賃貸の見積もりに載っている「保証会社利用料」。「保証人がいるのに、なぜ保証会社にお金を払うの?」と疑問に思ったことはありませんか。この記事では、宅建士であり、大家として実際に保証会社を利用する側でもあるアパートメントラボが、保証会社の仕組み・費用・審査を「借りる側」と「貸す側」の両面から解説します。
賃貸保証会社とは?仕組みをかんたんに
賃貸保証会社(家賃保証会社)は、入居者が家賃を滞納したときに、入居者に代わって大家へ家賃を立て替え払いする会社です。立て替えてもらった分は、後日入居者が保証会社へ支払います(=借金がチャラになる仕組みではありません)。保証の範囲は家賃だけでなく、共益費・更新料・原状回復費用・鍵交換費用などまで含む契約が一般的です。
保証料の相場
| 費用 | 相場の目安 |
|---|---|
| 初回保証料 | 総賃料(家賃+共益費)の0.5〜1ヶ月分程度 |
| 更新保証料 | 年1万円前後、または総賃料の数%など会社により様々 |
初期費用の中では決して小さくない項目です。初期費用全体の内訳と抑え方は賃貸の初期費用はいくら?内訳と安く抑える7つのコツで解説しています。
なぜ今は「保証会社ほぼ必須」なのか【大家の本音】
ひと昔前は連帯保証人を立てるのが普通でしたが、今は連帯保証人がいても保証会社の利用を必須にする物件が主流です。理由は2つあります。
1つ目は法改正。2020年4月施行の民法改正で、個人の連帯保証人には「極度額(保証の上限額)」を契約書に明記することが必須になり、個人保証のハードルが上がりました。2つ目は実効性です。大家の立場で正直に言うと、いざ滞納が起きたとき、入居者の親族に督促の連絡をするのは心理的にも実務的にも大変で、回収できる保証もありません。保証会社なら滞納の翌月には立て替えが実行され、督促もプロが法律の範囲で行います。大家が保証会社に払ってほしいのは「安心」であり、それは結果的に入居者への無用な督促トラブルを減らすことにもつながっています。
保証会社の種類と審査の傾向
| 種類 | 特徴 | 審査の傾向 |
|---|---|---|
| 信販系 | クレジットカード会社系列 | 信用情報(クレジット・ローンの履歴)を照会するため、延滞歴があると厳しめ |
| 協会系(LICC等) | 業界団体の加盟会社 | 加盟社間で家賃滞納情報を共有。過去の家賃滞納に注意 |
| 独立系 | 独自基準で審査 | 比較的柔軟。信販系で落ちても通るケースがある |
※どの情報をどう照会するかは各社の基準によります。上記は一般的な傾向として参考にしてください。
審査で見られること・落ちやすい理由
- 家賃と収入のバランス——月収に対して家賃が重すぎると通りにくい(適正家賃の目安)
- 過去の滞納歴・信用情報——家賃滞納やクレジットの延滞歴
- 申込内容の不備・虚偽——勤務先や年収の記載ミスも印象を悪くします
- 連絡が取れないこと——審査中の本人確認電話に出られないと止まります
審査期間は数日〜1週間程度が目安です。万一落ちても、不動産会社が別の保証会社で再申込してくれるケースは珍しくありません。入居審査全体の流れと対策は賃貸の入居審査に通らない理由と対処法で詳しく解説しています。
保証会社は自分で選べる?
原則として選べません。どの保証会社を使うかは貸主・管理会社側が指定します。大家側の目線で補足すると、これは「滞納時にきちんと立て替えてくれる、付き合いのある会社」を使いたいからで、入居者を困らせる意図ではありません。保証料を抑えたい場合は、会社を変える交渉よりも「保証会社不要(URなど)」の物件を選ぶ方が現実的です。たとえばUR賃貸住宅は礼金・仲介手数料・更新料・保証人の「4つのナシ」で知られています。
よくある質問
連帯保証人がいれば保証会社は不要ですか?
物件によります。現在は「連帯保証人がいても保証会社必須」の物件が多数派です。逆に保証会社を使う場合は連帯保証人が不要になる物件も多く、親族に頼みにくい方にはむしろメリットになります。
保証料は交渉で安くなりますか?
保証料は保証会社の規定料金のため、値引き交渉はほぼできません。初期費用を抑えたいなら、礼金やフリーレントなど大家側に裁量がある項目を相談する方が現実的です(家賃交渉のリアル)。
滞納すると保証会社が払ってくれるから大丈夫?
誤解です。保証会社が立て替えた家賃は、その後あなたに請求されます。滞納情報が残れば次の部屋探しの審査にも響きます。支払いが苦しくなりそうなときは、滞納する前に管理会社へ相談してください。大家側も、事前相談があるかないかで対応が大きく変わります。
まとめ|保証会社は「敵」ではなく賃貸の標準インフラ
保証会社は入居のハードルを上げる存在に見えて、実は連帯保証人なしで部屋を借りられる仕組みを支えるインフラでもあります。費用の目安(初回0.5〜1ヶ月分)を初期費用に織り込んで、無理のない家賃設定で申し込むのが審査突破の近道です。物件探しは全国の取材物件マップから、部屋探し全体の流れは初めての賃貸で損しない完全ガイドをご覧ください。
畠山 晴允(はたけやま はるみつ)/アパートメントラボ合同会社 代表・宅地建物取引士
登録者14万人のYouTubeチャンネル「アパートメントラボ」を運営し、賃貸・分譲・戸建ての内見動画を制作。自身も広島で一棟アパートを経営する現役の不動産オーナー。UR都市機構などの物件PR動画も手がけ、賃貸を「借りる側」と「貸す側」の両方の視点から発信しています。運営者について >