しました」(2025年4月2日)
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