UR賃貸の暮らしの制度まとめ|ペット・シェア・二拠点・増室を一般賃貸と比較

UR賃貸の暮らしの制度のイメージ(実際に取材した団地の共用施設の写真)

「友人とルームシェアしたい」「セカンドハウスとして借りたい」「自宅を仕事場にも使いたい」——こうした希望は、一般的な賃貸物件では断られることが少なくありません。大家の立場で言うと、断る側にも事情があります。ただ、UR賃貸住宅にはこうした住まい方が個別交渉ではなく制度として用意されているものがあります。この記事では、宅建士・現役大家として貸す側の事情も知るアパートメントラボが、UR賃貸住宅の「暮らし方に関する制度」を、一般の賃貸と比較しながら整理します。

なぜ一般の賃貸では断られやすいのか

先に貸す側の理屈を説明しておくと、話が分かりやすくなります。ルームシェアが敬遠されるのは、途中で片方が抜けたときに家賃の責任を誰が負うのかが曖昧になりやすいからです。セカンドハウス利用が難しいのは、常時住んでいない部屋は異変の発見が遅れるためです。SOHO利用が嫌がられるのは、不特定の来訪者が増える可能性や、契約上の用途が「住居」であることに関係します。

いずれも「絶対にダメ」ではなく、ルールを決めるのが面倒だから断るという側面が大きいと思います。だからこそ、あらかじめ制度として枠組みが決まっているかどうかが、借りる側にとっては大きな違いになります。

① ペットと暮らす|棟単位でルールが決まっている

UR賃貸住宅には、人とペットが一緒に暮らすことを前提に設計された住宅があります。ペット可の民間物件も増えてきましたが、「後からペット可にした物件」と「最初からペットと暮らす前提の物件」では、住民同士の前提が違います。前者は動物が苦手な入居者と同じ建物になることもあり、トラブルの火種になりがちです。

私たちが取材した岐阜県各務原市の緑苑東24号棟は、ペット向けの設備を備えた2LDK・56㎡で、家賃は4万円台という条件でした。ペットと暮らせて、この広さと家賃という組み合わせは、民間の賃貸ではなかなか見つからないと思います。

岐阜県各務原市・緑苑東24号棟。ペット向け設備のある2LDK・56㎡です

ただし、対象は棟単位で決まっていて、飼育できる種類や頭数のルールも定められています。「URならどこでもペット可」ではないので、物件情報での確認は必要です。

② 友人とシェアする|ハウスシェアリング

友人同士で一緒に住める仕組みです。ポイントは、一緒に住む方全員が契約名義人になり、それぞれ一定の収入要件を満たす必要があるという点です。これは借りる側にとってはハードルに見えますが、実は仕組みとしては合理的です。全員が契約者であれば、誰か一人が抜けたときの責任関係が最初から整理されているからです。

都心の広めの住戸を二人で折半すれば、一人あたりの負担は単身向け物件と変わらない水準にできることもあります。一般の賃貸でルームシェアを申し込むと、そもそも入居審査の前段階で断られることが珍しくないので、制度として存在している意味は大きいと思います。審査全般の話は入居審査の記事もどうぞ。

③ セカンドハウスとして使う|マルチハビテーション

本宅とは別に、もう一つの拠点として使える住宅です。郊外にアトリエを持ちたい、海の近くに部屋を借りたい、平日だけ職場の近くに住みたい——こうした使い方を想定した制度です。

民間賃貸でセカンドハウス利用を申し出ると、断られるか、理由の説明を求められることが多い分野です。空室リスクや不在時の管理を気にする貸主が多いためですが、URのように制度化されていれば、その説明の手間がありません。単身赴任や二拠点生活を検討している方には現実的な選択肢だと思います。

④ 住んだまま部屋を増やす|ステージセレクト住宅

個人的にいちばん驚いた制度がこれです。3LDKや4LDKなどの住戸の一部の部屋に間仕切り壁を設けておき、使っている居住スペース分の家賃で住めるという仕組みです。家族が増えたり子どもが成長したりして部屋が必要になったら、引っ越さずに部屋を増やせます。しかも増室の工事費はUR側が負担するとされています。

