低圧電力の基本料金が高い理由|中国電力の動力をエレベーター・ポンプの実量で見直す

低圧電力の基本料金が高い理由|中国電力の動力をエレベーター・ポンプの実量で見直す

賃貸アパート・マンションのオーナーや管理会社の方へ。エレベーターや給水ポンプの電気は、あまり使っていなくても基本料金が高くなりがちです。広島ガスの「このまち電気」に替えると、これが下がる場合があります。先に結論です。

この記事が関係ある建物(3つとも当てはまれば試算の価値あり)
☑ エレベーターか給水ポンプがある
☑ 電気の請求書に「低圧電力(動力)」の契約がある
☑ 対象エリア=東北・関東・中部・北陸・中国・四国

結論
・基本料金が下がりやすい:1kWの単価が中国電力の約半分
・実際の試算:エレベーター1基の2棟で年45,393円・年80,986円安く
・今の条件が続けば10年で約45万円・約81万円(単純計算)
・工事は原則なし・停電は増えない・解約金なし
・まずは無料の試算だけ。合わなければそのままでOK

※2棟は2026年9月の試算。比べた相手は中国電力ではなく別の新電力で、契約kWを小さくする前提を含みます(くわしくは下の「実際に試算した2棟」)。使った分の料金は市場で上下するため、同じ額になる保証はありません。

kW(キロワット)=蛇口の太さ。同時に使う電気の力の大きさで、基本料金はこれで決まります。
kWh(キロワットアワー)=水の量。使った電気の量で、使った分の料金はこれで決まります。

この記事の「動力」は、エレベーター・ポンプを動かすための電気の契約です。中国電力では「低圧電力」、このまち電気では「低圧動力」と呼びますが、同じ種類です。

なぜ安くなるの?「枠の決め方」と「1kWの値段」が違うから

動力の基本料金は「契約電力(kW)」×単価です。契約電力は「一度に最大◯kW使う」という枠の大きさで、使った量(kWh)は関係ありません。違うのは、この枠の決め方と1kWの値段です。

宴会場の「席の予約代」にたとえると、中国電力は機械の合計(8人分)で毎月8席を予約する方式。このまち電気は、この1年で実際に同時に座った最大が3人なら3席分だけで、1席の値段も約半分です。

このまち電気の枠は、メーターの30分ごとの記録のうち、その月と前11か月で最大の値で決まります。エレベーターは動く時間が短く、ポンプも止まったり動いたりするので、機械の合計より小さくなりやすいのです(何kWになるかは建物ごとに違います)。

中国電力は付いている機械の合計(例:エレベーター5kW+ポンプ3kW)で契約電力8kW、このまち電気は実際に使った最大3kWで契約電力3kW。中国電力では使わない5kW分も払う。払う基本料金はこの高さ×単価。
図:契約電力の決め方の違い。中国電力は付いている機械の容量の合計から(負荷設備契約。例:エレベーター5kW+ポンプ3kWで8kW前後)、このまち電気はその月と前11か月の実際の最大(30分値×2)から決まる。基本料金はこの契約電力×単価(1kWあたり 1,228.07円と665.10円。2026年11月1日以降・税込)。kW は説明用の例(中国電力の約款・このまち電気の料金定義書をもとに作図)
項目中国電力このまち電気
枠の決め方機械の大きさの合計実際に動いた最大
1kWの基本料金1,228.07円665.10円
使わない月半額半額
税込・2026年11月1日以降の単価。出典は記事末尾。

1kWの値段が低いのは、このまち電気の基本料金が、電線を借りる料金(託送料金)の基本料金と同じ額に決められているためです(料金定義書(低圧動力))。

実際に試算した2棟:年4.5万円・8.1万円安くなる結果に

知人が持つ広島市内の2棟で、2026年9月に広島ガス側が作った試算です(建物名は伏せています)。動力はどちらもエレベーター1基だけです。

項目建物A建物B
建物10階建て・27戸・エレベーター1基7階建て・13戸・エレベーター1基
年の使用量2,135kWh3,712kWh
現在(年)114,527円203,480円
このまち電気(年)69,134円122,494円
差額(年)45,393円安く80,986円安く
契約kWの前提5kW→1kW9kW→2kW
税込・再エネ賦課金込みの1年分。月にすると約3,800円・約6,700円、どちらも約4割安くなる試算です。

差はどこから出たのか

この差は「1kWの値段」だけで出たものではありません。知っておいてほしい点が3つあります。

  • 比べた相手は中国電力ではない:切り替え前は別の新電力で、1kWの基本料金は税込約1,152円。中国電力(1,228.07円)より少し安い相手です。
  • 契約kWを小さくする前提:契約を5kW→1kW、9kW→2kWに見直す前提です。この1kW・2kWは測った値ではなく、試算する側が使用量から計算した推定です。
  • 使った分の単価はこのまち電気のほうが高い:1kWhあたり年平均で約7〜8円高い計算です。それでも基本料金の差が大きく、合計では下がりました。
差の内訳(年)建物A建物B
1kWの値段の差約2.9万円安く約5.3万円安く
契約kWの見直し約3.2万円安く約5.6万円安く
使った分の単価の差約1.6万円高く約2.7万円高く
差し引き45,393円安く80,986円安く
運営者が試算の数字から分けた目安(推測を含む)。基本料金は11月以降の単価(このまち電気 665.10円/kW)で計算。試算そのものは2026年夏ごろの単価(11月の改定前)で作られています。四捨五入のため合計が合わないことがあります。

