「ネットで見た好条件の部屋を問い合わせたら、来店した途端『さっき決まってしまって』と別の物件をすすめられた」——部屋探しでよく聞く、いわゆる「おとり物件」の典型パターンです。この記事では、宅建士であり自身も賃貸物件を貸す側にいる現役大家のアパートメントラボが、おとり物件の見分け方と、信頼できる不動産屋の選び方を業界の内側から解説します。
おとり物件とは?そもそも違法です
おとり物件とは、実際には契約できない物件(既に成約済み・存在しない・貸す意思がない)を広告に載せて客を呼び込む手法のことです。これは宅地建物取引業法が禁じる誇大広告等にあたり、不当景品類及び不当表示防止法(景表法)や不動産業界の公正競争規約にも違反する、れっきとした違法行為です。「違法だけど無くならない」のが実情なので、借りる側が見抜く目を持つのが現実的な自衛策になります。
おとり物件の典型パターン7つ
- 相場より明らかに安いのに、駅近・築浅・設備充実と好条件がそろいすぎている
- 問い合わせると「まず来店してください」と言われ、現地待ち合わせでの内見を嫌がる
- 来店すると「ちょうど今決まってしまった」と別物件をすすめられる
- 物件名や正確な住所が伏せられていて、地図で特定できない
- 写真が外観のみ・室内写真が別物件の使い回しに見える
- 超好条件なのに何週間も掲載され続けている
- 同じ部屋が他サイトでは違う家賃・違う条件で載っている
見抜くための実践テクニック
怪しいと感じたら、問い合わせの段階でこう聞いてみてください。
- 「この物件、今も申込可能ですか?物件名と住所を教えてください」——実在する募集中の物件なら、普通は答えられます
- 「現地集合で内見できますか?」——来店誘導に固執する場合は警戒レベルを上げましょう
- 複数の不動産サイトで同じ部屋を検索する——家賃や条件が食い違う場合、情報が古いか操作されている可能性があります
- 地図と外観写真を照合する——ストリートビューで建物が確認できない物件は要注意です
「悪意のおとり」と「更新漏れ」は別物【業界の内側から】
大家として貸す側にいる立場から、ひとつ公平のために付け加えると、「問い合わせたら決まっていた」のすべてが悪意のおとりではありません。人気物件は本当に数日で決まりますし、成約後の広告取り下げが数日遅れる「更新漏れ」も現実に起きます。見分けるポイントはその後の対応です。誠実な会社は「申し訳ありません、その部屋は成約済みです」と正直に伝えた上で、似た条件を淡々と紹介してくれます。一方おとり営業は、最初から別物件へ誘導する前提で話を進め、当日中の契約を急かす傾向があります。
信頼できる不動産屋の選び方
- 宅建業の免許番号を見る:「東京都知事(3)第○○号」のカッコ内の数字は免許の更新回数で、大きいほど営業歴が長い目安になります(1回の免許は5年間。数字が小さい=悪ではありませんが、判断材料の一つになります)
- デメリットも説明してくれるか:良いことしか言わない担当者より、「この物件は日当たりが弱いです」と正直に言う担当者の方が信頼できます
- 契約を急かさないか:「今日決めないとなくなります」を連発する会社は距離を置きましょう(本当に人気の物件も存在するので、根拠を聞くのがコツです)
- 初期費用の見積もりが明朗か:不要なオプションが載っていないか、初期費用の内訳と照らして確認しましょう
最強の自衛策は「実在を自分の目で確かめる」こと
おとり物件対策として私たちが一番おすすめしたいのは、内見(できれば現地集合)で実物を確認してから判断することです。当サイト・アパートメントラボが全物件を実際に現地で撮影した内見動画つきで紹介しているのも、「画面の向こうに本当に存在する部屋」だけをお届けしたいからです。動画なら室内・共用部・駅からの道のりまで、行く前に自分の目で確かめられます。内見時の確認項目は内見チェックリスト完全ガイドにまとめています。
よくある質問
おとり物件に引っかかってしまったらどうすればいい?
その場で契約せず、いったん持ち帰るのが鉄則です。悪質だと感じた場合は、都道府県の宅建業免許を所管する窓口や、不動産の表示を監視する業界団体(不動産公正取引協議会)に情報提供できます。
相場より安い物件はすべて怪しいですか?
いいえ。閑散期の値下げ、長期空室、設備が古いなど、正当な理由で安い物件はたくさんあります。大切なのは「なぜ安いのか」の理由を確認できるかどうかです。理由を説明できない・はぐらかす場合に警戒してください。
ネットの物件情報はどこまで信じていい?
大手ポータルの情報は掲載ルールが整備されていますが、更新のタイムラグはどうしても発生します。「最終的な空室確認は問い合わせ時点」と考え、気になる物件は早めに現況を確認するのが確実です。
まとめ|「実在確認」を習慣にすれば怖くない
おとり物件は、①好条件すぎる広告を疑う ②現地確認を求める ③急かされたら止まる、の3つで大半を回避できます。当サイトでは宅建士・現役大家が実際に足を運んで撮影した物件だけを紹介しています。全国の取材物件マップから、動画で「実在する部屋」を確かめながら部屋探しを進めてください。全体の流れは初めての賃貸で損しない完全ガイドへどうぞ。
畠山 晴允(はたけやま はるみつ)/アパートメントラボ合同会社 代表・宅地建物取引士
登録者14万人のYouTubeチャンネル「アパートメントラボ」を運営し、賃貸・分譲・戸建ての内見動画を制作。自身も広島で一棟アパートを経営する現役の不動産オーナー。UR都市機構などの物件PR動画も手がけ、賃貸を「借りる側」と「貸す側」の両方の視点から発信しています。運営者について >