大家の感覚で言うと、これはかなり思い切った設計です。通常、間取りを変える工事は退去後にまとめて行うもので、入居中に貸主負担で工事をするという発想はまず出てきません。借りる側から見れば、子どもの成長に合わせて住み替える手間と費用(引越し代・初期費用・学区の変更)を避けられるのは大きなメリットです。引越しのたびにかかる費用感は引越しチェックリストでも触れています。

住戸を広く使う発想という意味では、茨城県の取手井野団地のように、上下階を自由に使えるタイプの住戸もありました。

茨城県・取手井野団地。上下階を使える構成の住戸です

⑤ 単身・学生・法人契約・仕事場としての利用

UR都市機構は公式サイトのよくあるご質問で、次のような住まい方に対応する住宅があると案内しています。

  • 単身での入居——1人でも入居できる住宅があります
  • 学生だけの入居——条件を満たせば可能とされています
  • 法人による社宅契約——法人が契約できる仕組みがあります
  • 自宅を仕事場として使う——そうした使い方ができる住宅があります

学生の一人暮らしは、収入がないことを理由に一般の賃貸で審査が難しくなる場面があります。URでは扶養している親族が基準を満たすことで申し込める場合があるとされていて、考え方が保証会社の審査とは少し違います。学生・新社会人の部屋探しの進め方はこちらの記事にまとめました。

⑥ 車まわりの仕組み|カーシェア・駐車場シェア・EV充電

敷地の広さを活かした仕組みもあります。住んでいる物件の駐車場で24時間365日利用できるカーシェアリング、空いている駐車場を1日単位で使える駐車場シェアリング、EV充電設備を備えた駐車場のサービスです。いずれも事前の登録が必要です。

車を手放すか迷っている世帯にとって、敷地内にカーシェアがあるかどうかは判断材料になります。また来客用の駐車スペースが確保しにくい集合住宅で、空き区画を1日単位で使えるのは実用的だと思います。

⑦ 高齢期の住まい

高齢者や障がいのある方が安心して暮らせるよう、地方公共団体や事業者と連携した賃貸住宅の供給・管理と、生活支援サービスの展開が行われているとされています。更新のない自動更新で長く住み続けられる点、保証人を立てずに申し込める点は、高齢期の住み替えでは実務的に効いてくる部分です。連帯保証人を頼める相手がいないという理由で部屋探しが止まってしまうケースは、実際に少なくありません。

アパートメントラボの現場から

自分が貸す側になって分かったのは、「前例のない申し込み」を一件ずつ検討するのは想像以上に負担だということです。シェア、セカンドハウス、法人契約——どれも条件を詰めれば成立する話ですが、そのためのルール作りを個々の大家が行うのは現実的ではありません。URのように制度として先に枠組みが決まっていると、借りる側は交渉せずに済み、貸す側は判断に迷わずに済みます。この「仕組みで解決している」点は、規模の大きい事業者ならではの強みだと感じます。

よくある質問

これらの制度はどの物件でも使えますか?

いいえ、対象となる住宅が決まっているものがほとんどです。ペット共生住宅もステージセレクト住宅も、対応している物件でのみ利用できます。気になる制度がある場合は、その制度に対応した物件から探すという順番のほうが効率的です。

制度を組み合わせて使えますか?

重複して利用できない組み合わせがあるとされています。家賃の割引制度とあわせて検討する場合は、どれが適用されるのかを窓口で確認しておくと安心です。割引制度についてはUR賃貸の家賃が下がる制度の記事で解説しています。

まとめ|「その住まい方が制度になっているか」で選ぶ

ペットと暮らす、友人とシェアする、二拠点で暮らす、住んだまま部屋を増やす。一般の賃貸では交渉が必要になりがちな住まい方が、UR賃貸住宅では制度として用意されています。条件や対象物件は決まっているので、まず「自分のしたい暮らし方に対応した物件を探す」ところから始めるのが近道です。実際の住戸の様子はUR賃貸住宅の特設ページから動画でご覧いただけます。

畠山 晴允(はたけやま はるみつ)/アパートメントラボ合同会社 代表・宅地建物取引士

登録者14万人のYouTubeチャンネル「アパートメントラボ」を運営し、賃貸・分譲・戸建ての内見動画を制作。自身も広島で一棟アパートを経営する現役の不動産オーナー。UR都市機構などの物件PR動画も手がけ、賃貸を「借りる側」と「貸す側」の両方の視点から発信しています。運営者について >

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