基本料金の差は、およそ半分が1kWの値段、半分が契約kWの見直しから出ています。実際の最大が試算より1kW大きいと、差は年約8,000円縮みます(11月以降の単価での目安。建物Aは約6.7kW、建物Bは約12kWまでなら安くなる計算)。試算を受け取ったら、契約kWの前提を必ず見てください。

それでも、エレベーター1基の建物で年4.5万円・8.1万円の差は小さくありません。基本料金は建物を持っている限り毎月かかる固定費です。今の単価と使い方が続いたとする単純計算で、10年で約45万円・約81万円、20年で約91万円・約162万円です(単価や市場の値段は変わるので目安です)。

試算の条件:2026年夏ごろの単価で9月に作成(11月の単価改定の前)。市場価格などは2023年7月以降の月平均で、政府の値引き支援は含みません。将来の支払額の保証ではなく、市場が高い夏・冬は固定単価のプランより高くなることがあります。

差は、今の契約kW・使った量・今の電力会社で変わります(中国電力からなら、1kWの値段の差はこの2棟より大きくなります)。自分の建物の数字で確かめるのが確実です。
→ まず試算だけ頼む(無料)

うちの建物だと、いくら変わる?

請求書の見方
・「共用灯」と「動力(低圧電力)」のうち、動力の請求書を見ます。
・「契約電力 ◯kW」が今の枠、「使用量 ◯kWh」が使った量です。
・契約kWに比べて使用量が少ないほど、試算する価値があります。
・下の表の「実際◯kW」は、試算で初めて分かる数字です。

建物の例(契約→実際)基本料金の差(月/年)
契約5kW→実際2kW月約4,800円/年約5.8万円
契約8kW→実際3kW月約7,800円/年約9.4万円
契約13kW→実際3kW月約1.4万円/年約16.8万円
契約8kW→実際も8kW(単価の差だけ)月約4,500円/年約5.4万円
中国電力の低圧電力と比べた基本料金だけの試算(税込・2026年11月1日以降の単価・円未満四捨五入)。使った分の料金と再エネ賦課金は含みません。kWは説明用の例です。
契約8kW・実際3kWの建物で、基本料金だけの差は1年9.4万円、5年47万円、10年94万円、20年188万円と毎年同じ額が積み上がる。
図:契約8kW・実際3kWの建物の基本料金の差の積み上げ(年93,951円。2026年11月1日以降の単価が今のままなら10年で約94万円・20年で約188万円。電力量料金・再エネ賦課金は含まない。単価は託送料金の改定などで変わる)

表の太字の例は、1,228.07円×8kWと665.10円×3kWの差で月7,829円・年93,951円です。大きく効くのは「契約と実際の差」です。これは基本料金だけの比較で、実際の差は上の2棟のように使った分の上乗せを引いた額になります。共用部の電気代は、家賃を上げずに手残りを変えられる固定費のひとつです。

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逆に高くなる建物はある?

あります。このまち電気は全プランが市場連動で、使った分の単価が市場の値段に合わせて30分ごとに動き、上限はありません。

このまち電気の使った分の単価は、2026年4月の市場価格なら約26.6円、8月なら約33.2円の目安です(1kWhあたり・11月以降の単価で計算・再エネ賦課金を除く・推測を含む)。中国電力は11月1日から25.91円(夏季27.20円)に燃料の値動き分が加わります。市場が高い夏・冬は、このまち電気のほうが高くなりやすいのです。

  • 使った量が少ない建物は有利:上の2棟は使った分が1kWhあたり約7〜8円高くても、年2,000〜4,000kWhほどなので基本料金の差が上回りました。
  • 使った量が多い建物:業務用エアコンなどで動力を月に何千kWhも使うと、上乗せが基本料金の差を上回ることがあります。
  • 一度上がった最大は11か月残る:機械が重なってある月の最大が上がると、その値がその後11か月の契約の大きさの下限になります。
向きやすい建物慎重に試算したい建物
動力がエレベーター1〜2基・給水ポンプ程度業務用エアコンなどで動力をたくさん使う
契約の大きさに比べて使った量(kWh)が少ない夕方〜夜に動力をよく使う(市場の値段が高い時間帯)
エレベーターがあまり動かない機械が同時に動きやすい
契約の決め方を一度も見直していないすでにブレーカーの大きさで契約を小さくしている(Q2)
関西・九州(および北海道・沖縄)の建物は申し込めません。

切り替えに工事や手間はかかる?

