「家具家電付き」の賃貸は、初期費用をぐっと抑えて新生活を始められる便利な選択肢です。ただし、向き不向きがはっきり分かれる物件でもあります。この記事では、家電付き物件も数多く内見取材してきた宅建士・現役大家のアパートメントラボが、メリット・デメリットと「設備か残置物か」という契約上の重要ポイントを解説します。
家具家電付き賃貸とは
冷蔵庫・洗濯機・電子レンジ・照明・ベッドなどが最初から備え付けられている賃貸物件です。何がどこまで付くかは物件によって幅があり、「家電4点のみ」から「ベッド・カーテンまでフル装備」までさまざま。私たちが内見取材したRJRプレシア武雄温泉(佐賀・1K)は、洗濯機・冷蔵庫・電子レンジ・照明の4点にWi-Fi無料まで付いた分かりやすい例です。
メリット:初期費用と手間が大幅に減る
- 家電購入費(単身セットで10万円前後)が不要——契約初期費用(家賃4.5〜5ヶ月分)に上乗せされる負担が消えます
- 引越しが身軽——大型家電の運搬がないため引越し代も下がり、退去時の処分にも困りません
- 入居日から生活が始められる——家電の配送待ちゼロ。進学・単身赴任の「今週から住みたい」に強い
デメリット:長く住むほど割高になり得る
- 家賃がやや高めに設定されがち——仮に相場より月3,000円高いと、2年で72,000円。家電一式の購入費に近づきます。住む期間が長いほど「買った方が安い」に傾きます
- 機種・サイズを選べない——こだわりの家電を持ち込みたい人には、既設品の置き場所問題が発生します
- 中古品であることが多い——年式や状態は内見時に確認を
最重要チェック:「設備」か「残置物」かで故障時の扱いが変わる
ここが宅建士として一番伝えたいポイントです。備え付けの家電には契約上2種類あります。
| 設備 | 残置物(サービス品) | |
|---|---|---|
| 位置づけ | 貸主が契約の一部として提供 | 前入居者が残した物などを「現状のまま」提供 |
| 自然故障したら | 貸主負担で修理・交換が原則 | 貸主に修理義務はなく、自己対応が原則 |
| 確認場所 | 重要事項説明書・契約書の設備欄(「設備」か「残置物」かの記載) | |
同じ「エアコン付き・冷蔵庫付き」でも、設備なら壊れたとき貸主負担、残置物なら自己負担と、扱いが正反対になります。契約前に必ず「この家電は設備ですか?残置物ですか?」と確認してください。大家側の実感としても、ここを曖昧なまま入居して故障時に揉めるのが、家電付き物件の典型トラブルです。故障時の対応全般は設備を壊した・故障したときの費用負担で解説しています。
向いている人・向いていない人
| 向いている | 向いていない |
|---|---|
| 学生・単身赴任など2〜4年の限定居住 | 5年以上の長期居住を予定している |
| 初期費用をとにかく抑えたい | 家電のスペック・デザインにこだわりがある |
| 引越しを身軽に済ませたい転勤族 | 手持ちの家電を使い続けたい |
よくある質問
備え付け家電が古い場合、交換してもらえますか?
「設備」扱いで故障していれば貸主負担での修理・交換が原則です。故障していない場合の交換は交渉次第ですが、契約前のタイミングなら応じてもらえることもあります(設備交渉のコツ)。
自分の家電を持ち込みたい場合、既設品はどけてもらえますか?
物件によります。撤去・保管に応じてくれる場合もあれば、現状のまま(部屋の中で保管)を求められる場合もあります。申込前に確認しましょう。
退去時に家電を持って帰ってもいい?
いけません。備え付け家電は部屋の一部なので、退去時はそのまま残します。逆に自分で購入した家電の処分は自己責任です。
まとめ|「住む年数」と「設備か残置物か」で判断しよう
家具家電付き賃貸は、2〜4年の限定居住なら初期費用・手間の面で強力な選択肢。長期居住なら通常物件+家電購入との総額比較を。そして契約前には「設備か残置物か」を必ず確認——この3点で失敗は防げます。家電付き物件のレビュー動画は全国の取材物件マップから、初期費用の全体像は賃貸の初期費用の内訳をどうぞ。
畠山 晴允(はたけやま はるみつ)/アパートメントラボ合同会社 代表・宅地建物取引士
登録者14万人のYouTubeチャンネル「アパートメントラボ」を運営し、賃貸・分譲・戸建ての内見動画を制作。自身も広島で一棟アパートを経営する現役の不動産オーナー。UR都市機構などの物件PR動画も手がけ、賃貸を「借りる側」と「貸す側」の両方の視点から発信しています。運営者について >