このまち電気の申し込みの案内と低圧動力の案内ページの要点です。

  • 工事・費用:原則いりません(メーター交換も原則無料)。電線は今までどおりなので、停電が起きやすくなることもありません。
  • 契約期間・解約金:縛りも解約金もありません。今の契約が中国電力以外の新電力なら、そちらの解約条件を先に確認してください。
  • 今の電力会社への連絡:不要です。開始までは最大1か月半ほどです。

試算を頼むと何を聞かれる?

フォームで送るのは次の5つと、「動力の試算を頼みたい」の一言です。請求書が手元になくても送れます。
①お名前と連絡先 ②お立場(所有者・管理会社など) ③市区町村 ④階数・エレベーターの台数・給水ポンプの有無 ⑤今の電力会社

  1. 問い合わせる:試算のフォームに上の5つを送ります。
  2. 広島ガスから連絡:担当者からメールか電話で連絡があります。検針票や委任状(過去の使用量データを受け取るための書類。下のQ4)は広島ガスに直接出します。日数は担当者から説明があります。
  3. 試算を見て決める:契約kWの前提が推定か実測かを担当者に確かめると安心です。合わなければ断って終わりで、費用もかかりません。
手順は3つ。01 フォームに名前・連絡先・建物の概要を送る。02 広島ガスから連絡があり、検針票・委任状は広島ガスへ直接出す。03 試算を見て決める。切り替えなくてもOK。解約金なし・工事は原則なし。
図:試算を頼んでから決めるまで(このまち電気の申込みの案内と、当サイトの受け方をもとに作図)。書類は当サイトでは預からない。切り替えると決めてから開始までは最大1か月半ほど

管理会社の方へ:オーナーに伝える要点は3つです。「基本料金が下がる場合がある(実例は年4.5万円・8.1万円)」「工事は原則なし・解約金なし」「まず無料の試算だけ」。

試算は無料。合わなければ断って終わりです。書類は広島ガスに直接出すので、当サイトは預かりません。

よくある質問

Q1. 管理会社やエレベーターの保守会社に話を通す必要はありますか?

電力会社を替えるだけなら配線もブレーカーも変わらないので、通常は保守契約に影響しないと考えられます。ブレーカーの容量を変えるなら保守会社に確認を。名義や支払いを管理会社が代行している建物は、先に管理会社へ相談してください。

Q2. すでにブレーカーで契約を小さくしていても安くなりますか?

差は小さくなります。このまち電気でもブレーカーの大きさで決める契約(11月1日から1kWあたり545.38円)を相談できるので、実際の最大で決める方式と両方で試算して比べてください。容量の考え方は、家庭向けですが古い団地のブレーカー対策も参考になります。

Q3. 管理組合のマンションでも使えますか?

申し込めますが、管理組合の了承(理事会、必要に応じて総会)が要ります。建物全体で電気をまとめて買う契約(一括受電)の建物は申し込めない場合があります。管理費の考え方はマンションの管理費・修繕積立金とはで解説しています。

Q4. 委任状は何に使う書類ですか?

「使用量照会パスワード発行委任状」という書類で、宛先は送配電会社(中国エリアなら中国電力ネットワーク)です。建物の過去の使用量データを広島ガスが受け取るための委任で、法人名義なら社印を押し、1枚で複数の建物をまとめて出せます。中国エリア以外の書式や日数は担当者から案内があります。

なぜ広島ガスを勧めるのか

所有するアパートのガスは、広島ガスグループの広島ガスプロパンと取引しています。賃貸のプロパンガスには、設備の費用を入居者のガス代に上乗せして回収する商慣行があります。国は過大な営業行為の制限(2024年7月2日施行)と三部料金制の徹底(2025年4月2日施行)を定めました。広島ガスは「そうしたことはしない・還元もしない」と最初に伝えて取引してきた会社で、その姿勢を見てきたので勧めています。電気が安くなるかは別の話なので、試算で確かめてください(プロパンガスと都市ガスの違い)。

まとめ:まずは試算だけで、差を確かめる

  • 動力の基本料金は、1kWの単価が中国電力の約半分で、実際に動いた最大で決まる。
  • エレベーター1基の2棟の試算では年45,393円・80,986円安く。基本料金の差は1kWの値段と契約kWの見直しが半分ずつで、使った分の単価はむしろ高かった。
  • 今の条件が続けば10年で約45万円・約81万円(単純計算)。持ち続けるほど効く。
  • 工事・解約金なし。ただし使った量が多い建物や夏・冬は差が縮み、高くなることもある。

まずは試算だけ、気軽にどうぞ
エレベーター1基の建物でも、年に数万円の差が10年・20年と積み上がります。今の契約電力と実際の使い方の差を、一度確かめてみてください。送るのは名前・連絡先・建物の概要だけ。合わなければ、そのままで大丈夫です。

試算の結果は建物の使い方と市場価格で変わり、安くなることを約束するものではありません。

出典

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所有するアパートの実数と経緯はnote の連載(新しいタブを開きます)に書いています。

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